この日、メンバーはいつもと趣向を変えて映画「風の谷のナウシカ」の壮大なSEをバックに登場。爆音のオープニングで幕を開け、1曲目「デスコ」で瞬時に会場の空気を一変させた。
アヴちゃん(Vo)の歌声は、同一人物のものとは思えないほどに次々とその表情を変え、性別や年齢を超えた深い感情を伝える。また、この日は序盤からバンドの演奏も冴えまくり。やしちゃん(B)とルリちゃん(Dr)が繰り出す重厚なビートに、ギギちゃん(G)のハードなギターが絡み合い、タイトかつ大胆なアンサンブルで女王蜂ならではの世界観を提示していく。
バンドはアッパーなナンバーをたたみ掛けるように演奏し、フロアは息を呑みつつそのパフォーマンスを見守る。ライブ中盤ではアヴちゃんがしっとりとしたピアノソロを披露したかと思えば、続くナンバー「告げ口」でエキセントリックな空気が再びフロアを満たす。ステージに吹雪の音がごうごうと響く中での「口裂け女」は、躍動感あふれる演奏と相反する冷たい狂気で、このバンドの懐の深さを見せつけた。
ライブ本編のラストは美しいメロディが印象的な「コスモ」と「棘の海」を続けて演奏。スケール感あふれるパフォーマンスでフロアに大きな感動を与え、メンバーは一旦ステージを後にした。
そして迎えたアンコール。大きな拍手がフロアに響く中、SEに「夢見るシャンソン人形」が流れ、再びメンバーが登場。「砂姫様」「眠り姫」の2曲を披露しつつ、衣装を着替えたアヴちゃんは大きな花束をバラバラにして、フロアに向けて投げ入れる。続く「こんばんは。女王蜂です」という挨拶が、この日初めてのMCタイム。アヴちゃんは「ワンマンライブのアンコールで初めて挨拶して、残り2曲って斬新でしょ」といたずらっぽい笑顔を見せ、「あたしらを観るためだけにこんなにたくさん来てくれて、ほんとにうれしいです」と感謝の気持ちを伝えた。そしてアンコールのラストは「燃える海」。充実したムードがフロアを満たす中、ライブは感動的なエンディングを迎えた。
だがメンバーがステージから姿を消し、客出しのSEが流れても、アンコールを求める拍手は鳴り止まない。10分ほど経った後で、メンバー4人がまさかの再登場。予定外のダブルアンコールに応えて「バブル」を演奏し、約65分間の濃密な初ワンマンの幕を下ろした。
女王蜂は来週3月2日に初の全国流通CD「魔女狩り」をリリース。圧倒的なパフォーマンスでフロアを熱狂させた彼女たちが、2011年の音楽シーンの台風の目となることは間違いなさそうだ。
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ケレル @ppQuerelle
club asiaは東京初ワンマン「魔女ミサ」を開催した箱。
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