舞台「千と千尋の神隠しSpirited Away」の本公演が、プレビュー公演を経て、3月2日に東京・帝国劇場で開幕した。ステージナタリーでは、1日に行われたゲネプロと、昨日3日に実施された初日記念会見の様子をレポートする。
東宝の創立90周年を記念して世界初演される本作は、
幕が上がると、高さのある装置で再現された油屋が出現。プロジェクションマッピングやパペットを用いた演出を駆使して、観客を「千と千尋の神隠し」の世界へと誘う。また、
橋本は、異界へと迷い込んでしまったことに戸惑いながらも、油屋での生活に適応していく千尋を力強く演じ、千尋が恐怖を感じてブルブル震える様子や、油屋の中をヒョコヒョコと駆け回る様子を、小柄な身体を目いっぱい使って表現する。黒のベールをまとい、仮面を付けて登場した菅原は、ゆっくりと身体をくねらせるようなダンスで、カオナシの底知れない怪しさを体現。映画版でも声優を務めた夏木は、威厳たっぷりの演技で湯婆婆を立ち上げた。
昨日行われた会見には、橋本、上白石、夏木、
夏木は「ジョン・ケアードは決して諦めない。日々ブラッシュアップして、舞台がどんどん良くなるはず」と演出のケアードに厚い信頼を寄せる。また朴はプレビュー公演を「吐きそうでした(笑)」と振り返って笑いを誘いつつ、「“油屋一同、心をそろえて”皆さんをお迎えできるようがんばります!」と、湯婆婆のセリフを交えて意気込みを語った。
会見では、本作を観劇したスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーからのコメントが、おばたのお兄さんにより代読された。鈴木は「お世辞なしに本当に面白かったです」「映画の公開から20年が経っていることを考えるとキャストの方々の中には当時まだ生まれたばかりだった方もいて、幼い頃に映画『千と千尋の神隠し』をご覧になっている方もいる。その経験が舞台の迫力に繋がっているような気がして感慨深いです。皆さんがんばってください!」と座組にエールを送った。これを聞いた橋本は「安心しました」と言い、上白石も「作品の素晴らしさに助けられることもあれば、壁だと感じることもあった。鈴木さんの言葉にホッとしました」と話した。
稽古場で大変だったことの話題になると、おばたのお兄さんが「先に言いますが、全部です!」と会場を笑いで包む。橋本が「千尋はよく転びますが、ケガをしない転び方を研究するのが難しかった(笑)。実は千尋って身体能力がとても高いなと」と裏話を明かすと、上白石も「稽古場ではマスクを着けたまま『もう無理です』というくらい走ったので、本当に倒れるかと思った。でも外したら身体が楽で(笑)。今ではマスクに感謝です」とエピソードを語った。
さらに長期公演に向けて健康維持の秘訣を尋ねられると、上白石は「熱い風呂に入る」、夏木は「マッサージを受ける」と回答。しかし橋本が「何もしていません。いたって健康です」と答えると、上白石は「ストレッチもしないんです、この人!(笑)」と暴露する。さらに朴が「環奈ちゃんと同じく、何もしていません……なんかすみません。ストレッチします」と打ち明けると、夏木が「自分のペースで良いのよ!」とフォローし、座組の仲むつまじさをのぞかせた。
最後に出席者を代表し、橋本と上白石があいさつした。橋本は「千秋楽まで必死に千尋として生きたい。どんどん成長していけたら」と語り、上白石は「世の中でいろいろ起きていて、不安や恐怖を感じている方が多いと思う。劇場にいる3時間だけでも心配事を忘れて楽しんでいただけるよう、私たちも夢中で走り抜けたい」と意気込みを語った。
上演時間は休憩25分を含む3時間を予定。東京公演は3月29日まで行われ、その後7月4日まで大阪・福岡・北海道・愛知で上演される。
舞台「千と千尋の神隠しSpirited Away」
2022年2月28日(月)・3月1日(火)※プレビュー公演は終了。
2022年3月2日(水)~29日(火)
東京都 帝国劇場
2022年4月13日(水)~24日(日)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2022年5月1日(日)~28日(土)
福岡県 博多座
2022年6月6日(月)~12日(日)
北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
2022年6月22日(水)~7月4日(月)
愛知県 御園座
原作:
翻案・演出:
共同翻案:今井麻緒子
キャスト
千尋:
ハク:
カオナシ:
リン・千尋の母:
釜爺:
湯婆婆・銭婆:
兄役・千尋の父:
父役:吉村直
青蛙:
阿部真理亜、新井海人、五十嵐結也、桜雪陽子、
※宮崎駿の「崎」は立つ崎(たつさき)、辻本知彦の「辻」はしんにょうの点1つ、朴ろ美の「ろ」は王へんに路が正式表記。
※2022年5月17日追記:5月17日公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。
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