左からKREVA、KEN THE 390

ジャパニーズMCバトル:PAST<FUTURE hosted by KEN THE 390 EPISODE.1(後編) [バックナンバー]

“KREVAスタイル”とは何か?

「B-BOY PARK」の記憶、現在のバトルシーンについて

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梅田サイファーが土下座 約10年ぶりのフリースタイル

左からKREVA、KEN THE 390。

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──KREVAさんは、BBP3連覇以降、MCバトルをそんなに観てないとおっしゃられていますね。

KREVA そんなにどころか、まったく観てない。申し訳ないけど「フリースタイルダンジョン」も観たことなくて。ほかのMCバトルに関しても、YouTubeでFORKがバトルしてたのをなんかの拍子にチラッと観たぐらいで、本当にまったく知らないんだよね。

──それは単純に興味を失っている感じですか?

KREVA フリースタイルをする場面に立ったり、バトルの現場を考えただけで、ちょっとなんか汗かくっていうか、緊張感がよみがえってナーバスになってしまうんだよね。トラウマとまでは言わないけど。だからこの前、大阪で梅田サイファーとフリースタイルしたときも(2023年4月1日、大阪・服部緑地野外音楽堂で行われた「The Cypher 2023 Revenge」)、なんかすげえ変な汗が出たよ(笑)。

KEN 梅田のみんなが手を変え品を変え「お願いします!」と楽屋に頼みに来たという(笑)。

KREVA 俺が出てくるまでずーっとステージでフリースタイルしてて、マイク持ってないやつが入れ代わり立ち代わり楽屋に来るんだよ。で、最終的に土下座みたいな(笑)。そのときもめちゃくちゃ緊張した。10年ぶりとかだったもん。

──パブリックな状況だと、「200万なんて昼飯代」というフリースタイルが飛び出した、2011年の「B-BOY PARK 冬の陣」以来でしょうか。

KEN あのとき、クレさんが“並び替え”をやったと聞いて、俺は超アガりましたね。

KREVA これはセルフオマージュしかないな、と思って、それで並び替えをやって。あと最近は韻を踏まないフリースタイラーがいるって聞いたから、それだったら余裕だなというのもあったし、最後はマイク投げて帰る、みたいな(笑)。

一同 ははは(笑)。

KREVA それで終わったら梅田の全員また土下座(笑)。

KEN それはそうですよね(笑)。ずいぶん前ですけど、俺とサイプレス上野とロベルト吉野とかが名古屋でライブしてたとき、偶然クレさんも名古屋にいて、クラブに遊びに来てくれたんですよね。それでフリースタイルで「KREVAが来てるぜ!」とステージから呼ぶっていう。

KREVA 茂千代のときと同じだよ(笑)。

KEN 俺らも超若手で、直接ちゃんと話したこともないぐらいの時期。で、クレさんはステージに上がってくれたんですけど、バチバチに韻踏んで、お客さんもガンガンに盛り上げて、最後はマイクを投げて帰ったんですよね。だから呼び出した俺らはケチョンケチョン、こてんぱんにやられて。

──フリースタイルハラスメントして、返り討ちにされるという(笑)。

KREVA ははは! フリースタイルハラスメント(笑)。でもこれだけ「フリースタイルすることに価値が生まれる男」っていうのもなかなかいないから、それはそれでいいのかなって思ったりするけどね。

バトルシーンから違う現場でしっかり活躍できる人がもっと出てくるといいよね

──改めてKREVAさんがバトルをどのように考えられていたのか、どんな部分が現在の礎になっているのか、興味深く聞かせていただきました。

KREVA バトルを追いかけてない外側の人間からの意見にはなるけど、これだけバトルの数が増えて、情報も多いと、その中だけでやってると勝ちづらくなってる人もいるんじゃないかな。だからそれこそ、バトルにプラスアルファの要素をどれだけ乗せられるか、みたいなことが大事なのかもしれない。

KEN それは今回話して本当に思いましたね。バトルも歴史が長くなって、情報も増えているし、バトルにネイティブな世代もいて。それは歴史の積み重ねだとは思うんだけど、一方で、ほかのジャンルやカルチャーのアティチュードみたいなものをミックスする重要性も増してきているのかなと。

──自家中毒に陥らないためにも。

KREVA もちろん、バトルの中にもいろんなスタイルがあるんだろうし、いろんなMCがいるとは思うけど、例えば異ジャンルの手法とか方法論は参考にしてもいいのかもね。

KEN めちゃくちゃ思いました。レゲエのクラッシュやB-BOYのダンスバトルから影響を受けて、クレさんがフリースタイルやバトルを進化させたことが今日のお話でよくわかったし、それがシンプルにこれからのMCバトルへのヒントになるかもなって。

KREVA 自分のことで言えば、MCバトルで3連覇するのより、ポップスの世界に乗り込んでスーパーどアウェーでライブするほうが、100倍くらい大変なんだよね。だってCHAGE and ASKAのあとでライブだよ?(笑) 同じ土俵で、同じ価値観を共有する人たちの中で戦うなら、シンプルにスキルを磨けばいいけど、ほかの場所ではそれは通用しないじゃん。

KEN 確かに。

KREVA エミネムはフリースタイルで名を馳せたけど、それ以上に白人として黒人社会の中で戦っていくっていう、もっと強烈な戦いがあったと思うし、そこではMCバトルで鍛えたバトルメンタリティを活用したり、ポジティブな方向に持っていったと思うんだよね。バトルシーンができているのは素晴らしいし、それはいい傾向だと思うけど、それを持って、違う現場でしっかり活躍できる人がもっと出てくるといいよね。音楽だけじゃなくて「話す」とかでもいいわけだし。

左からKREVA、KEN THE 390。

左からKREVA、KEN THE 390。

KREVA(クレバ)

BY PHAR THE DOPEST、KICK THE CAN CREWでの活動を経て2004年にシングル「音色」でソロデビューを果たす。2006年2月リリースの2ndアルバム「愛・自分博」はヒップホップソロアーティストとしては初のオリコンアルバム週間ランキング初登場1位を記録し、2008年にはアジア人のヒップホップアーティストとして初めて「MTV Unplugged」に出演した。2012年9月08日に主催フェス「908 FESTIVAL」を初開催。“9月08日”は“クレバの日”と日本記念日協会に正式認定されている。さまざまなアーティストへの楽曲提供やプロデュース、映画出演、ブロードウェイミュージカル「IN THE HEIGHTS」、「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」の日本語歌詞を担当するなど幅広い分野で活躍しており、2011年には初の著書「KREAM ルールなき世界のルールブック」(幻冬舎)を刊行。本書は2021年6月に電子書籍化された。2023年9月8日に新曲「Expert」を配信リリース。同年9月14日に主催ライブイベント「908 FESTIVAL 2023」を、翌9月15日には「KREVA CONCERT TOUR 2023『NO REASON』」を東京・日本武道館で開催する。

衣装協力 / IM MEN、Ray-Ban

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KEN THE 390(ケンザサンキューマル)

ラッパー、音楽レーベル・DREAM BOY主宰。フリースタイルバトルで実績を重ねたのち、2006年、アルバム「プロローグ」にてデビュー。これまでに11枚のオリジナルアルバムを発表している。全国でのライブツアーから、タイ、ベトナム、ペルーなど、海外でのライブも精力的に行う。テレビ朝日で放送されたMCバトル番組「フリースタイルダンジョン」に審査員として出演。その的確な審査コメントが話題を呼んだ。近年は、テレビ番組やCMなどのへ出演、さまざまなアーティストへの楽曲提供、舞台の音楽監督、映像作品でのラップ監修、ボーイズグループのプロデュースなど、活動の幅を広げている。10月28日にはKEN THE 390が立ち上げたヒップホップフェスティバル「CITY GARDEN 2023」が東京・豊洲PITで行われる。

KEN THE 390 Official

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KEN THE 390 @KENTHE390

KREVAさんとの対談、後編が公開されています📝

MCバトルの話から、最近の梅田サイファーとのフリースタイルや、懐かしの名古屋事件の話まで!

ぜひご覧ください!

https://t.co/iLqQxDopn0 https://t.co/LCYlQA8Tr3

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