「ヤマトタケル」に中村隼人・市川團子・中村米吉が気合い!團子が憧れていたシーンは

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スーパー歌舞伎「ヤマトタケル」の東京・新橋演舞場公演に向けた取材会が昨日12月18日に東京・帝国ホテルで行われ、中村隼人市川團子中村米吉が出席した。

左から市川團子、中村隼人、中村米吉。

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左から市川團子、中村隼人、中村米吉。

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「ヤマトタケル」は、哲学者の梅原猛が三代目市川猿之助(二世市川猿翁)に書き下ろした1986年初演作。“スーパー歌舞伎”という新たなジャンルを打ち立て、上演が重ねられてきた。今回の上演版では、9月に死去した猿翁の思いを受け継ぎ、初演時に近い演出や構成で上演される。隼人と團子が小碓命後にヤマトタケルと大碓命の2役を交互出演で勤め、米吉が兄橘姫と弟橘姫の2役を早替わりで演じる。なお猿翁は團子の祖父であるほか、隼人の父・中村錦之助は1988年に本作でヤマトタケル役を勤め、米吉の父・中村歌六は初演以来10回にわたり本作に出演している。

左から市川團子、中村隼人、中村米吉。

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隼人は「新作歌舞伎で父と同じ役を勤めるのは初めて。我々新たな世代の表現がお客様にどのように受け入れられるか、ワクワクしております」と述べ、團子は自身の初舞台が2012年の「ヤマトタケル」のワカタケル役だったことに触れ、「ヤマトタケルという人物のスター性が素晴らしく、そのカッコよさがダイレクトに伝わるのが本作の魅力」と紹介。米吉は「父から常日頃『ヤマトタケル』の初演がどれだけ大変だったか、猿翁のおじさまがどれほどすごいことをなさったかは、耳にタコができるほど聞いてきました(笑)。その作品に出演できてうれしい」と出演に向けて思いを語る。

中村隼人

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続いて3人は自身の演じる役柄を巡ってトーク。隼人は「ヤマトタケルは最初は心の優しい少年ですが、成功体験を重ねるうちに自信が付いて傲慢になっていき、足元をすくわれる。自信が付くといろいろなことができるようになりますが、度が過ぎるのはいけない。我々若い年代がヤマトタケルを演じることで、この戒めがお客様に伝わりやすくなるのでは」と期待を込めてアピールする。

市川團子

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團子は「『ヤマトタケル』はどこを切り取っても祖父のことが思い浮かぶセリフばかりで、一言一言に作品の美学や哲学が感じられます。『天翔ける心~』のセリフも好きですが、その前の『私は普通の人が追わぬものを必死に追いかけてきたような気がする。それは何か、よく分からぬ。何か途方もない大きなものを追い求めて』が自分の中では印象的。何かよくわからないけれど、とにかく追い求める。そこに惹かれます」と言葉に力を込めた。

中村米吉

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米吉は、兄橘姫と弟橘姫のことを「ヤマトタケルの志を理解し守ってくれるオアシスのような存在」と表す一方で、梅原による脚本のノーカット版では彼女たちの出世欲や腹黒さなども描かれていると明かし、「単に主役を支える美しいヒロインにとどまらず、梅原先生が描きたかった人間らしさや、人間の業のようなものも意識して演じたい」と意気込んだ。

左から市川團子、中村隼人、中村米吉。

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取材会では、記者から猿翁と3人の思い出を問われる場面も。隼人は「新年のあいさつ以外ではなかなか話す機会はありませんでしたが、(猿翁が)スーパー歌舞伎を生み出す前にもさまざまな古典歌舞伎に出演されていたんだな、と白黒の写真集で見て感銘を受けていました。私の父をはじめ、猿翁さんのそばにいらっしゃった澤瀉屋の面々にいろいろ伺いながら、(猿翁の)精神性をスーパー歌舞伎を通じて継いでいけたら」と思いを語る。

司会者に自分の番を飛ばされ「もうー(笑)」とツッコむ中村米吉。

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米吉は「私の初舞台は猿翁のおじさまと一緒でした。(猿翁が)亡くなる少し前に、今作の出演に関するお話をいただいたので、何とも言えないご縁を感じています。水に入ったり火に入ったり空を飛んだり、本当に実在の人物なんだろうかと思ったりもしましたが、お化粧をされているときの大きな背中をよく覚えています」と振り返った。

中村隼人と中村米吉のやり取りに思わず笑みをこぼす市川團子。

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團子は「私が歌舞伎を好きになったのは、祖父の存在が本当に大きいです。祖父はどんなときでも『がんばれ』と言っていたので、ただただがんばるしかない。“学ぶはまねる”とも祖父はよく言っていましたが、1つひとつしっかり祖父に似せて、この作品に挑めたら」と本作へかける思いを口にした。

左から市川團子、中村隼人、中村米吉。

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記者から宙乗りの話題を振られると、團子は「初舞台を踏む前から本作のDVDをよく観ていて、(ヤマトタケルが)白鳥になって飛び立つところは、子供の頃から本当に憧れのシーンでした。当時、すごい枚数の白鳥の絵を描き、祖父に見せたことも」と幼少期のエピソードを明かし、隼人は「これまで(宙乗りで)馬に乗ったり凧に乗ったりしてきましたが、今回はまったく違う。衣裳が本当に重たいのでまず安全第一で、そしてヤマトタケルの思いを昇華して羽ばたいていきたいと思います」と笑顔を見せた。

公演は2月4日から3月20日まで。チケットの一般販売は、2月公演分が12月25日、3月公演分は1月25日にスタートする。

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スーパー歌舞伎「三代猿之助四十八撰の内『ヤマトタケル』」

2024年2月4日(日)~3月20日(水・祝)
東京都 新橋演舞場

作:梅原猛
監修:石川耕士
脚本・演出:二世市川猿翁

出演

小碓命後にヤマトタケル / 大碓命:中村隼人市川團子(交互出演)
兄橘姫 / 弟橘姫:中村米吉
帝:市川中車
皇后 / 姥神:市川門之助
タケヒコ:中村福之助
ヘタルベ:中村歌之助
犬神の使者 / 琉球の踊り子:嘉島典俊
ヤイラム:市川青虎
老大臣:市川寿猿
倭姫:市川笑三郎
国造の妻:市川笑也
熊襲兄タケル / 山神:市川猿弥
帝の使者:中村隼人、市川團子、市川青虎(交互出演)
尾張の国造:中村錦之助
熊襲弟タケル:中村錦之助、中村歌之助(交互出演)

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読者の反応

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もふもふ(白) @pmanrouu824

【会見レポート】「ヤマトタケル」に中村隼人・市川團子・中村米吉が気合い!團子が憧れていたシーンは https://t.co/7eRjdYpTl4
写真沢山あるけど、最後が猿翁さんのヤマトタケルのラストシーンで泣く😭

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