中村米吉

中村米吉の#カワイイは世界を救う? 第12回 [バックナンバー]

中村米吉、“クリスマスカワイイ”街の風景にウキウキ

ベトナム・ラオスのツリーも紹介!米吉が愛するクリスマス題材の物語は…

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来年のお正月に開催される「新春浅草歌舞伎」にて、「本朝廿四孝 十種香」で“三姫”と呼ばれる女方の大役の1つ、八重垣姫や、「与話情浮名横櫛 源氏店」のヒロイン・お富といった役を演じることで話題の中村米吉。米吉にとってラストとなる「新春浅草歌舞伎」、その麗しい勇姿を目に焼き付けたい。

“可愛すぎる女方”米吉に、身の回りの“カワイイ”を発見&紹介してもらい、カワイイ×カワイイの相乗効果で読者をメロメロにしてきたこのコラムが、ついに1周年を迎える。今回米吉が届けてくれる“カワイイ”は、12月らしく、クリスマスに関係したもの。プレゼントを心待ちにしていた米吉少年の元に届いたのは……寒い夜、ほっこりエピソードで心を温めよう。

題字:中村米吉

今年もやってまいりました、クリスマス! 米吉少年の心に残る聖夜の物語は…

皆さん耳を澄ましてみてください。

この時期、最も稼いでいるであろうご夫婦の声が聞こえてきませんか?

今年も旦那様は“雨のち雪”と天気予報をし、奥様はこのイベントが今年もやってくることを例年通り知らせてくれています。

8時に来て隣のオシャレなお姉さんを遠い街に連れて行ったり、ヤドリギの下でママにキスをしたりする、なかなか奔放な赤い帽子のおじさまが街中の至るところで微笑み、煌びやかに彩られた街角のその裏では、この機会を逃してなるものかと、親子や男女、更には店と客による贈答品を巡る真剣勝負が日々繰り広げられています。

そう、今年もやってまいりました!
この国で1%程度の割合しかいないキリスト教徒のイベントながら、もはや国内最大の宗教イベント!

クリスマス!!!

カワイイクリスマスの世界に、読者を誘うカワイイ米吉。

カワイイクリスマスの世界に、読者を誘うカワイイ米吉。

クリスマス一色になる広告やショーウィンドウ、限定のメニューや商品たちに、毎年趣向を凝らしたイルミネーションにクリスマスツリー。
そうした街の風景を見て、良いものだなあと、ウキウキとした気持ちに素直になれる自分がまだいることに毎年安堵しています。

そんな街角の風景の中でカワイイものを発見。

どどどん!と、色合いがカワイイツリー3種。

どどどん!と、色合いがカワイイツリー3種。

某百貨店が今年作った一見ツリーらしくない、あえてアクリルと木材で作られたこの3色のツリー。
透明感のある素材の重なり合いが、シンプルな中に温かみと華やかさが感じられる愛らしいものでした。

この冬旅した、未だ夏気分のベトナム・ラオスでもクリスマスは根付いていました。

ベトナムで撮った2枚。ラオスのツリーに圧倒される米吉(左)と、キャップの柄がどことなくベトナムっぽい米吉(右)。

ベトナムで撮った2枚。ラオスのツリーに圧倒される米吉(左)と、キャップの柄がどことなくベトナムっぽい米吉(右)。

ラオスで見かけたツリーは現地の籠のようなものを重ねて作られていて、ご当地ならではのコラボレーションが素敵です。

暑い中で見るクリスマスツリーはなんとも新鮮であると同時に、こうして世界中でどの国でもお祝いをしているイベントがあると言うことは、思えば思うほどすごいこと。
こうしてみんなで同じイベントで盛り上がれるのに、なぜ争いが生まれるのか、そんなことすら考えさせてくれました。

そんなクリスマスを題材にした作品は数あれど、私の中で最高峰に位置している作品があります。

それは、「34丁目の奇跡」。

「34丁目の奇跡」のBlu-rayと小説を紹介してくれる米吉。

「34丁目の奇跡」のBlu-rayと小説を紹介してくれる米吉。

デパートのサンタクロース役として雇われたクリス・クリングルというおじいさん。
自分は本物のサンタクロースだと言う不思議なおじいさんですが、親切で誠実な上に子供にすごく好かれ、まるで本物のサンタクロースのようだと大人気に。
ところが、陥れられ、妄言癖のある老人であるとして精神病院に入れられてしまいます。
そんな彼を助けるために、サンタクロースが実在するかどうかの前代未聞の裁判が開廷する……。
という物語。

小説と映画で少し中身は違うのですが、とにかく心温まる、優しい気持ちになれる作品です。
度々映像化されていますが、この1994年版の映画は、「これぞアメリカのクリスマス!」といった、華やかでワクワクするクリスマスの空気感を色彩豊かに描いていて、メインテーマの音楽も聞いていてウキウキとしたうれしい気持ちにしてくれます。

また主演のリチャード・アッテンボロー演じるクリスの、本物のサンタクロースにしか見えない可愛らしいお芝居や、サンタを信じられない、ませた少女のスーザンの何ともいえない愛嬌や生意気な可愛らしさは、何度見ても笑顔になってしまいます。

そんな、素敵な作品に初めて触れたのは小学3年生のクリスマス。
朝起きたらクリスマスツリーの下に、サンタさんにお願いしていたプレゼントと一緒に置いてありました。

サンタさんにお願いするものが、ゲームソフトだなんだと、電子的かつ俗っぽくなるのはどこのご家庭も同じで、我が家もご多分に洩れずゲームソフトばかりでした。
最近のサンタさんはプログラミングとかも覚えなきゃいけないから大変ですよねえ(笑)。

そんな中でもらった、お願いしたわけではないプレゼントがこの本。
ほかのプレゼントたちは、遊ばなくなってどこにいったのやら、捨ててしまったり売っちゃったりしたものもありました。
でも、この本だけは20年来ずーっと大事に持ち続けているんです。

その証拠に、こんな可愛らしいサイン付き。

米吉少年の、なんとも愛らしい文字。「絶対に失くさない」という意思が感じられる。

米吉少年の、なんとも愛らしい文字。「絶対に失くさない」という意思が感じられる。

“橘”って漢字がまだ書けなかったんです。
橘姫をやる役者になるんだから! 頼むぞ! 少年!(笑)

当時のぼくは、
(今年は何をもらおうか。おばあちゃん2人から1つずつ、親から1つ、サンタさんから1つ……。)
と、CMで流れてくる欲しいゲームやおもちゃと、もらえるプレゼントの数を比べて頭を抱え、「お兄ちゃんはこれ頼むから!」と弟と談合したりしていましたっけ(笑)。

それがいつの間にやら、クリスマスといってもただ季節感を感じるだけになりました。
これも大人になった証でしょうか。

でも、この本を手に取りますと、クリスマスを指折り数えて待っていたあの頃の気持ちが立ち上ってきてくれるのです。

ただし、ホッコリしたあと目の前にあるのは、今年があと1週間で終わってしまうという事実!!

嘘でしょ! もう少し猶予を!!
クリスマスって年の瀬を誤魔化そうとしてますよね!?
もう少し暇な時期に持ってこれないもんかなあ。

イエスさま!
もうちょっとマリア様から出てくる時期考えてもらえません?

プロフィール

中村米吉(ナカムラヨネキチ)

1993年、東京都生まれ。播磨屋。中村歌六の長男。2000年に中村米吉の名を襲名して初舞台。2011年から女方を志し、「鬼一法眼三略巻 菊畑」で皆鶴姫、「与話情浮名横櫛」でお富、「松浦の太鼓」でお縫、「仮名手本忠臣蔵 七段目」で遊女お軽、「絵本太功記」で初菊などを勤める。またアメリカ・ラスベガスで行われた歌舞伎興行では、2015年に「鯉つかみ」小桜姫役、2016年に新作歌舞伎「獅子王」白縫姫役で出演。2015年には「鳴神」の雲の絶間姫役の演技で十三夜会奨励賞、2021年には第42回松尾芸能賞で新人賞を受賞した。昨年7月に上演された「風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―」、昨年12月から今年1月にかけて上演された「オンディーヌ」では、それぞれタイトルロールを務め、3・4月に上演された「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」では、ヒロイン・ユウナ役を勤めた。来年1月には、東京・浅草公会堂で行われる「新春浅草歌舞伎」にて、第1部「本朝廿四孝 十種香」で三姫の1つ、八重垣姫、「与話情浮名横櫛 源氏店」で妾お富、「神楽諷雲井曲毬 どんつく」で芸者、第2部「新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎」で召使おなぎを勤める。2月から3月にかけては、東京・新橋演舞場でのスーパー歌舞伎「三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』」に兄橘姫 / 弟橘姫役で出演。毎週水曜日にAuDeeプレミアムにて自身がパーソナリティを務める番組「中村米吉 悪魔の時間」を配信中。

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がぶ @gaburi45cc

クリスマスを説明する前置きが長すぎて爆笑した https://t.co/I9CqqqUiOB

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