「大阪演劇祭2026」チラシ表

テンミニ!10分でハマる舞台

粟根まこと×後藤ひろひとが期待込める「大阪演劇祭 2026」

関西演劇に新たな息吹を

PR「大阪演劇祭 2026」

「参加するすべての人が“つながる”演劇祭」を目指す、「大阪演劇祭」が今年、スタートする。これは大阪府・大阪市・大阪文化芸術事業実行委員会が主催する演劇祭。「大阪演劇祭2026」には10団体が参加し、各公演、45分の作品を2団体が上演。上演後、観客、ゲストオーディエンス、出演者によるトークセッションも行われる。

ステージナタリーでは、そのゲストオーディエンスとして「大阪演劇祭2026」に参加する、大阪ゆかりのアーティスト・粟根まこと後藤ひろひとにインタビュー。1980年代、活気に満ちていた大阪の演劇シーンを知る2人にその様子を振り返ってもらったほか、「大阪演劇祭2026」への期待を聞いた。

取材・/ 熊井玲

層が厚かった1980年代の関西小劇場

「大阪演劇祭」は、1980年代に盛り上がりを見せた大阪の演劇シーンを意識しつつ、小劇場ブームの拠点となったオレンジルームを前身とするHEP HALLで、“つながる”をテーマに行われる新たな演劇祭。同演劇祭にゲストオーディエンスとして参加する粟根まことと後藤ひろひとは、かつての関西小劇場ブームを牽引してきた面々だ。

粟根まこと

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マッドサイエンティストを目指して大阪大学工学部に進学した粟根は、在学中に演劇と出会い、いくつかの団体を経て1985年に劇団☆新感線に入団した。「当時の関西演劇界では、京都大学のそとばこまちが一番売れていて、その下に大阪芸大の内藤裕敬さん率いる南河内万歳一座と劇団☆新感線、同志社大学出身のM.O.P.さんという4つの学生劇団が関西で人気でした。私はもともと別の劇団にいたのですが、人が足りないからと呼ばれて新感線に参加しているうち、そのまま移籍しちゃったんです(笑)」(粟根)。

後藤ひろひと

後藤ひろひと [高画質で見る]

一方の後藤は、「演劇を勉強してみたくて」山形から大阪の大学に進学。1987年に遊気舎に入団し、1989年から1996年まで2代目座長を務めた。「ガタイが良かったので、大学ではいろいろなスポーツ部に勧誘されたのですが、その中で合気道の部長さんが『実は俺も演劇やっているんだ』と誘ってくれたのが遊気舎でした。でも演劇がやりたかったのに、実は演劇がなんなのかわかっていなくて、『演劇講座』の講義を覗きに行ったら(後藤の次に遊気舎の第3代目座長になった)久保田浩がいましたね(笑)」(後藤)。

扇町ミュージアムスクエア(編集注:1985~2003年に大阪市北区神山町にあった小劇場)とオレンジルームが“関西小劇場のメッカ”と呼ばれ、多くの演劇人が“横のつながり”を持っていた。「東通りの飲み屋を覗けば、演劇人が誰かいるような感じだった」と後藤は懐かしそうに当時を振り返る。その関西演劇人たちのつながりは現在まで続いており、3月には俳優・工藤俊作がプロデュースするプロジェクトKUTO-10「三大劇作家の世界大冒険」が実現。粟根と後藤をはじめ、関西の演劇人たちがずらりと顔をそろえる。

後藤は「最近、人に『レジェンド』と言われることがあって(笑)。もう、そう呼ばれても仕方ない1人なんだなと思いつつ、俺や粟根さん、内藤さん、久保田、工藤といった“関西演劇界のレジェンドのおっさん”たちが、今も集まって遊べるのは幸せなことだと思いますね。演劇をやって、ちゃんと生きてきた人たちですから」と和やかな表情を見せた。

演劇祭を刺激の場に

そんな2人は、今の関西演劇界についてどう感じているのか。「僕たちの時代は舞台と映画やテレビの距離が近くて、舞台は映画やテレビに出る入り口でした。でも今の人たちが演劇に求めるものは、われわれが持っていた目的や目標とは違うところにあるのかなと思う。あとコメディをやってきた者としては、当時、吉本のお笑いだけには任せておけないぞ!という気持ちで、吉本がやっていないような笑いを観たい人が演劇を観に来たと思うんですよ。で気づけば私も今吉本にいるわけですが(笑)。今は面白いことに芸人たちが演劇をやりたがっている。その点でも、関西小劇場界の世界が変わってきているんじゃないかなと思います」(後藤)、「昔は人前で何かやるには舞台や路上パフォーマンスしか手がなかったけれど、今は自分たちで映像を収録してYouTubeやTikTokで配信したりと、いろいろな表現方法がある。今はもっと簡単に自分たちの表現をいろいろな人に届けることができる時代になっているから、それによって表現やスタンスが変わってきているんじゃないかという印象があります」(粟根)。

「大阪演劇祭2026」チラシ裏

「大阪演劇祭2026」チラシ裏 [高画質で見る]

「大阪演劇祭2026」には今回、くによし組、劇団イン・ノート、team kulkri、匿名劇壇、ノーミーツ、プロトテアトル、無名劇団、四畳半帝国、RE:MAKE、レティクル座と、若手を中心に関西や東京を拠点とする10団体が参加。ショーケース形式なので、お目当ての劇団だけでなく意外な出会いも期待できそうだ。ゲストオーディエンスとして参加する後藤は「我々ではできなかったことをやってくれる劇団が出てきたら、悔しいなって思いたいですね」とニヤリ。粟根は「劇団☆新感線が注目されたのも、オレンジルームで行われていた『オレンジ演劇祭』だったり、青山円形劇場でやられていた『青山演劇フェスティバル』に参加したことだったことが大きかったと思うんです。なので、こういった演劇祭の企画で、まだ世に出ていない若手劇団がいろいろな人の目に触れたり、お互いの作品を観合あったりすることで切磋琢磨したり、刺激を与え合うことが大事だと身をもって感じています。『大阪演劇祭2026』でも、ここで出会った演劇人やお客様が刺激を与え合えたら、結果として面白いことが起こってくるんじゃないかと思っています」と力強く語った。

「大阪演劇祭2026」公式サイト

大阪演劇祭2026

開催日程・会場

2026年2月14日(土)〜23日(月・祝)
大阪府 HEP HALL

出演

参加団体

くによし組 / 劇団イン・ノート / team kulkri / 匿名劇壇 / ノーミーツ / プロトテアトル / 無名劇団 / 四畳半帝国 / RE:MAKE / レティクル座

ゲストオーディエンス(五十音順)

粟根まこと / 板尾創路 / 加美幸伸 / 後藤ひろひと / サリngROCK / 辻凪子 / 鳥越裕貴 / 福田転球 / 藤山扇治郎 / 山内圭哉 / 横山拓也

※大学生・専門学校生割引、高校生以下割引あり。

公演・舞台情報

粟根まこと(アワネマコト)

1964年、大阪府生まれ。1985年より劇団☆新感線に参加。近年は2025年劇団☆新感線 45周年興行・秋冬公演 チャンピオンまつり いのうえ歌舞伎「爆烈忠臣蔵~桜吹雪 THUNDERSTRUCK」をはじめ、「FOLKER」、劇団ホチキス「ベイビーブラフ」などに出演。3月に工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10「三大劇作家の世界大冒険」、6月から8月にかけて劇団☆新感線46周年興行・夏公演 SHINKANSEN☆RSP 怪奇骨董音楽劇「アケチコ!~蒸気の黒ダイヤ、あるいは狂気の島~」に出演する。

後藤ひろひと(ゴトウヒロヒト)

1969年、山形県生まれ。劇作・演出家。別名“大王”。1987年、大阪の劇団・遊気舎へ入団し、2代目座長を務める。遊気舎を退団後、1997年にPiperを結成。2001年には、自身が主宰する王立劇場を旗揚げした。近年は大阪国際文化芸術プロジェクトにて「FOLKER」「姫が愛したダニ小僧」(作・演出・出演)を披露。3月に工藤俊作プロデュース プロジェクトKUTO-10「三大劇作家の世界大冒険」(劇作・演出・出演)に参加。

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