メンバー全員がバンドと社会人を両立する“二刀流バンド”の少年キッズボウイが、12月10日にメジャー1st EP「もっと少年キッズボウイ」をリリースした。
今年5月に日本クラウンからメジャーデビューした少年キッズボウイ。映画館スタッフ、某鉄道会社の電車運転士、アパレルショップ店員などさまざまな職種の8人が、仕事経験を生かしながら共感性の高い楽曲を生み出している。音楽ナタリーでは、メンバーを代表してアキラ(Vo)、こーしくん(Vo)、山岸(G)の3人と、そんなバンドの魅力にノックアウトされたソノダマンとの対談をセッティング。ソノダマンは年間100本以上のライブに足を運んではレポートをブログにアップしている人物で、ロックファンの間ではその熱量の高い行動力と文章が人気を博している。
これまでに多数のロックバンドをライブハウスで見てきたソノダマンの琴線に、なぜ少年キッズボウイの音楽が触れたのか? それを紐解いていく中で、少年キッズボウイのバンドとしての魅力が伝わってきた。
取材・文 / 森朋之撮影 / 大橋祐希
“普通の客”が対談に登場
──少年キッズボウイとソノダマンさんとの関係から教えてもらえますか?
ソノダマン 普通に客としてライブに行ってるだけですね(笑)。
山岸(G) いつも来てくれてますからね、ソノダマンさん。一番仲がいいバンドは僕らじゃないですか?(笑)
ソノダマン 確かに、ここまでよく話してるバンドはほかにいないかも。
こーしくん(Vo) 対バンライブだと、俺らが終わったあと、一緒にライブを観てたりしますね。「お疲れ様です」って乾杯して(笑)。
アキラ(Vo) 東京近郊だけでなく、名古屋とかにも来てくれますからね。ソノダマンさん、1年で何本くらいライブを観てるんですか?
ソノダマン 去年は230本くらいでした。
山岸 すごい! 仕事をしていて、それだけライブを観てる人はいないですよ。
ソノダマン 初めて少年キッズボウイを観たのは、2023年4月の新宿red clothですね。その前の週に行ったイベントで少年キッズボウイの曲がかかってたんですよ。そのときは全然知らなくて、BGMを担当していた人に「これ、誰の曲ですか?」って聞いて。その場で「来週ライブあるから行こうよ」と。
山岸 そのイベント、「若者のすべて」(2023年4月2日に日比谷野外音楽堂で行われた「若者のすべて-YOUNG,ALIVE,IN LOVE MUSIC- #04」)ですよね。僕とこーしさんも行ってました。
アキラ どの曲がかかってたんですか?
ソノダマン 「最終兵器ディスコ」です。
こーしくん ちょうどリリースしたばっかりだったんですよ。
ソノダマン その曲を聴いて、すごくいいなと思って。ライブに行く前に配信されている曲も全部聴いたんですけど、どれもめっちゃよかったんですよ。ライブを観たときもやっぱり全曲よくて。
山岸 めっちゃうれしいです。
ソノダマン まだ発表されてなかった「イン・ザ・シティ」もすごい曲で。そのときにメンバーに話しかけたんですよ。最初に話しかけたのがドラムのGBさんだったんですけど、見た目がなんというか、ちょっと怖い感じで(笑)。話したらいい人だったんですけど。
山岸 それからライブのたびにお話ししてます。あまり仕事の話はしないですけど、この前、職場がけっこう近いことがわかって。職場の人にソノダマンさんだってことは話してるんですか?
ソノダマン しないです。話したところでなんのことかわからないだろうし。
アキラ 私たちもみんな仕事しているので、よく「会社の人にバンドやってることを話してるんですか?」って聞かれるんですよ。
山岸 僕も職場では話してないですね。ライブの日はけっこう早めに退社しなくちゃいけないから、「何やってるんだろう?」と思われてるかもしれないけど。
「少年キッズボウイの楽曲は百発百中で曲がいい」
──ソノダマンさんはライブをたくさん観るだけでなく、ブログやX(Twitter)でライブレポートを書かれてますからね。
山岸 そうなんですよ。red clothのライブもレポートしてくれて、それがものすごい熱量で(参照:新宿Song Book 出演:えーるず / THE 抱きしめるズ / 少年キッズボウイ / ザ・ラヂオカセッツ @新宿紅布 4/21)。
アキラ 毎回読ませてもらってます。曲順とか、どうやって覚えてるんですか? ライブのときはメモ取ってないですよね?
ソノダマン 普通に記憶してます。職場で資格試験がたまにあるんですけど、1ミリも興味ないのに一発で受かるんですよ。たぶん記憶力がいいんだと思います(笑)。
こーしくん 「こーしくん、パーマかけた?」みたいなことを書いてもらったこともあって。よく気付くなあって思いました(笑)。実はパーマじゃなくて、天パなんですけどね。
山岸 ギターのカツマタがストレートパーマをかけたときも触れてくれて(笑)。
──ソノダマンさんにとって、少年キッズボウイのライブの魅力とは?
ソノダマン さっきも言いましたけど、曲のよさですね。ライブで初めて聴いても一発で覚えられるし、それは「メロディがいい」という理由でしかないと思っていて。百発百中ってあり得ないじゃないですか。
山岸 ありがとうございます!
こーしくん うれしいです。作ってる段階では10曲のうち9曲はボツにしてるんですけどね。
ソノダマン そうなんですか!? ボツになった曲も聴いてみたいです。
こーしくん 僕はメロコアが好きで。前に話したときに、ソノダマンさんもメロコア好きだと言ってたので、そのあたりでわかり合えてるのかもしれないですね。
2000~2010年代のロックに共感
山岸 音楽的なルーツってどんな感じなんですか?
ソノダマン え、そんな話しても誰も喜ばないような……。
アキラ 今日はそういう話をする日なので(笑)。
ソノダマン そうなんですか?(笑) えーと、原点はGOING STEADYですね。高校生のとき青春パンクブームの真っ只中で、その後、2003年にアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)がメジャーデビューして。その頃からいろんなバンドを聴くようになったんですよね。
こーしくん やっぱり。僕も一緒です。
アキラ フェスにも行ってました?
ソノダマン はい。ゴイステは知って半年後くらいに解散しちゃったので、銀杏BOYZのライブに行き始めて。銀杏は当時、「ROCK IN JAPAN」にも出ていたんですよ。その頃はまだステージが2つしかなかったんですけど、メインステージ(GREEN STAGE)にBACK DROP BOMBやHUSKING BEEとかが出ていて。「こんなカッコいいバンドが、こんなにいっぱい人を集めてるんだ!?」ってびっくりしたんですよね。「Dragon Ash、カッコいい!」みたいな。
山岸 現場でいろんなバンドを知っていったんですね。
ソノダマン はい。アジカンがやっていた「NANO-MUGEN FES.」もデカいですね。海外のバンドも呼んでいて、そこから洋楽にも興味が広がって。
山岸 「NANO-MUGEN」のコンピ盤もありましたよね。あのコンピに入ってるアジカンの曲、全部いいんだよな……。
ソノダマン いい曲ばっかりですね。今年の「NANO-MUGEN FES.」もすごくよかったです。ただ、初めてのライブハウスはメロコアのバンドじゃなくて、キンモクセイだったんですよ。CDを買ったらライブに行けるという企画があって。今みたいな感じで行くようになったのは、やっぱり銀杏がきっかけですね。
山岸 そうなんですね。僕らは大学生になるまでライブハウスに行ったことがなくて。
こーしくん 僕もそう。
アキラ あ、そうなんだ。
こーしくん うん。宮城県石巻市出身なんですけど、高校生の頃までは全然ライブがなくて。ひたすらYouTubeとiTunes Storeで音源を聴いて、あとはいろんなバンドのライブレポートやブログを読み漁っていました。
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