タイのガールズポップグループ・GAMMAをご存知だろうか? タイ出身のアーティストと言えば、BLACKPINKのLISA、WayVのTen、i-dleのMINNIEといったグローバルアーティストを思い出すだろう。いまタイではK-POPの影響を受けつつ、独自のアイデンティティを打ち出したT-POP(タイのポップス)が盛り上がっているという。
そんなシーンの新星として登場したのがJean、Griffin、Mila、Skye、Pingpongの5人からなるGAMMAだ。今年6月に「Turn It Into Gold」でデビューしたばかりだが、日本人ダンサーのHOnOKAが振付を担当した同曲のミュージックビデオはYouTubeで130万回再生を突破。その勢いのまま7月に2ndシングル「Summer Break」、9月に3rdシングル「MATADOR (Man I Adore)」を立て続けに発表している。
日本での活躍も期待されるGAMMAが、このたび新曲のMV撮影のために来日。音楽ナタリーでは、注目の彼女たちにインタビューを実施した。日本ではまだ未知のジャンルであるT-POP。彼女たちがどんなスタンスで活動しているのか、またどんな音楽に影響を受けているのかなどなど、さまざまな質問をぶつけてみた。K-POPとも、J-POPとも違う、新しい価値観を提示するGAMMAの言葉を感じてもらいたい。
取材・文 / 宮崎敬太撮影 / 佐々木康太
1人ひとりが個性的に、美しく
──GAMMAはどのようなグループですか?
Mila 宝石にガンマ線という電磁波を当てると色を変えることができるんですね。そこから着想を得て、私たちも自分たちを宝石に見立てて、1人ひとりがより個性的に、より美しく輝きたいというコンセプトで活動しています。ちなみに私の担当は再生と自信を象徴するペリドット。グループに冷静や落ち着きをもたらす存在になりたいです。
──皆さんがGAMMAに加入した経緯を教えてください。
Jean 私は小さい頃からアーティストに憧れていて、母も音楽やダンスが好きだったので、事務所であるPERSONA ENTERTAINMENTのオーディションを受けました。ちなみに私の宝石はアメジストで、セクシーさとミステリアスな大人の魅力を持ってグループに気高さや気品をもたらす存在になりたいです。
Griffin Jeanはいろいろできるんですよ!
Jean ドラム、ギター、ピアノ、フルート、あと乗馬やアイスケートも。私は運動全般が得意です。でも一番は歌とダンスです(笑)。
Griffin 私も小さい頃からアーティストへの憧れがあって、幼稚園の頃からお遊戯会で歌やダンスを披露していました。その気持ちのまま10代を過ごして、徐々に自分自身が誰かに夢を与えられる人に、憧れられる人になれたらいいなと思うようになって、オーディションに応募してGAMMAに加入することができました。私が担当する宝石はガーネットで、グループの力強さと情熱を表現しています。
Mila 私もGriffinと似ていて、小さい頃からステージに立って、ダンスや歌を披露していました。成長の過程で自分が好きなことを職業にできると気付いて、オーディションに応募しました。今こうやって好きなことを職業にできてとてもうれしいです。実はこれまでいろんなオーディションにチャレンジしてきたけど、うまくいかなくてあきらめかけていたんです。「これがダメだったらもう夢をあきらめよう」と思って受けたのが今回のオーディションでした。
Skye 私の場合は家族が音楽好きで、小さい頃からピアノやバイオリンを習っていました。こういう仕事に憧れたきっかけは10歳のとき、タイの国立競技場でOne Directionのコンサートを観たことです。「こんなことができるんだ!」とすごく衝撃を受けて、自分もこういうステージに立ってみたいと思うようになりました。家族もたくさん応援してくれたので、歌とダンスの練習を始めて。大変なこともあったけど、One Directionを観たときの衝撃と情熱は今でも思い出せます。私は観客の皆さんを笑顔にできるアーティストになりたい。いずれは京セラドームや東京ドームのようなステージに立てるようにがんばりたいです。GAMMAではアクアマリンを担当していますが、私自身、すごく明るいポジティブなキャラクターなので、穏やかさと力強さを感じるアクアマリンがぴったりだと思います。
Pingpong 私が歌やダンスに本格的に興味を持ったのは2年前。とあるアーティストのパフォーマンスを観て、自分もやってみたいと思うようになりました。私はタイのコラート(ナコーンラーチャシーマー)という街に住んでいたので、オーディションがあるたびに両親がバンコクまで3、4時間かけて車で送ってくれました。こうしてGAMMAの一員になれたのは両親のおかげでもあります。いつかその憧れのアーティストと共演することが夢です。ちなみに私はグループ最年少の17歳で、担当している宝石はモルガナイト。ピンクのかわいい宝石で、私もグループにそういう魅力をもたらせたらなって思っています。
好きなアーティストは……
──皆さんが影響を受けたアーティストを教えてください。
Jean 私はXGが好きです。ほかのアーティストとはちょっと違うというか、個性が強いグループだと思うんです。彼女たちを観ていると、「私はみんなと同じじゃなくていいんだ」と思える。新しいことにチャレンジしていく精神が好き。人と違うことを個性にしてみんなに認めさせているところが好きです。
Griffin 私はBTSです。歌やパフォーマンスはもちろんなんですが、音楽が素晴らしくて常に心をつかまれるアーティストですね。
Mila 私はWayVのTenさんです。彼はダンスがすごく上手なのですが、以前足を痛めたことがあったんです。そこから歌を練習し始めたそうで。歌もダンスもすごい実力を持っているうえ、さらに努力家でもあるところを尊敬しています。Tenさんのパフォーマンスを観ていると惹き込まれて、涙が出てしまうんですよね。私もそういう姿勢を見習いたいと思っています。
Skye 最初に衝撃を受けたアーティストはさっきも話したOne Directionですが、私はグループのラップ担当なので、XGのJURINさんをお手本にラップの練習をしました。1人の女性としても彼女に憧れています。
Pingpong 私はITZYのYEJIさんです。私がこの仕事をしたいと思ったきっかけになった人です。落ち込んでいるときもYEJIさんのパフォーマンスを観ると力をもらえます。歌もダンスも全部好き。ステージではすべてを出し切るようなパフォーマンスをされるんです。本当に明日がないんじゃないかっていうくらい。そのものすごい一生懸命さが素敵だと思うし、惹かれます。
──アーティスト性の高いグループが多いですね。最初にグループのコンセプトを教えていただきましたが、メンバーの皆さんはどんなイメージを持って活動されていますか?
Jean 女性の強さを見せたいと思っています。私たちは歌もダンスもラップもできるグループですが、メンバーそれぞれの個性も生かしていきたい。みんなそれぞれにコンプレックスがあるけど、私たちはそれを個性として捉えています。みんな違う個性があるよねって、認め合いつつパフォーマンスしていけたらなって。
Griffin 今はタイで活動していますが、これからは世界を視野に入れていろんなジャンルの歌にも挑戦したいです。これまで発表したシングルは英語詞ですが、タイではあまりこういうスタイルのアーティストはいません。タイのマーケットにも刺激を与えられるアーティストになりたいです。
──タイのアーティストはタイ語の曲がメインなんですか?
Mila そうですね。全部英語で歌うアーティストはかなり少ないと思います。
Skye そういういろんなチャレンジをしたい。私たち5人はそれぞれ違う個性を持っているけど、GAMMAとして一緒にいることでさらなる力を発揮できると思います。そのためにがんばっていきたいです。
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裏で練習しているときですら楽しい



