平尾アウリのマンガ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(徳間書店)は、マイナー地下アイドルのChamJamを応援する熱狂的オタク・えりぴよが“推し活”する姿を描いた作品。2020年にテレビアニメ化、2022年にテレビドラマ化され、2023年に劇場版が公開された話題作が、SKE48メンバー総勢14名の出演により舞台化される。
主人公のえりぴよを演じるのは、声優・歌手の小林愛香。えりぴよの推しであるChamJamの市井舞菜役をSKE48の大村杏が務め、同じくChamJamの五十嵐れお役を佐藤佳穂、松山空音役を青木莉樺、伯方眞妃役を野村実代、水守ゆめ莉役を鈴木愛菜、寺本優佳役を原優寧、横田文役の倉島杏実、いずれもSKE48のメンバーが演じる。
このたびステージナタリーでは、えりぴよ役の小林とChamJamを演じるSKE48の7名にインタビュー。普段、歌手やアイドルとして活動し“推される側”である彼女たちに、“推し活”を巡る話を聞いた。
取材・文 / 興野汐里撮影 / 佐々木康太
“推し”は自分の原動力
──「推しが武道館いってくれたら死ぬ」は、岡山で活動するマイナー地下アイドル・ChamJamの市井舞菜と、彼女を応援する伝説的なファン・えりぴよの関係を描いた青春コメディです。えりぴよ役の小林さんとChamJamのメンバーを演じるSKE48の皆さんは、1月12日に開催された「カードファイト!! ヴァンガード 15th Anniversary ブシロード新春大発表会2026」の「推しが武道館いってくれたら死ぬ」ステージで、キャラクターに扮してパフォーマンスを初披露しました。
小林愛香 SKE48の皆さん扮するChamJamちゃんのパフォーマンスがあまりにも素晴らしかったので、テンションが上がってしまい、えりぴよとしては少し暴走してしまったのですが(笑)、観客の皆さんも一緒に盛り上がってくださってすごくうれしかったです!
──ペンライトを手に、ChamJamのステージを見守っているファンの方がたくさんいらっしゃいましたね。舞台「推しが武道館いってくれたら死ぬ」の原作となるマンガ、もしくは舞台の脚本を読んだ感想や、ご自身が演じるキャラクターの印象について教えてください。
小林 原作を読ませていただいて、「自分は○○のオタクだ!」と宣言することは恥ずかしいことではなく、誇らしいことなんだと思えるようになりました。私も“推される側”を経験させていただいているからこそ、登場人物たちの心情を理解できる場面がたくさんあります。今回の舞台では、えりぴよとしての人生を精一杯生き、えりぴよと同じく“推し活”中の皆さんにパワーを届けられたらと思います。
大村杏 「推しが武道館いってくれたら死ぬ」を読んで、「アイドルとファンの方の絆は最強なんだ!」と改めて感じました。私が演じる市井舞菜ちゃんは、おとなしくてシャイな性格。でも、内気な自分を変えようとがんばっている姿をとても愛おしく思います。
倉島杏実 横田文ちゃんを演じさせていただくことが決まったとき、SKE48ファンの皆さんや原作ファンの皆さんから「杏実ちゃんと文ちゃんは似ているね! ぴったりだね!」と言っていただくことが多くて、すごくうれしかったです。背が小さくて元気なところ、髪型がツインテールなところ……などなど、文ちゃんとの共通点がたくさんあると思うので、本番に向けて素敵な文ちゃん像を作っていけたらと思います。
原優寧 原作を読み進める中で、仕事を辞めて“推し活”に命をかけるファンの方、“推し”がいることによって仕事をがんばれる方、さまざまな応援の仕方があることを知り、改めてファンの皆さんのすごさを実感しました。私が演じさせていただく寺本優佳ちゃんは、自分らしさを全面に出しながらアイドル活動をしている子。“自分らしく”というテーマが自分自身と重なるので、その部分を重視して、優佳ちゃんというキャラクターを楽しく演じたいです!
鈴木愛菜 アイドルとファンの方が同じ夢に向かって走る姿が本当にカッコいいなと思いながら、原作を読ませていただきました。水守ゆめ莉ちゃんはおっとりとした性格ですが、物語の途中に出てくるとあるシーンをきっかけに、アイドルとして自信をつけていきます。自分もお稽古をがんばって、しっかりと自信をつけた状態で舞台に上がりたいです。
野村実代 SKE48内の“二次元同好会”に所属するぐらい二次元の作品が好きで、中でも大好きな「推しが武道館いってくれたら死ぬ」という作品に携わることができてとてもうれしいです。伯方眞妃ちゃんは、自分よりもほかの人を優先する優しい子。しかも、眞妃ちゃんはChamJamのセクシー担当でもあるので、眞妃ちゃん役のオファーをいただいたとき、「本当に私で大丈夫ですか!?」と心配していたんです(笑)。でも、眞妃ちゃんを演じることが決まってから、SKE48でもだんだんとセクシーな曲を担当させていただく機会が増えて、密かに眞妃ちゃんを憑依させながらパフォーマンスをしていました。舞台でもその経験を生かせるようにがんばります。
青木莉樺 ファンの方が実生活でどのように私たちを支えてくださっているかを見ることはできないので、そういった意味で「推しが武道館いってくれたら死ぬ」は“教科書”のような作品だなと思い、夢中になって読みました。松山空音ちゃんはクールに見えて実は自分に自信がない役どころ。空音ちゃんには似たものを感じるので、もっともっと彼女のことを知っていきたいです。
佐藤佳穂 原作を読んで、やっぱり“推し”がいることは素晴らしいなと思いました。私にも“推し”がいるのですが、“推し”というのは、自分がポジティブでいる原動力であり続けてくれる存在ですよね。私が演じる五十嵐れおちゃんは、ChamJamのセンターを務める、思いやりのあるリーダー。原作を読み、彼女の優しさに触れ、れおちゃん“推し”になりました! でも、れおちゃんには案外本心を見せないところがあって、そこが私と似ているなと感じています。
“リアルえりぴよ”は存在する!
──舞台「推しが武道館いってくれたら死ぬ」の見どころの1つは、実際にアイドルとして活動するSKE48の皆さんが、劇中でもアイドル役を演じる点です。皆さんがSKE48として活動する中で大切にしていること、舞台「推しが武道館いってくれたら死ぬ」に出演するにあたって、普段の活動で得たものを生かしたいと考えている部分はどこですか?
佐藤 れおちゃんファンのくまささんという方にだけ披露する固定レスポンスがあるのですが、私もれおちゃんのようにファンサービスをすることを心がけていて、“さとかほ沼”と呼ばれているんです。舞台でも、ファンの皆さんを“沼らせる”ことを目標にがんばります!
原 SKE48では、ファンの方と直接会ってお話しする握手会やトークイベントを開催しているんですけど、「推しが武道館いってくれたら死ぬ」にも同じようなシーンが登場します。そのときに、優佳ちゃんは「指を折るつもりで握手するね!(笑)」といったようなユーモアたっぷりなファンサをしていて、優佳ちゃんのレーンに並んだら絶対楽しいだろうなと感じました。私も、ファンの方と一緒に楽しい時間を過ごすことをモットーにしているので、その気持ちでお芝居に臨みたいと思います。
野村 SKE48で活動するうえで大切にしていることは、メンバー同士で支え合うこと。私はSKE48の第8期生で、今回のキャストだと佳穂ちゃんと杏実ちゃんと同期なんです。同期で支え合ってきたからこそ、アイドルとしての活動を続けてこられた部分が大きくて、誰かが落ち込んでいたら声をかけ合ったり、お互いを褒め合ったりしてきました。舞台「推しが武道館いってくれたら死ぬ」では、眞妃ちゃんとゆめ莉ちゃんが一緒にいるシーンが多いので、眞妃ちゃんがゆめ莉ちゃんにかける言葉1つひとつに思いやりを込められたらと思います。
鈴木 私もゆめ莉ちゃんと同じく、けっこう心配性なタイプなんです。「ブシロード新春大発表会2026」でのステージが始まる前、「緊張する! どうしよう! どうしよう!」と言っていたら、実代ちゃんが声をかけてくれて……「眞妃ちゃんとゆめ莉ちゃんの関係性みたい!」と感動しました。
野村 「大丈夫! 絶対大丈夫だから!」と言いながら自分たちの出番を待っていたよね(笑)。
倉島 私は楽屋でメンバーとおしゃべりするのが大好きで、文ちゃんも同じようなタイプだと思うんです。きっと、楽屋の端にいても会話に参加するタイプなんじゃないかな(笑)。なので、楽屋でも舞台でも盛り上げ役になれたらと思います!
青木 私は自分に自信がないからか、レッスンのとき、自分に大きな課題を課すのがクセになっていて……実はちょっとMなところがあるんです(笑)。初舞台ということもあり、今は不安でいっぱいなんですけど、自分の辛抱強さを生かしてがんばります!
大村 私のファンの方には、“リアルえりぴよさん”のような方が多くて、熱狂的なファンの方に慣れているので、普段の経験をえりぴよさんとの関係に落とし込めたら良いなと(笑)。
小林 じゃあ、もうすでに舞台では“塩られる”のが確定してるってことですか!? えーん!
大村 ははは! いえいえ、丁寧に対応させていただきますよ!(笑)
次のページ »
ぬいから実写まで、みんなの“推し”を教えて!


