ICEx「Da-Da-Da」インタビュー|ついに“化けの皮”がはがれる?ICEx史上最難関ダンスで魅せる新境地

ICExがニューシングル「Da-Da-Da」をリリースした。表題曲はメンバーが敬愛する先輩・超特急のタクヤが主演を務めるドラマ「地獄は善意で出来ている」の主題歌。ICExのさわやかなイメージを一新するような、クールかつダークなダンスチューンだ。

音楽ナタリーではメンバー全員にインタビュー。高難度のダンスやラップに挑んだ新曲の制作秘話はもちろんのこと、今年行われた「ICEx Third Concert Tour 2025 "BOKUNCHI"」「ICEx Fight!!」について、「2025年のICEx 3大ニュース」など、濃密だった2025年の活動を総括してもらった。

取材 / 三橋あずみ文 / 獅々堀智世撮影 / 曽我美芽

「BOKUNCHI」で得たもの

──8月から9月にかけて行われたツアー「ICEx Third Concert Tour 2025 "BOKUNCHI"」はこれまでとは少し異なる、ストーリー性を感じさせる内容でしたね。

志賀李玖 「BOKUNCHI」は「地元を回ろう」「みんなで帰ろう」っていうテーマがあったので、そのストーリー性を意識していました。これまでのライブと比べるとエンタメ要素も多くて、新鮮なライブだったんじゃないかな。

志賀李玖(Illust by 志賀李玖)

志賀李玖(Illust by 志賀李玖)

中村旺太郎 学びも多かったです。ツアーを通じてアクシデントに対応する力も付きました。

──特にファイナルの2日間は、初日は山本さんが体調不良のため欠席、翌日の1部でライブ中に八神さんが腰を負傷して2部は全編には参加できず……と、現場はとても大変だったのではないかと思います。

中村 最終日にまさかあんなことが起きるとは思わなくて。でもそれをどう対処するのか、メンバーで力を合わせて1つの課題を解決しにいく姿勢が一致したので、結果的にいいパフォーマンスになりました。

筒井俊旭 ライブ直前、スタッフさんと一緒に誰がどこをカバーするかを急いで決めて。怪我をした八神に関しては、彼が無理のない範囲でステージに立てるように「どこまでならステージに出れるのか」をみんなで話し合いました。

筒井俊旭(Illust by 筒井俊旭)

筒井俊旭(Illust by 筒井俊旭)

──志賀さんが、千田さんと八神さんのユニット曲「listen to your heart」を八神さんに代わって歌唱するという場面もありました。

志賀 2人の楽曲なのでやっぱりプレッシャーはあったんですが、歌わせてもらうこと自体は貴重な経験で。責任を感じながらもがんばりました。「listen to your heart」は好きな楽曲でよく聴いていたので、メロディは頭に入っていたんです。COOLer(ICExファンの呼称)のみんなも温かく聴いてくれてうれしかったです。

八神遼介 前日に(山本)龍人が出られないことがわかってから一丸となって7人でがんばっていたので、怪我をして出られなくなったことはすごく悔しかったんですけど、そんな中でもみんなは支えてくれて。ステージ裏で見ていて頼もしさを感じました。

山本龍人 僕が参加できなかった1日目の映像を家で1人で観たとき、メンバーの優しさや温もりをすごく感じて……こんな素敵な7人に出会えてよかったなと改めて思いました。僕が復帰した2日目は、COOLerの皆さんはもちろん、八神にも思いを届けるつもりで臨みました。八神の悔しい気持ちがわかる分、支えてもらった側の自分が今度は恩返しをするつもりで。そんな思いも相まって、すごくいいライブになったと思っています。

山本龍人(Illust by 山本龍人)

山本龍人(Illust by 山本龍人)

──「BOKUNCHI」ではツアーならではの演出やパフォーマンスも多く、見どころがたくさんありました。皆さんの中で、特に印象的だった見せ方や、「これ好きだったな」という曲や演出を教えて下さい。

阿久根温世 オープニングで1人ひとり出てきてポーズを決めるという演出は初めてだったんですが、やっててすごく楽しかったし、お客さんにも楽しんでもらえてよかったですね。

八神 実は演出は全部ガッチリ決まってるわけではなく、自分たちのその場の雰囲気に委ねられる部分も大きかったんです。地方ごとにお客さんの雰囲気がさまざまで、その場でメンバーが適応して楽しそうにやっていたのが印象的でした。

──そのときどきでアドリブ的なものもしていたんでしょうか。

阿久根 はい。アドリブも多かったと思います。

八神 あとは毎公演、終演後に「パジャマトーク」というアフタートーク的な配信があったんですが、そこは台本も何もなく、完全にその場のテンション感でやっていました。今回のコンセプトライブというテーマにおいて、あのラフ感はすごくよかったと思います。

タクヤくんの言葉を聞いて……

──ニューシングルの表題曲「Da-Da-Da」は超特急のタクヤさんが主演を務めるドラマ「地獄は善意で出来ている」の主題歌ですね。

中村 地上波のドラマ主題歌を担当するのは初めてだし、僕たちのファンの方々はもちろん、ドラマの視聴者の方々や8号車(超特急ファンの呼称)さんなど、ICExのことを多くの方に知っていただける機会をいただけて正直かなりうれしかったですね。

中村旺太郎(Illust by 中村旺太郎)

中村旺太郎(Illust by 中村旺太郎)

山本 ドラマの最後の、「次の話気になるな」っていう完璧なタイミングで「Da-Da-Da」が流れるんですよ。素敵な形で使ってくださってうれしいです。視聴者の方々の印象にも残ってくれてるんじゃないかなとも思うのでありがたいですね。

──ICExの皆さんにとって、タクヤさんはどんな存在ですか?

八神 先輩の中の先輩。個人的に一番オーラがある方だなと思っています。

山本 僕はタクヤくんが3年前の「EBiDAN THE LIVE」で「EBiDANみんなでもっと売れようぜ!」と宣言していたのが心に残っています。僕からしたらこう、先頭に立ってEBiDANを引っ張ってるイメージがあるので……。

八神 この言葉を聞いたとき、白ひげ海賊団になった気分でした!

竹野世梛 何!?(笑)

八神 いや、「ONE PIECE」に出てくる白ひげ海賊団は隊長の白ひげのためならなんだってするんですけど、それと同じで、タクヤくんの「売れようぜ」って言葉を聞いたときに「この人のためにがんばらなきゃダメだ!」と思わされたんです。

──それくらい、タクヤさんの言葉は心が燃えるものだったんですね。

阿久根 タクヤくんとお会いしても、先輩だから緊張してなかなか話せないんです。けど僕はドラマでご一緒させてもらったり、この間はモデル活動が一緒だったりで何度か共演したことがあるので、メンバーの中ではお話しする機会が多いほうかも。ICExの話とかもさせてもらうんですけど、優しくて人柄のいいお兄ちゃんのような先輩です。それでも緊張して上手に話せないんですけど……(笑)。

阿久根温世(Illust by 阿久根温世)

阿久根温世(Illust by 阿久根温世)

やりよったな

──「Da-Da-Da」は、これまでの表題曲と比べるとよりカッコよさ、クールさに振ってますよね。レコーディングはいかがでしたか?

中村 僕は「Da-Da-Da」で初めてラップをさせてもらいました。1番と2番で同じ箇所を歌うので、何かしら違いを作りたくて。1番はいつも通りの感じでやったんですが、2番に変化を持たせるためにいろいろ試行錯誤しました。その中で、レコーディングのときにすごくダミ声というか、かなりガラガラした声が出た瞬間があったんです。

千田波空斗 エッジボイスだよね。

千田波空斗(Illust by 千田波空斗)

千田波空斗(Illust by 千田波空斗)

中村 ディレクションしてくださる方と「これ、すごくいいんじゃないか」と盛り上がって。多用する案も出たものの、さすがにそのパートの前の龍人との掛け合いのインパクトが強すぎたので、結局なしになりました。でも音源には、僕がダミ声で歌う「オンマイウェイ」が若干入ってるんです。ぜひ聴いてみてほしいです。

──新たな自分の声を発見されたんですね。志賀さんのセリフも印象的でした。

志賀 曲のテーマが「危険」「ダーク」なので、自分の個性は消し去って、重心重めでワルっぽい感じを出しましたね。

阿久根 やりよったな、って思いました。いい意味でりっくんぽくなかった。

山本 「いつもと違う志賀李玖の声が聴ける」のはポイントですね。

八神 セクシーでしたねえ。あと出だしの竹野のパートは「気合い入ってんな!」って思いましたね。 この曲はラップの印象が強い曲ですが、中でもその一発目ということもあって、いつもと違う雰囲気を感じました。

八神遼介(Illust by 八神遼介)

八神遼介(Illust by 八神遼介)

竹野 カッコいいって言ってもらえてうれしい。いい感じに録れてよかったです。

──ラップと言えば、阿久根さんと竹野さんは「エビライ」(「EBiDAN THE LIVE」)のラップサイファーにも参加されるなど、ICExのラップ担当という立ち位置になりつつある印象です。

阿久根 ラップは僕にとって新しいチャレンジという感じですね。実はすごくラップに興味があるほうではなかったんですが、いざ挑戦してみたら楽しくて。「エビライ」では、大きいステージのど真ん中で歌えること自体なかなかないですし、しかもそれがラップという、今まであまりやってこなかったことだったので……。あの経験をICExに持ち帰って生かしたい、という思いで今回のレコーディングに挑みました。

竹野 あと先輩とああいう形でご一緒できることもなかなかないので、そんな機会を「エビライ」という場所で経験させてくれたユーキ(超特急)くんに感謝です。また誘っていただけるならぜひやりたいし、そうなったときはもっとスキルを上げて、会場を一番盛り上げられるくらいのパフォーマンスを2人でできたらいいなと思います。

竹野世梛(Illust by 竹野世梛)

竹野世梛(Illust by 竹野世梛)

──八神さんと千田さんはサビ前の歌い上げるパートを任されて素敵な歌声を聞かせてくれてます。

竹野 さすがでしたよね。

八神 やりづら!(笑) レコーディングでは、ニュアンスを意識するというより「まっすぐそのまま歌う」イメージで臨みました。ただちょっとキーが高いので……本番は不安です(笑)。波空ちゃんはどう?

千田 僕はレコーディングのときに自分のパートを一部裏声に変更したんです。だからこそライブで披露するとき歌声が薄くならないか不安もあって、がんばらないといけないなと。せっかくサビ前を任させてもらったので、責任を持ってしっかりと歌い上げます。

筒井 お願いします!