キニナル君が行く!

キニナル君が行く! 第13回 [バックナンバー]

音楽プロデューサーの仕事って?

本間昭光さんに直撃取材!

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ヤッホーみんな! 僕、キニナル君。音楽愛する大学生♪ 将来の夢は音楽でごはんを食べていくことだよ。でも、正直わからないことばかり。だからこの連載を通して、僕が気になった音楽にまつわるさまざまな疑問を専門家の人たちに聞きに行くよ。

突然だけど、みんなは音楽プロデューサーってどんなことをしてるのか想像できる? 作曲とか編曲ならわかるけど、プロデュースはいまいちよくわからなくて……。でも世の中には実にたくさんのプロデューサーがいるから、音楽制作において重要なポジションであることは間違いないと思うんだ。そこで、ポルノグラフィティいきものがかり、近年では天童よしみさんや鈴木雅之さんなどを幅広くプロデュースしている本間昭光さんに話を聞いてきたよ!

取材・/ キニナル君 撮影 / 押尾健太郎 イラスト / 柘植文

プロデューサーって?

──まず最初に伺いたいんですが、ずばり、プロデューサーとはどんな仕事をする人なんでしょう?

本間さんにずばり質問するキニナル君。

本間さんにずばり質問するキニナル君。 [高画質で見る]

新しく作品を生み出す仕事なので「制作者」という言葉が近いかもしれないね。プロデューサーには主に2つのタイプがあって、自分で曲を作るタイプと、誰かに依頼するコーディネータータイプの人がいるんだ。日本のプロデューサーの多くは前者。アメリカは、どちらかと言うと後者が多いかな。

──それってどう違うの?

アメリカだと制作費の調達からやるプロデューサーが多いけど、日本はレコード会社から依頼を受けて進める請負型に近い仕組みだよ。事務所が自分たちでアーティストを見つけて育てるケースもあるけど、日本独特の慣習や業界構造があって、アメリカ型になるには時間がかかると思う。

──例えばもふくちゃん(福嶋麻衣子)さんは、自分では楽曲制作はやらずにでんぱ組.incをプロデュースしてましたよね。

うん、彼女は制作を完全に外部に任せて最終的に全体をまとめる、まさにコーディネート型のプロデューサー。自分で作詞作曲をしなくても、「でんぱ組.incにはこの人が合う」「この曲調がフィットする」というのを見極めて組み合わせる。自分ではやらないからこそできるサウンドってあると思うんだよね。今の時代、やり方は本当にさまざま。僕自身は曲に手を加えたくなっちゃうから、プロデュースさせてもらえるなら曲作りも任せてもらったほうがいいタイプということだね。

曲への関わり方

──よく「曲をブラッシュアップする」という表現を聞きますが、プロデューサーとしてどの程度まで介入するんですか?

それは本当にケースバイケースかな。ただ、僕は基本的には待つ時間を大事にしている。本人がどこまでできるかを見極めながら、ヒントを出して考えさせる。悩む時間って本当に大切なんだ。産みの苦しみがないと、深い作品は生まれないから。僕はそれを見守って、最後に“調味料”を少し加えるくらいが理想かなと思う。

──調味料というのは?

“調味料”が今ひとつ理解できないキニナル君。

“調味料”が今ひとつ理解できないキニナル君。 [高画質で見る]

曲としてはもう完成しているけど、何かひと味足りないときがあるとするよね。ファッションで例えると、ブラックスーツに、赤いチーフを入れるか、白いチーフにするか……そうやって“差し色”を足す感覚かな。「こういう音を入れてみたら?」と提案して、やってみると作品が引き立つことがある。そこでアーティストが「すごく変わりましたね」と納得したり、驚いてくれたりすると一気に信頼関係が深まる。最初から「こうして」「ああして」と押し付けるやり方もあるけど、僕はそういうスタイルではない。

──でも、お互いに納得できればいいけど、アーティストも主張が強い人が多そう……。アーティストが「絶対にAがいい」と主張していて、本間さんは「Bのほうがいい」と思うような場合はどうします?

よくある(笑)。その場合、まずはAを一度認めるところから入る。認めないことには、アーティストは納得しないから。一旦Aを試してみて、「こういうのもどう?」「ここにこういう要素を入れたらもっと生きるよ」と少しずつ提案していく。「君の曲は野球でいったら全部ストレートだから、Bメロでカーブを入れないとホームランを打たれちゃうよ」なんて例え話をしながら(笑)。そうすると、自分で考えるアーティストほど「ちょっと聴いてみようかな」となって、「確かにBのほうがいいかも」と気付いてくれるよ。

──頭ごなしに否定はしないんですね。

それは絶対ダメ。まずは全肯定から入る。そのうえで「ここを少し変えるとさらによくなるんじゃないかな」と伝える。もちろん、「それでもAがいい」とアーティストが言ったら、そっちを優先する。なぜなら作品はアーティストのものであり、最終的な責任はアーティストにあるからね。

プロデューサーとして意識していること

──アーティストをプロデュースする際、本間さんはどんなことを重視していますか?

まず、そのアーティストがどこを目標にしているのか。とにかくヒット曲を出したいのか、ライブ会場を満員にしたいのか、フェスに出たいのか。それぞれ目指しているものが違うから、そこをしっかり話して一緒に方向を決めていく。それが大事なスタートだね。

──そしてゴールに向けた手助けをするわけですね。

いや、実はゴールはないんだよ。

──えっ? どういうこと?

ゴールはないというか、自分が関わったアーティストがその期間に得たインスピレーションをもとにその後も音楽活動を続けてくれること──それを僕自身は一番重視している。もちろん曲がヒットすればうれしいけど、それよりも、僕と一緒に過ごした時間の中で話したことや見た風景がその人の中に残っていて、活動の糧になってくれることがうれしい。アーティストの人生の一端を担うような気持ちでいるよ。

──それが単発のプロデュースであっても。

そう。1曲だけプロデュースしたアーティストのライブを3年ぶりに観に行った際、その成長ぶりにびっくりしたことがあって。楽屋で「すごくよくなったよ」って話したら、「あのときは生意気でごめんなさい」なんて言われたりして(笑)。でもそういう瞬間が本当にうれしい。

──そのアーティストの成長は、どういった部分に感じたんですか?

ライブパフォーマンスだね。以前は内向きだったのがすごく外向きになっていて、エンタメとして“お客さんを楽しませる”ということにちゃんと向き合って、工夫して、次のステージに進もうとする意欲が見えた。そういう瞬間を見られるのが何よりの喜びだよ。

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作曲・編曲とプロデュースの違い

読者の反応

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MVNace 🌊RIVER @melvinace88

@natalie_mu 本間昭光さんのような音楽プロデューサーは、アーティストの楽曲制作やアルバム制作の全体を統括する役割を担います。具体的には、作曲や編曲の方向性を決めたり、レコーディングの進行管理、サウンドの調整、演奏者やエンジニアとのやり取り、時には歌詞やメロディのアドバイスも行います。ポルノグラ

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