松本幸四郎、中村吉右衛門直伝の「石川五右衛門」に「私の身体を通して叔父を感じてほしい」

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東京・歌舞伎座で3月に行われる「三月大歌舞伎」、4月に行われる「四月大歌舞伎」に出演する松本幸四郎の取材会が、本日2月17日に東京都内で行われた。

松本幸四郎

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「増補双級巴 石川五右衛門」より、松本幸四郎(当時は市川染五郎)扮する石川五右衛門。(c)松竹

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幸四郎は、「三月大歌舞伎」第3部「増補双級巴 石川五右衛門」で五右衛門を演じる。「五右衛門は、叔父の(中村)吉右衛門から教えていただいたお役」と言葉に力を込める幸四郎は、2006年に此下久吉役で五右衛門役の吉右衛門と共演したあと、2011年に五右衛門を初めて演じた。「叔父の五右衛門の魅力は、何事にも動じない大きさ。叔父からは、声の出し方から息継ぎ、セリフを切る間など、1つひとつ細かく教えていただきました。五右衛門のセリフ回しはとても繊細なのですが、お客様からはそれが豪快に見えなければいけないんです」と語る。

歌舞伎座では、先月上演の「壽 初春大歌舞伎」から宙乗りが解禁された。幸四郎は、五右衛門が宙に浮くつづらから飛び出る“つづら抜け”の演出で、約3年ぶりに宙乗りを披露する。高所恐怖症だと明かす幸四郎は「(宙乗りは)基本的には恐怖です。でもまあ、お仕事なので(笑)。つづらの中にいたほうが、(高所が)怖くないかもしれないですね。私のその日の気分で、つづらの中に引っ込んだまま、つづらだけが飛んでいく公演もあるかもしれません(笑)」と冗談を飛ばし、取材陣の笑いを誘う。「皆様に驚いていただく工夫も考えており、準備しているところです。命がけで勤めますので、お客様にはファンタジーの世界を堪能してほしい」とほほ笑んだ。

「三月大歌舞伎」チラシ

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また本作の見どころの1つとして、「絶景かな」の名ゼリフが聞きどころの「南禅寺山門の場」を挙げ、「『楼門五三桐』が叔父の最後の舞台出演作ですので、やはり思うところはあります。私の気持ちとしては、叔父に教えてもらった五右衛門を、1人でも多くのお客様に観ていただき、喜んでいただくことで、『私の叔父はすごいでしょ』ということをお伝えしたい。私の身体を通して、叔父の素晴らしい五右衛門を感じていただけることを目標にしています」と真摯に述べた。

「荒川の佐吉」より、松本幸四郎(当時は市川染五郎)扮する荒川の佐吉。(c)松竹

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松本幸四郎

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自身がタイトルロールを演じる「四月大歌舞伎」第2部「荒川の佐吉」は、真山青果が作を手がけた作品。劇中では、やくざの子分・荒川の佐吉が、ひょんなことから盲目の子供・卯之吉を育てることになった物語が描かれる。佐吉を演じる幸四郎は「佐吉の役は、松嶋屋のおじ様(片岡仁左衛門)に教えていただきました。私は(仁左衛門演じる佐吉とは)辰五郎役で共演させていただいたことがあるのですが、あれだけ毎日泣いた芝居はなくて。強烈に記憶に残っていますし、それだけ役に入り込んでいた芝居でもありました」と語る。

佐吉を「時の流れに逆らわず生きているところに、強さを感じる」と表現し、「(仁左衛門からは)佐吉の変化の表現が大事だと教わりました。佐吉は、二度花道への引っ込みがありますが、最初と最後ではその思いがまったく違っていて、そこで明確に佐吉が変化したことを表現しないといけない。そのためにも、佐吉の身に起こる1つひとつの出来事を、本当に実人生を送っている気持ちで演じたいですね」と述べる。

今回は、齋藤雅文が補綴・演出を担う。「(『荒川の佐吉』は)普通に上演すると、2時間以上かかるお芝居。齋藤さんに入っていただくことで、その時間を凝縮したい」と意図を話し、「新演出により、新しい解釈を入れるわけではありませんし、ただコンパクトにしたり、ダイジェストとして上演するわけでもありません。テンポや演出に手を加えることで、コロナ禍での時間の制約を守りつつ、さらに進化した『荒川の佐吉』を目指します」と意気込みを述べた。

「三月大歌舞伎」は3月3日から28日まで、「四月大歌舞伎」は4月2日から27日まで。

なおステージナタリーでは、歌舞伎座で上演されている「二月大歌舞伎」の特集を展開中。出演者の尾上菊之助が、作品の魅力を語っている。

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「三月大歌舞伎」

2022年3月3日(木)~28日(月)
東京都 歌舞伎座

第1部

「三代猿之助四十八撰の内 新・三国志 関羽篇 市川猿之助宙乗り相勤め申し候」

作:羅貫中「三国演義」より
脚本・演出:横内謙介
演出:市川猿之助
スーパーバイザー:市川猿翁

出演
関羽:市川猿之助
劉備:市川笑也
香溪:尾上右近
孫権:中村福之助
関平:市川團子
諸葛孔明:市川弘太郎改め市川青虎
華佗:市川寿猿
司馬懿:市川笑三郎
陸遜:市川猿弥
黄忠:石橋正次
曹操:浅野和之
呉国太:市川門之助
張飛:市川中車

第2部

一、「天衣紛上野初花 河内山 質見世より玄関先まで」

作:河竹黙阿弥

出演
河内山宗俊:片岡仁左衛門
松江出雲守:中村鴈治郎
宮崎数馬:市川高麗蔵
腰元浪路:片岡千之助
番頭伝右衛門:片岡松之助
北村大膳:中村吉之丞
米村伴吾:澤村宗之助
黒沢要:中村亀鶴
大橋伊織:坂東亀蔵
和泉屋清兵衛:河原崎権十郎
後家おまき:坂東秀調
高木小左衛門:中村歌六

二、「芝浜革財布」

出演
魚屋政五郎:尾上菊五郎
政五郎女房おたつ:中村時蔵
左官梅吉:河原崎権十郎
錺屋金太:坂東彦三郎
酒屋小僧:寺嶋眞秀
桶屋吉五郎:嵐橘太郎
大家長兵衛:市川團蔵
金貸おかね:中村東蔵
大工勘太郎:市川左團次

第3部

一、「信州川中島合戦 輝虎配膳」

作:近松門左衛門

出演
長尾輝虎:中村芝翫
お勝:中村雀右衛門
直江山城守:松本幸四郎
唐衣:片岡孝太郎
越路:中村魁春

二、「増補双級巴 石川五右衛門 松本幸四郎宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候」

補綴:戸部銀作

出演
石川五右衛門:松本幸四郎
三好長慶:中村松江
三好国長:中村歌昇
左忠太:大谷廣太郎
右平次:中村鷹之資
佐々木秀経:中村玉太郎
細川和氏:市川男寅
仁木頼秋:市村竹松
次左衛門:中村錦吾
呉羽中納言:大谷桂三
此下久吉:中村錦之助

「四月大歌舞伎」

2022年4月2日(土)~27日(水)
東京都 歌舞伎座

第1部

「通し狂言 天一坊大岡政談」

作:河竹黙阿弥

出演
大岡越前守:尾上松緑
山内伊賀亮:片岡愛之助
天一坊:市川猿之助

第2部

一、「江戸絵両国八景 荒川の佐吉」

作:真山青果
演出:真山美保
補綴・演出:齋藤雅文

出演
荒川の佐吉:松本幸四郎
成川郷右衛門:中村梅玉
お八重:片岡孝太郎
隅田の清五郎:市川高麗蔵
丸総の女房お新:中村魁春
相模屋政五郎:松本白鸚

二、「義経千本桜 所作事 時鳥花有里」

出演
源義経:中村梅玉
鷲尾三郎:中村鴈治郎
白拍子三芳野:中村扇雀
傀儡師輝吉:中村又五郎

第3部

一、「ぢいさんばあさん」

原作:森鷗外
作・演出:宇野信夫

出演
美濃部伊織:片岡仁左衛門
下嶋甚右衛門:中村歌六
伊織妻るん:坂東玉三郎

二、「お祭り」

出演
芸者:坂東玉三郎

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ryugo hayano @hayano

【会見レポート】松本幸四郎、中村吉右衛門直伝の「石川五右衛門」に「私の身体を通して叔父を感じてほしい」 https://t.co/BEa4OJrtqg

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