エイジアプロモーションに所属する6人組アイドルグループDevil ANTHEM.、通称デビアン。ライブアイドルシーンに触れている人なら誰もが知る存在だが、12月10日に生放送されるフジテレビ系の音楽特番「2025 FNS歌謡祭」第2夜の出演アーティストに名を連ねていることもあり、今まで以上にグループの注目度が高まっている。
デビアンはアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」を主宰するフジテレビによるプロジェクト・TOKYO IDOL PROJECTと「FNS歌謡祭」による連動企画「TIF×FNS歌謡祭 コラボ企画」に参加。実力派グループ同士のパフォーマンス対決で優勝を果たし、「FNS歌謡祭」への切符を勝ち取った。音楽ナタリーではこれまでに彼女たちへのインタビューを20回以上行い、その歩みを追ってきたが、「メンバー」「楽曲」「ライブ」の3項目に分けて、改めてデビアンの特徴や魅力を紹介する。
文 / 近藤隼人
デビアンの経歴をおさらい
最初にグループの経歴について簡潔に触れておこう。Devil ANTHEM.は2014年12月28日、益若つばさや高橋メアリージュン、佐藤かよ、近藤千尋といったタレントたちが所属するエイジアプロモーション初のアイドルグループとして誕生した。今年加入した10代のメンバーもいるためビジュアルにフレッシュさが漂っているが、アイドルシーンの最前線に長く立ち続け、今月で結成11周年を迎えるベテラングループだ。
彼女たちは2018年から「Make Some Noise」「沸ける正統派アイドル」というキャッチコピーを掲げて活動。2023年5月にビクターエンタテインメントよりメジャーデビューを果たした。そして2024年12月27日にTOKYO DOME CITY HALL(現Kanadevia Hall)で開催した結成10周年記念ライブをもって一時活動を休止するも、今年3月に早々にカムバック。新メンバーの塩崎めいさと矢吹寧々を迎え、6人体制の新生デビアンとしての歩みをスタートさせた。
結成当初は小規模なハコでのライブ活動が主だったが、キャリアを重ねるごとに着実にステップアップし、これまでにTDCホールのほか、USEN STUDIO COASTや日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)といったキャパ2000人を超える会場でワンマンを行ってきた。大型アイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」や「@JAM EXPO」ではメインステージに立つのがもはや当たり前だ。アイドルファンや業界関係者からのパフォーマンスに対する信頼度は高く、シーンの中で揺るぎない地位を築いている。
キャリアも個性も多彩な6人
現在のメンバーは竹越くるみ、橋本侑芽、安藤楓、水野瞳、塩崎めいさ、矢吹寧々の6人。加入時期だけでなく、それぞれが持つ“アイドルとしての武器”も異なり、不ぞろいな個性がグループ内で多彩な層を織りなしている。そして6人がステージ上でひとつの塊となったときに強力な破壊力が生まれる。
竹越くるみ
現体制唯一のオリジナルメンバーで最年長。アイドルとしてのキャリアが10年を超えているだけあり、パフォーマンスの安定感は抜群だ。さらにデビアンによる冠レギュラーラジオ番組FM FUJI「Devil ANTHEM.の『でびラジ』」でメインMCを務めるなど、トーク力の高さにも定評があり、快活な性格が親しみやすさを感じさせる。
橋本侑芽
2016年7月加入。デビアンのステージを初めて観る人にとって、最初に目に留まるのが彼女かもしれない。172cmという高身長、手足の長いスタイルがそのパフォーマンスを大きく、美しく見せる。口数が少なく穏やかな性格だが、努力家の一面を持ち、その努力している姿を表に出さないところがアイドルとしての魅力につながっている。
安藤楓
橋本侑芽と同じく2016年7月にグループに加わった。ピュアでまっすぐなキャラクターや、どんな場面でも絶やすことのないあどけない笑顔でメンバーやファンから愛されているが、それらの特徴とのギャップを感じさせる伸びやかで深みのある歌声も魅力だ。同期の橋本とのグループ内ユニット“ゆめかえで”としても不定期で活動している。
水野瞳
2018年10月加入。デビアンの前にアイドル活動の経験があり、即戦力としてグループ全体のパフォーマンスに厚みをもたらした。彼女にとって、自他ともに認める武器がダンスだ。踊りに対して知見のない人でも、彼女のダンスにキレとしなやかさが共存していることがひと目でわかるだろう。また、2023年からグラビアでも活躍し、数多くの雑誌に登場。2024年11月には1st写真集「AKIRA」を発表した。
塩崎めいさ
今年2月に加入した新メンバーの1人。アイドル活動どころか芸能活動すべてが未経験の状態でグループに加わり、10年のキャリアを持つデビアンの一員として日々奮励中だ。周りの目を気にしすぎてしまう繊細な性格の持ち主だが、パフォーマンス中は新メンバーとは思えない堂々とした姿を見せている。ライブのMCやインタビューでときどき覗かせるユーモラスな言語感覚も特徴の1つ。
矢吹寧々
塩崎めいさと同じく、今年新たにデビアンの一員になった。彼女も芸能活動の経験がなく、加入したばかりの頃は自信なさげな様子を見せていたが、ぐんぐんと実力を伸ばしている。実は肝が据わっていて天真爛漫な一面も。すでに多くのファンを獲得しているが、素の部分がより表に現れるにつれ、アイドルとしての魅力が増していくだろう。
挑戦的な音楽性を持つ楽曲群
UKハードコアやハッピーハードコア、ダブステップなどのダンスミュージック系のサウンドを取り入れつつ、ポップスやロックの要素も融合させるなど、ジャンルの枠を縦横無尽に飛び越えた挑戦的な音楽性を持つデビアン。ここでは多種多様なレパートリーの中から最新曲を中心に3曲をピックアップし、ミュージックビデオやライブ映像とともに紹介する。
「ar」
2023年5月にリリースされたメジャーデビュー曲。「TIF×FNS歌謡祭 コラボ企画」の決戦ライブにて、「今届けたい渾身の1曲 “ONE SONG”」として披露された。タイトルは「加速する」を意味する英語のaccelerateが由来で、夢に向けた力強い決意をストレートに刻んだ歌詞や芯の強い歌声が高揚感を誘う。リリース以降ライブでたびたび披露される代表曲になっており、「2025 FNS歌謡祭」第2夜でもこの曲がパフォーマンスされる予定だ。
「a story beyond」
今年10月22日にリリースされた現体制初のフルアルバムに表題曲として収められている。タイトルは直訳すると“その先の物語”という意味。前体制と何かと比べられる状況の中で「過去は過去、今は今とせずに向き合うことを選択して、そのうえでこれまでを遥かに超えてより大きくなる」という固い意思が込められている。デビアンの最新のアティチュードを感じられる楽曲だ。YouTubeでのMVの再生数は2025年12月時点で450万回を超えている。
「from again」
こちらも最新アルバム「a story beyond」の収録曲。「ファンとともに未来を歩んでいきたい」というメンバーの思いを気迫のある歌声に込めたエモーショナルなロックナンバーだ。楽曲を手がけたのはPassCodeのサウンドプロデューサーとしても知られる平地孝次。YouTubeでは今年9月に東京・ステラボールで行われた全編生演奏公演「#でび夏霞演奏会2025」にて撮影されたライブ映像が公開されている。アイドルがバンドセットライブを開催するのは珍しくないが、デビアンはサックス、ストリングスやコーラス隊を含む大所帯の“でび楽団”をバックに、生演奏で披露することの“意味”を実感させるような、聴き応え&見応え抜群のパフォーマンスを展開した。
譲れないライブアイドルとしての矜持
デビアン最大の魅力は、なんと言ってもライブパフォーマンス。彼女たちはこの10年超、ライブアイドルとしての矜持を持ち、ステージの上で最も真価を発揮してきた。ワンマンライブではMCをほぼ挟まずノンストップでパフォーマンスを畳みかけるのが恒例で、生歌で楽曲を届けることにもこだわり続けている。令和のアイドルシーンでは“かわいさ”や“あざとさ”を全面に押し出し、ライブ中の撮影可能タイムにファンサービスを振りまいたり、TikTokでの“バズ”を狙った表現に注力したりするのが主流だが、デビアンのスタイルはひたすらにまっすぐ。愚直とさえ言える姿勢で真正面から評価を得てきた。
そして「Make Some Noise」「沸ける正統派アイドル」というコンセプト通り、フロアの熱狂もデビアンのライブの醍醐味だ。コールが飛び交う中、マサイ(※曲中にジャンプを繰り返す行為)などが次々に繰り広げられ、会場が心地よい高揚感と一体感で包まれていく。もちろん、フロアの後方でじっくりとライブを堪能している観客もいる。デビアンは現在、12月29日の神奈川・KT Zepp Yokohama公演をファイナルとする全国ツアーを開催中だ。「FNS歌謡祭」でのパフォーマンスを観て彼女たちの存在が少しでも気になった人は、ぜひライブの現場に足を運んで生のデビアンを体感してみてほしい。
公演情報
Devil ANTHEM. 11th Anniversary TOUR 2025 a story beyond
- 2025年11月2日(日)愛知県 DIAMOND HALL
- 2025年11月3日(月・祝)山口県 周南RISING HALL
- 2025年11月9日(日)北海道 小樽GOLDSTONE
- 2025年12月7日(日)大阪府 GORILLA HALL OSAKA
- 2025年12月14日(日)宮城県 仙台MACANA
- 2025年12月29日(月)神奈川県 KT Zepp Yokohama
プロフィール
Devil ANTHEM.(デビルアンセム)
2014年に結成され、「Make Some Noise」「沸ける正統派アイドル」をキャッチコピーに活動しているアイドルグループ。“楽しく沸けるライブ”を追求し、ステージ上から放つエネルギーとフロアの熱量で独自の世界観を構築している。2023年5月にビクターエンタテインメントからシングル「ar」をリリースしてメジャーデビューを果たした。同年12月に東京・TOKYO DOME CITY HALLで結成9周年記念ワンマンライブを開催。2024年10月に結成10周年を記念したベストアルバム「The Best Miraculous Trajectory」を発表した。12月には結成10周年記念ワンマンとして再びTOKYO DOME CITY HALL公演を行い、このライブをもって一時活動を休止。新メンバーの塩崎めいさと矢吹寧々を迎え、2025年3月に活動を再開させた。10月22日に新体制初のアルバム「a story beyond」をリリース。11月より全国ツアー「Devil ANTHEM. 11th Anniversary TOUR 2025 a story beyond」を開催中。
Devil ANTHEM. (@devilanthem) | X








