星野源、PARCO劇場“部屋”ライブで童貞時代の迷曲熱唱

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星野源が4月4日・5日の2日間にわたり、東京・PARCO劇場にてワンマンライブ「部屋 in PARCO劇場」を開催。満員の観客を前に、弾き語りを中心としたパフォーマンスを繰り広げた。

コタツで思春期の頃に作った歌を次々と披露した星野源(写真は4月4日公演の様子)。

コタツで思春期の頃に作った歌を次々と披露した星野源(写真は4月4日公演の様子)。

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星野源と大久保佳代子の絶妙な掛け合いに観客は大爆笑(写真は4月4日公演の様子)。

星野源と大久保佳代子の絶妙な掛け合いに観客は大爆笑(写真は4月4日公演の様子)。

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MCではお互いの髪質や髪型について盛り上がった星野源と高田漣。星野が中学時代に長髪だった過去が明かされると、会場はどよめいた(写真は4月4日公演の様子)。

MCではお互いの髪質や髪型について盛り上がった星野源と高田漣。星野が中学時代に長髪だった過去が明かされると、会場はどよめいた(写真は4月4日公演の様子)。

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今回のライブは「星野源の部屋」をテーマとした、コンセプチュアルな内容。ステージ上にコタツがあったり、スクリーンを兼ねた巨大テレビがあったりと独特なセットが組まれた。また開演前には、星野自身が影アナを担当。彼が朴訥とした口調で注意事項を読み上げると笑いが起き、会場の空気が徐々に和らいでいく。さらに暗転した後、テレビ画面にオアシズの大久保佳代子が登場すると観客は予想外の展開に驚嘆。大久保による毒と愛情を交えた紹介に続いて、「星野源の恥部を存分に堪能してください」と含みのある言葉でライブの幕が上がった。

大久保に「ぼんやりくん! 出ていらっしゃいよ!」と叱咤されながら登場した星野は、イスに座り「改めまして、星野源です」と丁寧に挨拶。ギターをチューニングしながら、「今日はみなさんを僕の部屋に招くということで、よろしくお願いします」とリラックスしたムードを作り出す。そこから流れるように始まったのは、ライブの1曲目にふさわしい「歌を歌うときは」。続けて「子供」「キッチン」で柔らかな雰囲気に拍車をかけ、「茶碗」では遊び心あるフレーズを盛り込み、明るいサウンドでオーディエンスを魅了した。

MCに入ると星野は「僕の声は眠くなるらしいんですよ。アルバムを通して聴けないって言われて。でも寝ててもいいです。僕の部屋なんで」と笑わせ、「ダラダラ進んでいきますので、みなさんもゆっくり過ごしていただければ」と宣言。会場をひとしきり和ませた後は、“デスロハス”という星野のジャンルを定義付けたというeastern youthの吉野寿との共作「たいやき」が披露された。

その後もライブは順調に進み、「ばらばら」「ひらめき」などアルバム「ばかのうた」からの楽曲がオーディエンスを酔わせていく。このまま心地良い雰囲気で終始するのかと誰もが思った瞬間、テレビに大久保が再び登場。「いい歌歌うのね。でもやっぱり枯れた曲が多いわよねぇ。10代の頃に作った曲があるんでしょう? 童貞時代に作った曲とかさ」と容赦なくツッコむ。すると彼はその言葉に促されるように、舞台の上手にあるコタツへ移動。コタツに足を入れ「このコーナーでは童貞時代に作った曲をやろうと思います」と口にした。

そして始まったのは高校1年生のときに作ったという「だから私は嫌われる」。メジャーコードをかき鳴らしながら、投げやり気味の歌詞を熱唱する星野の姿に、観客は笑いを禁じえない様子。「ダメなポイントは歌詞を説明しすぎてるところ。ポイント2は全力で自分を励ましすぎ。でも一番いけないのはフェイドアウトですよ!」と演奏後に星野がダメ出しをすると、爆笑が沸き起こった。続いて披露された「家出」もフェイドアウトで終わる珍曲。「家出したことないんで、この曲は捏造です。しかも歌詞は悩みっぱなしだし。でもやっぱり一番いけないのはフェイドアウト!」と言い放ち再び会場の笑いを誘う。

しかしコーナーの後半では、5、6年前に作ったフォークソング風の「次は何に産まれましょうか」、高3のときに作ったという壮大なミディアムナンバー「ここに来る」を演奏。アーティストとしての成長をオーディエンスに見せつけた。

テレビの中の大久保が「やっぱり若々しさがあるのはいい!」と褒め讃えたことを機に、次のコーナーに突入。ゲストの高田漣を招き、カントリー調のアレンジが味わい深い「老夫婦」と「ただいま」を続けて演奏。高田の奏でる優しい音色に星野は「なんか漣さんに抱かれてる気がする」とうっとり。高田が苦笑いしながら「間違ってるから」と返すと、星野は「いつもバンドだといろんな音があるからさ。こうやって2人だと包まれてる気がして、抱かれてるみたい」と思いを明かした。

高田とのセッションを経て、ライブも終盤戦に。ポジティブなメッセージが込められた新曲「変わらないまま」と「グー」を続けて歌い上げる。本編のラストナンバーとして披露されたのは「くだらないの中に」。ありふれた日常の愛しさを歌ったミディアムバラードが会場を包み込んでいった。

アンコールは観客との気ままなトークからスタート。「ブランコ」演奏後のMCでは「みんな大変だと思うけど、ちょっとずつ普通を取り戻していけたらと思います。(震災のことは)忘れちゃいけないけど……」「震災があってから、歌の詞の意味が変わって聴こえるんです。でもそれは良いことだなと思います。辛いこともあるし、曲を聴くたびに思い出してしまうかもしれないけど、それを次に生かしていけるようにしたい」と言葉を選びながら語った。

ライブの最後を飾ったのは「くせのうた」。かすれ気味の甘い歌声が、満員の会場を優しい空気で満たしていく。そして星野は「また来てください」とはにかみながら観客に挨拶をして、名演続出の“部屋”ライブに幕を下ろした。

部屋 in PARCO劇場 2011年4月5日公演セットリスト

01. 歌を歌うときは
02. 子供
03. キッチン
04. 茶碗
05. たいやき
06. ばらばら
07. ひらめき
08. 湯気
09. だから私は嫌われる
10. 家出
11. 次は何に産まれましょうか
12. ここに来る
13. 老夫婦
14. ただいま
15. スーダラ節
16. 穴を掘る
17. 変わらないまま
18. グー
19. くだらないの中に
<アンコール>
20. ブランコ
21. くせのうた

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読者の反応

seppaku @seppaku

武道館の部屋演出は、2011年の「部屋 in PARCO劇場」 http://t.co/UJ2NRaEu2l を思い出して、また10代のときに作った曲をやってくれるのかと思った。「Goodbye My Son」の原曲「ここに来る」、いい曲だったんだよな。

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