「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」(以下FFX歌舞伎)が3月4日に東京・IHIステージアラウンド東京で開幕。それに先駆け、本日2日に初日前会見と公開フォトコールが行われた。
FFX歌舞伎は、2001年7月19日に発売されたスクウェア・エニックスのゲーム「ファイナルファンタジーX」(以下FFX)をもとにした新作歌舞伎。企画を
公開フォトコールでは、オープニング映像と、シーモアとの戦い、そして異界送りのシーンが披露された。シーモアとの戦いは前編のクライマックスにあたる場面で、激しいツケの音が響く中、ユウナ一行が次々とシーモアに挑む姿が、客席が回転する劇場機構を生かした演出でダイナミックに描かれる。菊之助は、シーモアと対峙するティーダを、はつらつとした演技と軽い身のこなしでエネルギッシュに表現。獅童は、ニヒルな表情や、大剣を用いた派手な立廻りで、アーロンを頼れる人物として演じる。松也は、派手なぶっ返りや六方といった荒々しく豪快な演技でシーモアの強さを表し、クールで悪の魅力あふれるキャラクターとして立ち上げた。
異界送りは、ユウナ役の米吉により日本舞踊で表現される。米吉は、異界送りを通じて魂を鎮めるユウナを、かれんさと荘厳さあふれる舞いで演じた。またクライマックスでは、漂う魂がウォータースクリーンに投影され、幻想的なシーンが描き出された。
初日前会見には、菊之助、獅童、松也、梅枝、萬太郎、米吉、橋之助、吉太朗、芝のぶ、彦三郎、錦之助、彌十郎、そして歌六が役衣裳で出席。菊之助は「2020年に構想をスタートさせたFFX歌舞伎が、いよいよ明後日初日を迎えます。原作を尊重しつつ、歌舞伎ならではの工夫を取り入れ、ダイナミックで美しい作品になりました。ブリッツボールの試合や、ティーダがユウナと心を通わせるマカラーニャの森、そして物語のラストとなる、ティーダが父親のジェクトと心を通わせるシーンには、原作ゲームをお好きな方にも、歌舞伎ファンの方にもご期待いただきたいですね」と言葉に力を込めた。
獅童は「本作ではFFXの世界観と、古風な歌舞伎の醍醐味が融合しています。スタッフ・キャスト1人ひとりの思いがFFX歌舞伎の成功を導き、そして未来の歌舞伎につながっていくのではないかという思いでやらせていただいています」と意気込みを述べる。キャストの中では唯一、同劇場への出演経験がある松也は「改めて劇場自体の面白さを実感しています。お客様にはこの劇場機構ならではの没入感を体験していただきたい」と述べつつ「特に前編ラストのシーモアとのバトルシーンは、この劇場の特性を生かした立廻りになっています。楽しんでいただければ」と話す。
シド役の歌六は「この中では最年長。劇場で迷子にならないように気をつけたいですね」と茶目っ気たっぷりにあいさつ。ティーダの父親・ジェクト役を演じる彌十郎は「ジェクトは、子供に対して非常に不器用な父親。ジェクトパパになりますので、パパと呼んでください(笑)」と自身が主人公の父親役を演じたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にかけてコメントした。ユウナの父親・ブラスカ役の錦之助は「(ブラスカは)聖人君子みたいな人物。性格が私そっくりですので、ブラスカに錦之助を重ね合わせてご覧ください!」と冗談を飛ばした。
獣人であるキマリ役の彦三郎は、フォトセッション時、後ろに立っていた松也に尾の部分を触られ「しっぽ触らないで!」と声を上げ、周囲を笑いで包んだ。司会から衣裳について問われると、彦三郎は「キマリだけではなく、全員の衣裳それぞれ、FFXの世界観を壊すことなく、歌舞伎の要素が落とし込まれている。すごく良い再現ができていると思います。衣裳に関わってくださった方に拍手を送りたい」と話した。梅枝は「ルールーは原作ゲームでは黒いドレスを着ていますが、衣裳は少し紫がかった色。裏地も、照明が当たると綺麗に光るので、気に入っています」と微笑んだ。ユウナレスカ役の芝のぶは「原作ゲームだと(ユウナレスカは)すごく薄着なのですが、歌舞伎の女方でそのような衣裳はちょっと無理かなと(笑)。デザイナーさんと相談し、第2形態、第3形態を混ぜたような衣裳にしていただきました」と話す。
ルッツと23代目オオアカ屋役の萬太郎は、上演前に歌舞伎講座を担当することを明かす。「金谷さんから『オオアカ屋さんにはお客さまとお友達になってほしい』と言われまして。簡単に歌舞伎の決まり事を解説させていただきます」と述べた。米吉は、2月1日に公開され、話題となった異界送りのスペシャル映像について「多くの方に観ていただき、お客様の期待を感じております。実際に劇場で観ていただく異界送りは、舞台機構と映像演出、音楽、あらゆるものが融合されています。どうなっているか、劇場でご覧いただけたら」と期待を煽った。
ワッカ役の橋之助は「FFX歌舞伎には、歌舞伎らしいぶっ飛んだ演出が随所に用いられています。歌舞伎を好きな方にも、初めて観る方にも楽しんでいただけるのでは。歌舞伎の古典作品にオマージュした演出もあります」と作品の見どころに触れた。リュック役の吉太朗は「FFXがどのように新作歌舞伎になるのか観ていただき、観劇後もう一度プレイしていただいたら楽しいかなと」と呼びかけた。
上演時間は、前編が休憩を含む4時間で、後編が休憩を含む3時間30分。公演は4月12日まで。
木下グループ presents「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」
2023年3月4日(土)~4月12日(水)
東京都 IHIステージアラウンド東京
企画:
脚本:八津弘幸
演出:金谷かほり、尾上菊之助
出演
ティーダ:尾上菊之助
アーロン:
シーモア:
ルールー:中村梅枝
ルッツ / 23代目オオアカ屋:
ユウナ:
ワッカ:
ティーダ(幼少期)/ 祈り子:尾上丑之助
リュック:
ユウナレスカ:
キマリ:
ブラスカ:
ジェクト:
シド:
尾上菊五郎(声の出演)
※中村歌六、中村錦之助、尾上丑之助は後編のみの出演。
※初出時、内容に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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