今年は「N.O.」で大合唱、福岡CIRCLE閉幕

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5月20日に福岡・海の中道海浜公園 野外劇場でライブイベント「CIRCLE '17」が開催された。

「CIRCLE '17」での電気グルーヴのライブ様子。

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細野晴臣EGO-WRAPPIN'が毎年出演している5月の恒例野外イベントとして、福岡の音楽ファンたちにすっかり定着した「CIRCLE」。終日晴天に恵まれた今回は、前回、前々回に続きCIRCLE STAGEとKOAGARI STAGEの2ステージ制が踏襲され、計13組のアーティストが交互に熱演を繰り広げていった。またDJブースにはカクバリズムの角張渉社長やBOREDOMSのEYヨ、常盤響などが登場。それぞれの個性が光る選曲でライブの合間を盛り上げていた。さらにフードエリアやテントエリアには主催者のこだわりを感じさせる飲食店が軒を連ね、来場者たちは思い思いの楽しみ方で音楽漬けの初夏の1日を満喫した。

Melotronmelon

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Hei Tanakaの田中馨(Vo, B)。

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Melotronmelon / Hei Tanaka

オープニングアクトとしてイベントの幕開けを告げたのは、出演者募集企画「来たれ!ニューカマー!」を勝ち抜いた福岡の4人組バンド・Melotronmelon。この日が初ライブだと言う彼らはKOAGARI STAGEに登場するや、打ち込みと多彩なギターサウンド、そして透明感のあるボーカルを融合させたエレクトロニカナンバーを淡々と演奏していき、深みを感じさせるバンドの世界観を計4曲でアピールしていった。Melotronmelonのメンバーが去ったあとの静かな余韻の中に「おはよう!」と挨拶を響かせたのは、CIRCLE STAGEに現れたHei Tanaka。あだち麗三郎らによるサックスの音色が明るい「MYAN」で観客の心をつかんだ彼らは、それから終始一体感のある演奏で観客の目を釘付けに。田中馨(Vo, B)の熱唱がエモーショナルに響いた「ことり」では、オーディエンスたちの合唱が生まれていた。

D.A.N.の桜木大悟(G, Vo, Syn)。

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cero

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スカートの澤部渡。

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D.A.N. / cero / スカート

D.A.N.は、小林うてな(Syn, Cho, Steelpan)をサポートに加えた4人編成で登場。桜木大悟(G, Vo, Syn)の歌声とシンセパッドがひんやりとした空気感を生み出す「Now it's Dark」や、小林によるスチールパンの音色が美しい「SSWB」など4曲を演奏した。彼らの魅力である軽やかでクールなグルーヴは福岡の音楽ファンの体もゆったりと揺らし、暑さが厳しくなり始めた会場を涼やかな音色で満たした。D.A.N.の演奏が終わると、観客はCIRCLE STAGEに大移動。CIRCLE STAGEのスタンディングエリアが人で溢れ返る中、ceroがライブをスタートさせた。彼らは小田朋美(Key)、厚海義朗(B)、古川麦(Tp)、角銅真実(Perc)、光永渉(Dr)を率いた7人編成でプレイ。「Summer Soul」「DRIFTIN'」など人気曲7曲を濃密なアンサンブルで届け、オーディエンスの期待に応えていた。スカートは、佐藤優介(Key)、清水瑶志郎(B)、佐久間裕太(Dr)、シマダボーイ(Perc)というおなじみのサポートメンバーを引き連れ「CIRCLE」初登場。澤部渡はステージ中央でギターをかき鳴らしながら「ランプトン」「CALL」などを次々と繰り出して、会場を澤部ワールドに染め上げていく。最後はメロディセンスが光る「静かな夜がいい」を熱演して、ゆっくりとステージをあとにした。

ペトロールズの長岡亮介(G, Vo)。

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Yogee New Waves

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KIMONOS

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ペトロールズ / Yogee New Waves / KIMONOS

「CIRCLE」へ3年連続の参加となったペトロールズは、「表現」「Talassa」などライブ定番曲を惜し気なく披露するセットリストを展開。長岡亮介(G, Vo)は持ち前の繊細なギターのタッチを爆音で会場に届け、オーディエンスを酔わせていく。最後は「雨」「Profile」と続け、ドラマチックに今年の「CIRCLE」の出番を終えた。続くYogee New Wavesは、5月17日にリリースした最新アルバム「WAVES」と同じく「Ride on Wave」でライブをスタート。その後も「World is Mine」「Understand」とアルバム収録曲を次々と披露していった。「僕らの一番大切な曲をやります」と前置きして届けた「Climax Night」には、KOAGARI STAGEのスタンディングエリアを満たした大勢のオーディエンスから喝采が送られたていた。向井秀徳とLEO今井によるユニットKIMONOSは、MCを挟むことなく続々と楽曲をプレイ。彼らは2010年のアルバム「Kimonos」の収録曲を中心にしながら、LEO今井「Furaibo」のKIMONOSバージョンや、向井のインストトラック「Dandy in love」にボーカルを加えた「Fruity Night」なども演奏し、ユニットのエッジィな魅力を存分に表現した。

キセル

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細野晴臣

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never young beach

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キセル / 細野晴臣 / never young beach

「こんにちは。キセルです。箸休めに……」と話しながら出番を迎えたキセルは、サポートドラマーにおなじみの北山ゆう子、さらに北山とlakeで共演し、最近キセルのライブにも参加しているサックスプレーヤーの加藤雄一郎を加えた4人でライブを展開。序盤から人気曲である「くちなしの丘」「ベガ」を続け、真夏日ほどに気温が上昇した会場に朴訥としたハーモニーを響かせた。また代表曲「ギンヤンマ」では加藤の演奏がアンサンブルに深み生み出していた。キセルの次は、前日にオリジナルアルバム発売とツアーの開催を発表したばかりの細野晴臣が登場。2012年から5年連続の出演となった今回は伊藤大地(Dr)、伊賀航(B)、高田漣(G)というおなじみのメンバーに、EGO-WRAPPIN'のサポートなどで活躍するハタヤテツヤ(Key)を加えた編成でライブに臨んだ。細野はバンドの面々が「Si Tu Vois Ma Mere」を演奏する中でステージに姿を現し、終始和やかな雰囲気でライブを展開。MCの際には、7月に70歳の誕生日を迎えることに触れ、「全然すごくない。上には上がいる。ミッキーさん……『やすらぎの郷』ね」とミッキー・カーチスのことを話していた。その後は「北京ダック」「Tutti Frutti」「The House Of Blue Lights」などで大人から子供までを踊らせ、最後は「Body Snatchers」でファンを喜ばせた。KOAGARI STAGEのスタンディングエリアを“人の海”のような状態にしたnever young beachは、「どうでもいいけど」でライブをスタート。最初からオーディエンスの視線と耳をロックすると、現在のバンドの勢いを感じさせるような堂々としたパフォーマンスを披露していった。ラストの「お別れの歌」までバンドは一体感のある演奏をエネルギッシュに届けた。

EGO-WRAPPIN'の中納良恵(Vo)。

EGO-WRAPPIN'の中納良恵(Vo)。[拡大]

LITTLE CREATURES×原田郁子。左から2番目はサポートサックスプレイヤーの武嶋聡。

LITTLE CREATURES×原田郁子。左から2番目はサポートサックスプレイヤーの武嶋聡。[拡大]

EGO-WRAPPIN' / LITTLE CREATURES×原田郁子

細野と同様に5年連続の出演であるEGO-WRAPPIN'は、武嶋聡(Sax)、川崎太一朗(Tp)、ハタヤテツヤ(Key)、鹿島達也(B)、末房央(Dr)を加えた編成で、1曲目には「デッドヒート」をセレクト。ラウドなドラムと観客の手拍子が重なる中、中納良恵(Vo)が姿を現した際は、「お帰り!」と叫ぶファンの姿も見られた。それから森雅樹(G)によるギターサウンドを中心にしたカオスなアンサンブルが魅力の「human beat」「!楽団」まで、序盤からノンストップで観衆のテンションを上げに上げていく。少しの挨拶を経て「Fall」で一旦場内をクールダウンさせたあとは、ライブ定番のキラーチューンを立て続けに披露。「Neon Sign Stomp」「サイコアナルシス」「GO ACTION」をノンストップでつなげる攻撃的な展開で観客に休む暇を与えず、盛り上がりを最高潮に誘った。KOAGARI STAGEのラストを飾ったのは、昨年9月に広島で実施されたライブイベント「ONOMICHI MEETING」での共演が発端となったLITTLE CREATURES原田郁子クラムボン)によるコラボステージ。先に現れたクリーチャーズの3人が「MOSQUITO CURTAIN」を演奏したのち、青柳拓次(G, Vo)が観客に「1人足りないでしょ?」と問いかけて郁子を呼び込み、現れた郁子に「ついにメンバーになっちゃったね」と笑いかけた。それからプレイされた「FOUR IN THE MORNING」では、郁子はキーボードとコーラスを担当。ゆったりとしたグルーヴと郁子によるエレピの音色が、夕刻の景色と相まって心地よい空間を作り上げていく。さらに2組はクラムボンの「バイタルサイン」、クリーチャーズの「HOUSE OF PIANO」と人気曲を、このコラボならではのアレンジで届ける。さらに最後には、先ほどエゴのステージを終えたばかりの武嶋聡(Sax)を招き入れ、5人で松田聖子「Sweet Memories」からBEGIN「恋しくて」につなげるカバーメドレーを演奏してオーディエンスを驚かせていた。

電気グルーヴのライブ時のピエール瀧。

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電気グルーヴのライブ時の石野卓球。

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電気グルーヴ

電気グルーヴ[拡大]

電気グルーヴ

完全に日が落ち切ると、「CIRCLE」初登場にして大トリの電気グルーヴが登場。ライブサポートメンバーの牛尾憲輔(agraph)と石野卓球がステージに姿を見せると、CIRCLE STAGE前にびっしりと押し寄せたオーディエンスから大きな歓声が上がった。牛尾と石野が持ち場に着いた頃にピエール瀧が姿を現し、3人は最新アルバム「TROPICAL LOVE」の1曲目「人間大統領」を披露していった。曲中のMCで瀧が「本日は皆さん、お楽しみくださいませませー!」と煽ると、会場にはこの日一番の喝采が響く。それから3人は「顔変わっちゃってる。」「プエルトリコのひとりっ子」と最新アルバムの収録曲を連続で繰り出していった。卓球と瀧の掛け合いやスクリーンに映し出される映像によって会場が“電気ワールド”で染め上げられ、観客はみな笑顔で音に身を委ねていた。また卓球がシンセ前を離れて前線にオーバラップした際の牛尾のサウンドコントロールも出色。彼は忙しそうにフィルターやエフェクト、SEなど操りながら、ライブ感を全開に押し出したパフォーマンスを実現させていた。

そしてライブは「プエルトリコのひとりっ子」と「いちご娘」をミックスさせたアレンジが楽しい「いちご娘はひとりっ子」がプレイされた辺りから、「Missing Beatz」「Shameful」などが続くハードな時間帯へと突入していく。中でも「Shameful」では、硬派なシンセサウンドと卓球の熱唱が会場に轟き、時間が経つに連れてステージ前の人口密度も上昇。さらにそれに呼応して瀧の体の動きも激しさを増していった。「Fallin' Down」を歌い終えたメンバーが「福岡の皆さん、最高です!」「カンパーイ!」と挨拶をしたのを機に、ライブはいよいよクライマックスへ。「Baby's on Fire」「N.O.」の流れで6500人を超えるオーディエンスと合唱をしてこの日のハイライトを作り出した3人は、最後に「ユーフォリック」で爆発的な盛り上がりを生み出して、「CIRCLE '17」のラストを飾った。

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撮影:ハラエリ / chiyori / 勝村祐紀

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