美しい手つきでネクタイの生地を選ぶ米吉。多種多様な柄に思わず頬がゆるむ。

中村米吉の#カワイイは世界を救う? 第29回 [バックナンバー]

中村米吉、キュートなネクタイでカワイイonカワイイ

悩んで決めた選りすぐりの1本は?

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“納涼”を謳いつつ、猛暑を上回るアツさで連日エネルギッシュな舞台を繰り広げている「八月納涼歌舞伎」。米吉は第一部では、31年ぶりの上演でも話題の「男達ばやり」で又兵衛女房とま、第二部では坂東玉三郎監修「日本振袖始」で稲田姫を演じている。

そんな米吉が、今回はカワイイネクタイを求めて、あるお店へ……。このコラムは、カワイイ米吉に、カワイイものを紹介してもらい、カワイイ×カワイイの相乗効果で読者の心を癒やすことを目的としている。

題字:中村米吉 撮影:塚田史香

カワイイの大洪水、ネクタイブランド・giraffeへ

毎日毎日お暑うございます。

地球が発熱してるんじゃないかと思って地面にカロナールを埋めてみましたが、あんまり効果はなさそうです。

たとえどんなに暑くても、男性はフォーマルな場面ではネクタイを締めなきゃなりません。

私もちょっと正装をする用事があるので、せっかくだからネクタイを新調しようと思い立ち、こちらにやってまいりました。

giraffeのWORK TO SHOP Sendagayaの看板前にて。ビシッと決まったスーツ姿で、ネクタイ型看板を見上げる米吉。なおWORK TO SHOP Sendagayaは現在夏季休業中。10月初旬より営業再開予定。

giraffeのWORK TO SHOP Sendagayaの看板前にて。ビシッと決まったスーツ姿で、ネクタイ型看板を見上げる米吉。なおWORK TO SHOP Sendagayaは現在夏季休業中。10月初旬より営業再開予定。

私の愛用しているネクタイブランド「giraffe」さんの工房であり本店、“WORK TO SHOP Sendagaya”へ。

ネクタイの形の看板がまずカワイイではありませんか!

ネクタイを吟味する真剣な表情もカワイイ米吉。爽やかなブルーのネクタイと、ピンクのキリンさんタイピンももちろん、giraffeのもの。

ネクタイを吟味する真剣な表情もカワイイ米吉。爽やかなブルーのネクタイと、ピンクのキリンさんタイピンももちろん、giraffeのもの。

ユニークでオシャレで他にないネクタイを販売しているgiraffeさん。

かねてより愛用する私はお店の方に自慢するために自前のコレクションを持ち込んでご披露(笑)。

米吉が持参した、自慢のgiraffeネクタイコレクション。シックだが、ひと捻りあるデザインがいずれもカワイイ。

米吉が持参した、自慢のgiraffeネクタイコレクション。シックだが、ひと捻りあるデザインがいずれもカワイイ。

こちらのブランドはとにかく遊び心満載なデザインが売り。

あっ、これもカワイイ……選びながら自然に笑顔がこぼれてしまうラインナップ。

あっ、これもカワイイ……選びながら自然に笑顔がこぼれてしまうラインナップ。

知らない方なら二度見すること間違い無いような可愛らしく面白いデザインが並んでいます。

こちらは「カラーチップcoffeeタイ BEIGE×NAVY」。大剣はコーヒーの葉の模様で、小剣のドット柄の中にはコーヒー豆が隠れている。これが大人の遊び心をくすぐるのだ。

こちらは「カラーチップcoffeeタイ BEIGE×NAVY」。大剣はコーヒーの葉の模様で、小剣のドット柄の中にはコーヒー豆が隠れている。これが大人の遊び心をくすぐるのだ。

リバーシブルタイプや、大剣と小剣で柄の違うもの。

満点の着地! 見事な技を決める体操選手の姿が、織りで表現されている「スポーツチップタイ(体操)GRAY」(左)。「トランクチップポータータイ YELLOW」の表にはトランク、後ろにはポーターの姿。優しいイエローと、鮮やかなブルーのコントラストが素敵(右)。

満点の着地! 見事な技を決める体操選手の姿が、織りで表現されている「スポーツチップタイ(体操)GRAY」(左)。「トランクチップポータータイ YELLOW」の表にはトランク、後ろにはポーターの姿。優しいイエローと、鮮やかなブルーのコントラストが素敵(右)。

表の柄に対してのアンサーのようなワンポイントが織りで表現されているものもとても素敵です!

「ボタンシャツタイBLUE」はネクタイなのにワイシャツ柄というデザイン。キリンさんタイピンも興味津々(左)。同じネクタイの色違い、グレーを締めてみた米吉。ボタンがカラフルでカワイイ(右)。

「ボタンシャツタイBLUE」はネクタイなのにワイシャツ柄というデザイン。キリンさんタイピンも興味津々(左)。同じネクタイの色違い、グレーを締めてみた米吉。ボタンがカラフルでカワイイ(右)。

中にはネクタイなのにネクタイをしていないように見えるワイシャツ柄のものまで(笑)。

ちゃんとひとつ立体のボタンがついているところが憎い!

どれにしようかな? たくさんの蝶ネクタイに目移り。

どれにしようかな? たくさんの蝶ネクタイに目移り。

蝶ネクタイの種類も豊富で、こちらは縁日のヨーヨーをイメージしたもの。

眺めているとヨーヨーすくいがしたくなっちゃう! 「ヨーヨー蝶タイ BLUE」は、ブルーにイエローやオレンジのラインが童心に返らせてくれる。

眺めているとヨーヨーすくいがしたくなっちゃう! 「ヨーヨー蝶タイ BLUE」は、ブルーにイエローやオレンジのラインが童心に返らせてくれる。

片側が丸くなっていて風船を思い起こさせます!

蝶ネクタイ好きとしても心くすぐる品ばかり。

まだまだあります、蝶ネクタイ。

まだまだあります、蝶ネクタイ。

ネクタイとお揃いの蝶ネクタイもあったので、広報の花摘さんとお揃いコーデをしてみました。

ケーキ柄の蝶ネクタイを着け、カワイイonカワイイになった米吉。花摘さんはおそろいの「TREATMEタイ(フルーツサンド)GRAY」を着用。

ケーキ柄の蝶ネクタイを着け、カワイイonカワイイになった米吉。花摘さんはおそろいの「TREATMEタイ(フルーツサンド)GRAY」を着用。

聞けば、ネクタイを作った際にどうしてもできてしまう余り布をうまく活用して蝶ネクタイを作る場合もあるんだとか。サステナブル!

西陣織の生地で、贅沢なオリジナルネクタイができそう。

西陣織の生地で、贅沢なオリジナルネクタイができそう。

またこちらでは生地を選んでオリジナルの組み合わせが作れたりもするそうです。

しかもこれらが西陣織の生地だというから驚きです!

ネクタイ単体だけではなく、ネクタイピンとの組み合わせで更に楽しめるのが魅力でもあり、こんな組み合わせが!

ドーナツを買いに行きたくなる組み合わせ! 「TREATMEタイ(フレンチクルーラー)RED」は、アメリカンダイナーのテーブルクロスのような赤チェックが目を引く。

ドーナツを買いに行きたくなる組み合わせ! 「TREATMEタイ(フレンチクルーラー)RED」は、アメリカンダイナーのテーブルクロスのような赤チェックが目を引く。

テーブルクロスの上に乗ったお皿の柄に、ネクタイピンでドーナツをON!

手に取ってみたくなるドーナツピン。良い匂いがしてきそう。

手に取ってみたくなるドーナツピン。良い匂いがしてきそう。

これはなかなか攻めてます!

見てこれ、カワイイ。ドーナツを指さしてニッコリの米吉。

見てこれ、カワイイ。ドーナツを指さしてニッコリの米吉。

そんな攻めたネクタイ達をこちらでは“体温”として種類分け。

34℃、36℃、38℃、40℃と、4段階の“体温”に分けられているgiraffeのネクタイ。体温が高いほど個性&インパクト強めなんだとか。

34℃、36℃、38℃、40℃と、4段階の“体温”に分けられているgiraffeのネクタイ。体温が高いほど個性&インパクト強めなんだとか。

締めたらこれぐらい自分の心の温度も上がりそうになります!

ちなみにドーナツのネクタイは40℃でした(笑)。

更に、包装まで一風変わっていました。

「あなたに首ったけ」「アレです!」「こんなんなんぼあってもいいですからね」「モテるやつです」「これは賄賂です」包装紙まで面白いgiraffe。

「あなたに首ったけ」「アレです!」「こんなんなんぼあってもいいですからね」「モテるやつです」「これは賄賂です」包装紙まで面白いgiraffe。

毎年2月のチョコ配り日に妻がこちらのネクタイをプレゼントしてくれるのですが、熨斗紙で貰ったことはなかったのでこんなのがあるのだと驚きました。

熨斗の部分がネクタイなだけではなく、言葉のチョイスにクスッときてしまいますよね。

山吹色のネクタイにございます! 「おぬしも悪よのう」と言わんばかりだが、悪代官スマイルもカワイイ米吉。

山吹色のネクタイにございます! 「おぬしも悪よのう」と言わんばかりだが、悪代官スマイルもカワイイ米吉。

越後屋さん! 公然と賄賂を包んでくれるお店がここにありますよ!(笑)

さぁ、私も本気で品定め開始。

どれにしましょう? 真剣に選びます。

どれにしましょう? 真剣に選びます。

ネクタイを外し戦闘体制です(笑)。

さすが、ネクタイを外す所作も美しい米吉。

さすが、ネクタイを外す所作も美しい米吉。

優柔不断日本代表 中村米吉選手によるネクタイ悩み選手権が始まります!

ネイビーにパンケーキ柄がおいしそうな1本から。

ネイビーにパンケーキ柄がおいしそうな1本から。

まずは試します!

スイーツ柄のカワイイネクタイが気になる米吉。こちらはイチゴショートケーキ柄の「リバーシブルショートケーキタイ GREEN×BROWN」。

スイーツ柄のカワイイネクタイが気になる米吉。こちらはイチゴショートケーキ柄の「リバーシブルショートケーキタイ GREEN×BROWN」。

こっちも試そう。

さあ、まだまだ試します。

さあ、まだまだ試します。

次から次に締めまくる。

先ほどの、トランク柄のネクタイを締めてみた米吉。ブルーのチラ見せと、ブルーのタイピンの組み合わせがオシャレ。

先ほどの、トランク柄のネクタイを締めてみた米吉。ブルーのチラ見せと、ブルーのタイピンの組み合わせがオシャレ。

取材だということを思い出してカメラ目線(笑)。

悩むのも楽しい米吉。

悩むのも楽しい米吉。

悩んでいます。

苦しむのも楽しい米吉。

苦しむのも楽しい米吉。

苦しみ出しました。

舞踊のワンシーンかと思いきや、手ぬぐいならぬネクタイを持つ米吉。

舞踊のワンシーンかと思いきや、手ぬぐいならぬネクタイを持つ米吉。

小道具みたいに持つな(笑)。

なんとか候補を絞った米吉。カワイイ柄物が並んだ。

なんとか候補を絞った米吉。カワイイ柄物が並んだ。

候補が出揃ったようです。

やっぱりこれもカワイイですよね!?

やっぱりこれもカワイイですよね!?

相談に入りましたね。

ネクタイを見る目が“仕事人”になってきた米吉。

ネクタイを見る目が“仕事人”になってきた米吉。

なんか語りだしたぞこいつ。

いよいよ決断!

いよいよ決断!

そして決まったのがこちら!

先ほども試していた、パンケーキ柄の「TREATMEタイ(丸福珈琲店ホットケーキ)NAVY」に決め、晴れやかな表情の米吉。

先ほども試していた、パンケーキ柄の「TREATMEタイ(丸福珈琲店ホットケーキ)NAVY」に決め、晴れやかな表情の米吉。

丸福珈琲店さんとのコラボ商品でもあるパンケーキのネクタイ!

このパンケーキのディテール、色ツヤ……とってもおいしそう。

このパンケーキのディテール、色ツヤ……とってもおいしそう。

迷彩の模様のような柄が実はパンケーキの蜜が垂れているような形になっているところが可愛い!

決め手となったのは、このコラムのタイトル。

元々このタイトルは私が発明し、人生のテーマとしている言葉で、Instagramのハッシュタグとしても愛用している「甘いものは世界を救う」のもじりでした。

そこに繋げて、甘いもののネクタイをチョイスした訳です。

しかも、現在私は「銀座はちみつ」のアンバサダーを務めているので、はちみつが垂れているデザインはもってこい!(メイプルシロップのつもりで作ったらしいけど、そこはまぁはちみつと言い張れば……)

吟味に吟味を重ねた、パンケーキ柄ネクタイをキリリと締めた米吉。

吟味に吟味を重ねた、パンケーキ柄ネクタイをキリリと締めた米吉。

締めてみるとこんな感じ。意外にシックにみえるかも??

ということで、素敵なおニューのネクタイで身なりを整えることができました!



何のために整えたのか?



実は、みなさまへ“最後”のご挨拶です。

“カワイイ”を探し求めて幾星霜。
世界を救わんとする当連載も、これでおしまい。

この企画は、担当編集フェアリー櫻井の「カワイイ×カワイイ」をやりたいんです!という熱意に呑まれ、意味不明のまま、試行錯誤を繰り返し連載を続けてまいりました。
いつもいつも原稿を上げると、フェアリーは大興奮の感想を送ってくれて、(こっちではそんなに面白いと思ってないけどな)と思いつつ、それはそれは継続の励みとなったものです。

今回、さまざまな理由で、残念ながら2年半の連載を終えることとなりました。
苦労も多かったけれど、気づきも多く、楽しい連載でした。

とはいえ、最終回を迎えた今も戦争や紛争は留まらず、分断は強まり、政治は混乱。夏の気温も上がりっぱなし。
あの歌とは違い、“カワイイ”だけじゃどうもダメ。世界を救えやしないみたい。

でも、“カワイイ”は大きな世界は救えなくとも、小さな世界を救うことができると信じています。

疲れたとき、弱ったとき、辛いことや悲しいことがあったとき。
自分の中の小さな世界が危機に瀕したその時に、あなたの思う“カワイイ”が、そっとその世界を癒し、救ってくれていませんか?

そうして一人一人の小さな世界が救われていいけば、やがては大きな世界も救われる。

そんな気がしています。

いまや“カワイイ”はどんなものにでも当てはまり、個々人の定義の中で可愛ければそれで何に使っても良いと言う、かなり懐の広くて深い言葉になりました。
この連載でも、何度こじつけたことか……(笑)。

でも、自分の中の“カワイイ”を突き詰めれば必ず一つの形になるし、それで良いのだということをこの連載で気付かされました。

コラムとしての「#カワイイは世界を救う?」は今回で最後になりますが、この連載を読んでくださった読者の皆さんは、「?」を「!」に変えて、自分の思う“カワイイ”を突き詰めていってください!

あなたを救った“カワイイ”が他の誰かを救い、大きな世界が救われるその日まで、この言葉を振りかざして歩んでまいりましょう!

約30回の当コラムをご愛読くださって本当にありがとうございました。
また会う日までお元気で。





世界を救う“カワイイ”の戦いはまだまだ続くのだ!!
【ご愛読ありがとうございました。中村米吉先生の次回作にご期待ください。】

中村米吉

1993年、東京都生まれ。播磨屋。中村歌六の長男。2000年に中村米吉の名を襲名して初舞台。2011年から女方を志し、「鬼一法眼三略巻 菊畑」で皆鶴姫、「与話情浮名横櫛」でお富、「松浦の太鼓」でお縫、「仮名手本忠臣蔵 七段目」で遊女お軽、「絵本太功記」で初菊などを勤める。またアメリカ・ラスベガスで行われた歌舞伎興行では、2015年に「鯉つかみ」小桜姫役、2016年に新作歌舞伎「獅子王」白縫姫役で出演。2015年には「鳴神」の雲の絶間姫役の演技で十三夜会奨励賞、2021年には第42回松尾芸能賞で新人賞を受賞した。2022年7月に上演された「風の谷のナウシカ 上の巻 ―白き魔女の戦記―」、2022年12月から昨年1月にかけて上演された「オンディーヌ」では、それぞれタイトルロールを務め、2023年3・4月に上演された「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX」、2024年2・3月、10月に行われたスーパー歌舞伎「三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』」の東京公演と福岡公演では、それぞれヒロイン役を勤めた。また女方の大役・三姫より、「祇園祭礼信仰記」雪姫を2023年9月、「本朝廿四孝」八重垣姫を2024年1月、「鎌倉三代記」時姫を2024年11月に、それぞれ初役で演じた。

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matsu @with55555

最終回🥲
米吉コラム、好きなのにな、、 https://t.co/I8n950aa64

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