東京・帝国劇場での公演を7月26日に終えたミュージカル「エリザベート」が、続けて福岡、大阪、愛知でも開幕する。福岡・博多座での開幕を9日後に控えた先日7月28日、読売演劇大賞 上半期の男優賞に選ばれたルキーニ役の
成河は、エリザベートを暗殺し、また狂言回しも兼ねる自らの役どころについて「(帝国劇場の収容定員)1800人を率いるバスガイドでした」と東京公演を振り返った。「50人の観光ツアーを引き連れているときとは声の出し方が違うわけです。客席の隅々までストーリーを届けようとしたとき、セリフをひと言発するだけで汗だくになる経験って僕の中では新しくて。これを(2000年の初演から2012年までルキーニを演じていた)高嶋政宏さんお1人で回していらっしゃったなんて。本当に尊敬します」と続ける。
また
稽古時間の不足を補ったのは、本作の演出を手がけた
また成河は、本作の脚本・歌詞を担当した
「エリザベート」という作品の持つ魅力について問われると、成河は「多面的であることでしょうか」と回答。その背景には、クンツェとリーヴァイが上演の権利を各国に委託する際に、振付や演出を自由にしていいと任せてくれたことが影響しているという。「作品が同じところに留まっていないというか。あとから曲が追加されたり、いろんな文化を取り込んで成長したり、増殖しているところにこの作品のすごさがあると思う」と分析する。
その上で、小池演出による日本版「エリザベート」の魅力をこのように話す。「本来のウィーン版はシニカルで退廃的な歴史劇だったそうです。どうして自分たちの国の歴史をこんなにも嫌みたっぷりに描くのか、と初演時には批判の声もあったとか。それを小池先生は、日本人の持つ情緒っていうのかな、少女マンガ的……アニメやコミックに寄せたファンタジーの要素を盛り込んで、ぐっと観客を惹きつけたんです」
一方で、宝塚歌劇での初演から20年を迎えた今、成河は小池との議論で潮目の変化を感じ取ったという。「思いっきりファンタジーに寄せるのか、歴史劇に戻すのか、上演の話が持ち上がるたびに小池先生の中で葛藤とパワーバランスが働いているようです。それでいろいろお話を伺った限りでは、2015年の新演出から今回に向けて、少しずつ歴史劇としての要素を取り戻そうとしているのを感じました。特にルキーニにはその役割を託しているとおっしゃっていましたしね」と語る。
なお成河は本作のルキーニ役で第24回 読売演劇大賞 上半期の男優賞に選ばれた。ノミネートは当然と思っていたと語る記者に「うわ出た。なになに、何が欲しいの?」と詰め寄り、記者たちの笑いを誘うひと幕もある一方で、すぐ「どういう風に捉えていいものか……」とひたむきな表情に戻る。
そしてしばらく考えたあと、「外から評価していただいたことは真摯に受け止めますが、『評価を受けたんだからもう変わらなくていい』というのは最悪です。僕も作品も変わっていかなくちゃいけない。(ノミネートは)涙が出るほどありがたいですし、背中を押された気がしますが、やるべきことに戻ります」と語り、会見を結んだ。
ミュージカル「エリザベート」は今後、8月6日から9月4日まで福岡・博多座にて上演。その後、9月11日から30日まで大阪・梅田芸術劇場 メインホール、10月8日から23日まで愛知・中日劇場と巡演する。
ミュージカル「エリザベート」
2016年8月6日(土)~9月4日(日)
福岡県 博多座
2016年9月11日(日)~30日(金)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2016年10月8日(土)~23日(日)
愛知県 中日劇場
脚本・歌詞:
音楽・編曲:
演出・訳詞:
キャスト
エリザベート(オーストリア皇后):
トート(黄泉の帝王):
フランツ・ヨーゼフ-(オーストリア皇帝):
ルドルフ(オーストリア皇太子):
ルドヴィカ / マダム・ヴォルフ:未来優希
ゾフィー(オーストリア皇太后):
ルイジ・ルキーニ(皇后暗殺者):
マックス(エリザベートの父):
エルマー(ハンガリー貴族):
シュテファン(ハンガリー貴族):
リヒテンシュタイン(女官長):秋園美緒
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