指原莉乃がプロデュースを手がけるアイドルグループ・≠MEが、11thシングル「排他的ファイター」をリリースした。
恋愛や青春にまつわる楽曲を多く歌ってきた≠MEだが、今作の表題曲ではそういった要素は皆無。“自分対自分”をテーマに、自分を変えたいと思う主人公に対して、もう1人の自分が突き付ける現実に葛藤する心理、「なんで人生ってしょうもないんだろう」と人生に悲観しながらも立ち上がろうとする決意が表現されている。殻に閉じこもった自分を解放するようなハードなダンスやシリアスな歌詞が特徴だ。
このシングルのリリースに合わせ、音楽ナタリーではメンバーのうち蟹沢萌子、鈴木瞳美、谷崎早耶、冨田菜々風、永田詩央里の5人にインタビュー。≠MEの新たな一面を引き出した「排他的ファイター」についてそれぞれの印象を語ってもらった。
取材・文 / 左藤豊撮影 / 堀内彩香
楽曲を聴いて気合いが入った
──11thシングル表題曲「排他的ファイター」は、≠MEにとってひさびさのハードなダンスナンバーです。サビには「なんで人生ってしょうもないんだろう」といった印象的なフレーズがあり、シリアスな世界観の楽曲となっていますね。
蟹沢萌子 前作の「モブノデレラ / 神様の言うとーり!」の両A面シングルでは対照的な2曲が表題曲だったので、メンバーみんな「次の表題曲はどんな曲だろう?」と楽しみにしていました。今回いただいた「排他的ファイター」はひさしぶりのアップテンポなダンスナンバーということで、来年の7周年に向けてギアを上げるタイミングが来たなと気合いが入っています。
谷崎早耶 最初にこの楽曲を聴いたとき、歌詞がとても印象に残りました。1サビの「なんで人生ってしょうもないんだろう」はインパクトがあるフレーズですが、最後のサビでは「なんでこんなんでも生きたいんだろう」と歌っていて、主人公の心情が変化しているんです。「排他的ファイター」という1つの物語を表現できるのが楽しいです。グループ結成7年目にして、また新しい引き出しを開けたような感覚があります。
冨田菜々風 「モブノデレラ」に続いて今作も、誰かの心に寄り添うことができる歌詞だと感じました。この曲に描かれている感情は、表には出さなくてもきっと誰しもが抱えているはずですし、聴く人の背中を押すことができたらいいなと思っています。メッセージ性のある楽曲がシングルの表題曲として2作続いているので、≠MEも誰かに勇気を与えられるグループになってきているのかなと実感できてうれしいです。
永田詩央里 サウンド面で言うと、クールな楽曲はこれまでにもありましたが、「排他的ファイター」はピアノの音が入っていたり、ベースのフレーズもとてもカッコよく、最初に聴いたときに「また新しい表現に挑戦できるんだ」と思い、緊張感が走りました。
鈴木瞳美 確かに。歌もダンスも絶対に難しいと思い、私も気持ちがそわそわしました。これは相当気合いが必要だと感じました。
見たことのない私たちの姿が映っている
──歌もダンスも、今までよりさらにハイレベルなものを求められたと思います。実際にレコーディングやレッスンに挑んでみていかがでしたか?
鈴木 カッコよく歌うことが難しかったです。私は声が高いほうなので「どう歌えばカッコよく聴こえるんだろう」と試行錯誤しながらたくさん練習しましたし、グループでの声のバランスも考えました。また、ダンスもカッコいい仕上がりで、本当に素敵な振付を作っていただきました。ユニゾンの部分はとにかくそろえることを意識しています。また、メンバーそれぞれが分かれて踊る部分もあり、見応えのあるダンスになっていると思います。
谷崎 今作の振付はs**t kingzのshojiさんに手がけていただきました。shojiさんはとても優しく、振り入れのときもたくさん盛り上げてくださいました。
鈴木 少し進歩があると、ものすごく褒めてくださるんです! ダンスは確かに難しかったのですが、≠MEは褒められて伸びるタイプのグループなので、振り入れの時間は楽しかったです。
谷崎 振りがメンバーごとに違うので、1人ひとりにダンサーさんが付いてくださり、マンツーマンで指導していただきました。ここまで細かい指導を受けたのは珍しかったです。
冨田 本当にメンバーそれぞれ違う動きをしているので、注目していただきたいです。何回でも観てほしいです。
永田 今回、落合希来里ちゃんと本田珠由記ちゃんと私の3人で間奏のダンスパートを踊っています。楽曲の中で印象的な展開を生み出して、パフォーマンスを観てくださる方の心を動かせるように、3人でたくさん練習しています。
蟹沢 指原さんにも私たちのリハーサルをチェックいただいて、たくさんアドバイスを頂戴しました。冒頭のダンスに対して「もっとパワーが欲しい」と指摘いただいたり、腕の角度などの細かい部分まで指示をいただいたりして、パフォーマンスの精度を上げることができました。練習を重ねるたびに呼吸や足音がぴったりとそろっていく感覚を味わえたので、指導してくださった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
──ミュージックビデオの監督を務めたのは、≠MEと初めてのタッグとなる後藤匠平さんです。撮影で印象に残っていることを教えてください。
冨田 まずMVのテーマが「自分対自分」であることをお聞きして、そのインパクトのあるテーマに驚きました。MVに2種類の姿のメンバーが登場するのですが、1人の自分がもう1人の自分を打ち破りに行くという構成で、「自分の殻を破りたい」といった思いが投影されています。
蟹沢 無機質で偶像的な私たちを、私たち自身が倒しに行くんです。いろいろな想像や解釈ができるMVになっているので、ぜひご覧いただき、考察してもらえたらうれしいです。
鈴木 衣装が2種類あり、それぞれのシーンで踊り方も違うんです。ブラウンの歌唱衣装のときはカッコよく踊っていて、さわやかな水色と白色を基調にした衣装では比較的笑顔が多いので、その対比にも注目していただきたいです。あと、スーパーボールを使った終盤のシーンも見どころです。CGではなく、本物のスーパーボールを浴びながら踊るという初めての経験をしました。見たことのない私たちの姿が映っていると思います。
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≠MEのイメージを打ち破る衣装や髪型




