3月30日から4月1日まで東京・サンシャイン劇場で上演される「怪人二十面相 ~黒蜥蜴 二の替わり~」。開幕に先駆け本日3月12日、東京都内で記者懇親会が開催された。
江戸川乱歩による原作を、齋藤雅文が脚色・演出する本作は、
舞台は昭和初年。富豪・河野家には怪人二十面相(河合雪之丞)から財宝を狙う予告状が届いていた。明智小五郎(喜多村緑郎)が捜査に乗り出すが、一人娘の不二子(春本由香)は誘拐されてしまう。レビューのスター・花菱蘭子(貴城けい)も関わり、事態は思わぬ方向へ……。
記者懇親会には齋藤、緑郎、雪之丞、春本、貴城が出席。齋藤は本作の創作の動機を「『黒蜥蜴』の匂いのあるものを作りたい」と述べる。同じく乱歩が生み出した正体不明のキャラクター・怪人二十面相を題材とすることで、「黒蜥蜴」の雰囲気を残しながらも新たなドラマを立ち上げることを目指すと話した。また齋藤は劇団新派のレパートリーに、大衆小説の戯曲化が多かったことに言及。本作を伝統の流れの中にある新作と位置づけると同時に、「現代に通用するエンタテインメントにしたい」と抱負を語る。さらに今回は同じく乱歩の「幽霊塔」を作品に取り入れながら、“女賊”として怪人二十面相を描くと述べ、二十面相を中心に「生きることの切なさや、運命に翻弄された弱い女性がなぜ変化していったのかというドラマ」を、劇団新派の「遊女夕霧」といったほかの作品から“本歌取り”しながら表現することを明らかにした。
緑郎は、昨年17年に雪之丞を劇団に迎えたことに触れて「今までと何か違う風を新派に吹き込みたい」と意気込み、「役者たるもの、口を開けてお仕事が飛び込むのを待つよりも、自分たちで掴み取る姿勢を見せたい」と自主公演の企画の経緯を明かす。本作については「去年、今年の黒蜥蜴にも勝るものを作りたい。これは超えられるなと思っております」と自信を持って語った。また今回緑郎は、明智小五郎と狂言回し役・悟道軒円玉の2役を担当。「遊女夕霧」の登場人物でもある講談師・円玉役を熱望していたと言う緑郎は、喜びを語りながら「声が少し枯れていますけれども(笑)、講談師の声帯を作っているところです」と円玉に備えた役作りを笑顔で明かした。
自主公演に際して制作にも携わると言う雪之丞は「芝居を1から作り上げることを勉強できるのは、役者としてありがたい」と述べ、「芝居を作るうえで成長できるのではないかと思います」とコメント。雪之丞の今作での役柄について、齋藤が「本作は地下迷宮で宝物を探す話で、暗がりに恐怖を持っているキャラクターを作りたいと思っています。この作品を通して、雪之丞さんの新たな一面を目撃できるのでは」と期待を煽ると、雪之丞も「引き出しにない演技をやれるのは、自主公演の魅力だと思います。挑戦できるのがすごくうれしい」と真摯に述べた。また「新派を若者に見てほしい」という雪之丞は、本公演のチケットの価格設定についても協議したことを明かし、「お若い方でもいいお席で、きちっとしたお芝居を観ていただきたい。できるだけ多くの方に来ていただけたら」と呼びかけた。
これまでも新派の作品を観劇してきたと話す貴城は「大変緊張しておりまして、胃がキリキリと痛くなっているんですけれども、芸達者な方々の中で足を引っ張らないように、花菱蘭子として精一杯お稽古したい」と意気込む。さらに夫の緑郎に視線を送り、「主人の自主公演なので……成功しないと家計に響いてまいります! 切羽詰まっております(笑)。皆さんぜひご声援のほど、よろしくお願いいたします」と記者に呼びかけると、会場は大きな笑いに包まれた。また結婚後初となる緑郎との共演には、「こんなこと言っていいかわからないけど、主人の芸が好きで惚れているので。いっぱい見て吸収したいなと思います」と笑顔を見せた。
緑郎のオファーから本作への出演が決まったと言う春本は、「貴城さんという宝塚(歌劇団出身)の方と初めて共演させていただくので……緊張することばかりで」と胸中を明かす。二十面相に誘拐される令嬢という春本の役どころを、齋藤は「『黒蜥蜴』の早苗と近いかもしれないけど、今度は複雑な生い立ちを持った、陰のあるキャラクター」と紹介。それを受けて春本は「今まではわがままで明るいお嬢さんでした。私本人が暗い人間なものですから(笑)、今回はぴったし! ずっとやりたかった陰がある女性でうれしいです」と齋藤に感謝を述べた。
最後に雪之丞が「『出てもいいよ』と言う方には、『ぜひ出演していただきたいんですけど、ご無理をなさらないようにお願いしますね、いかんせん“自主”でございますので……』とお声がけしました。これだけ大勢の方がご賛同くださって、何よりもありがたいことだなと。『人の情けが身にしみます』と明智のセリフがありますけども、参加してくださる方々のためにもしっかりと作り上げていきたい」と共演者やスタッフに謝辞を述べ、取材は終了した。
「怪人二十面相 ~黒蜥蜴 二の替わり~」
2018年3月30日(金)~4月1日(日)
東京都 サンシャイン劇場
原作:江戸川乱歩
脚色・演出:齋藤雅文
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