「そのとき、何を思い、何をしましたか?」第1回の寄稿者。

そのとき、何を思い、何をしましたか? 第1回 [バックナンバー]

劇作家、演出家、俳優、ダンサー、プロデューサーたちが語る

──長い眠りについた劇場、そして舞台人たちの思い

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【舞台が受けた影響を考える】

ここでは、新型コロナウイルス感染拡大によって、舞台界がどのような影響を受けたかを振り返る。

ステージナタリーで紹介した延期・中止公演一覧

瞬く間に感染拡大した新型コロナウイルス

2020年1月に中国・湖北省武漢市で感染拡大した新型コロナウイルスが、世界で猛威を振るっている。日本でも1月16日に神奈川県で国内初の患者が確認されてから、その数は3月中旬の連休を境に日に日に増加。4月17日には東京都での1日の感染者が200人を超えた。

新型コロナウイルス感染拡大の衝撃は舞台の世界にも暗い影を落としている。人が密集し、長時間滞在する舞台表現は、集団感染を引き起こす要因の多さから、公演の実施・中止・延期の検討が主催者に委ねられた。また、渡航や入国に制限が出てきた2月中旬には、上海歌舞団の舞劇Dance Drama「朱鷺」、バットシェバ舞踊団「Venezuela」といった来日公演が早くも中止となる。

舞台は次々に中止

さらに、2月26日に厚生労働大臣が示したイベントに対する「中止、延期又は規模縮小等の対応」要請を受けて、都心部を中心に2月後半からさまざまな公演の自粛判断、中止・延期の報が届くように。急きょ公演を中止した「Endless SHOCK 20th Anniversary」、「絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』」、ミュージカル「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~汚れなき瞳~」、劇団☆新感線「偽義経冥界歌」「泣くロミオと怒るジュリエット」、劇団四季公演のほか、伝統芸能では国立劇場公演、東京・大阪で予定されていた歌舞伎公演などが3月中旬頃までの中止を発表する。また、開幕前だった「カノン」は全日程、2月28日に初日を控えていた「お勢、断行」は開幕前日にツアーを含むすべての公演中止を決めた。一方、宝塚歌劇団はサーモグラフィの設置や換気を強化するなどの感染予防対策を施したうえで、上演の再開と中止を繰り返す。感染予防については宝塚歌劇団だけでなく、小劇場から商業演劇までの公演で、体温検査や消毒液の設置、観客の着席間隔を空ける、体調が悪い場合は来場を控えるよう呼びかけるなどの対応が見られた。

東京では3月28・29日に始まった週末の外出自粛要請を皮切りに、公演再開の延期が続々と公になる。公演続行する団体もあったが、すでに東京公演がスタートしていた「ミュージカル『刀剣乱舞』~静かの海のパライソ~」の一部日程、4月以降に上演を予定していたウーマンリブ「もうがまんできない」東京公演の一部日程、KERA meets CHEKHOV「桜の園」の一部日程、「ジョセフ・アンド・アメージング・テクニカラー・ドリームコート」東京公演の一部日程が中止に。熊川哲也率いるKバレエカンパニーは、観客、ダンサー、スタッフなど関係者の安全を最優先とし、レッスンやリハーサル活動を休止したほか、Kバレエスクール、スタジオを休業、4月末までの活動を停止する意向を明らかにした。

映像配信、新たなフェーズへ

また、この頃から上演の代わりにSNS・動画サイトを通した映像配信が活発に行われるようになる。開催が中止になったSPAC主催「ふじのくに→せかい演劇祭」では、海外アーティストとSPAC芸術総監督・宮城聰のスペシャルトークや映像作品の配信をコア企画とする「くものうえ↑せかい演劇祭2020(World Theatre Festival on the Cloud)」の実施が発表された。新国立劇場は、過去公演の映像を無料配信する「巣ごもりシアター」をスタート。その企画の1つ「おうちで戯曲」では過去に新国立劇場に書き下ろされた戯曲数編が公開される。さらに歌舞伎界では「明治座 三月花形歌舞伎」出演者による座談会、劇場で収録された「スーパー歌舞伎II 『新版 オグリ』」「三月大歌舞伎」の舞台映像などが配信され、このような事態に可能な手段を使って何を届けるかが模索されていく。

「くものうえ↑せかい演劇祭2020」ロゴ

「くものうえ↑せかい演劇祭2020」ロゴ

巣ごもりシアター「おうちで戯曲」ビジュアル

巣ごもりシアター「おうちで戯曲」ビジュアル

4月7日には日本政府が緊急事態宣言を発令。これにより、埼玉・千葉・東京・神奈川・大阪・兵庫・福岡の各都市では公演中止・延期が相次いで発表された。主には、「アーリントン」などのKAAT神奈川芸術劇場公演、市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露公演、PARCO劇場オープニングシリーズである「ピサロ」一部日程と「佐渡島他吉の生涯」、ミュージカル「チェーザレ 破壊の創造者」、シアターコクーン・オンレパートリー2020「母を逃がす」、そして他道県での地方ツアーを含むミュージカル「エリザベート」「ミス・サイゴン」「モダン・ミリー」「ジャニーズ銀座2020 Tokyo Experience」、ブロードウェイミュージカル「ニュージーズ」、シス・カンパニー公演「ケンジトシ」「スーパー歌舞伎II(セカンド)ヤマトタケル」などだが、この時期には「十分な準備期間が得られないため」「カンパニーによる都市間移動を避けるため」などが中止の理由として挙げられるように。また、振替公演を実施予定だった日本キャスト版のミュージカル「ボディガード」とミュージカル「VIOLET」、さらにはこれまでの要請で一部の公演中止を発表していた演目が、ほぼすべての公演の実施を断念した。

4月16日、日本政府は緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大。前代未聞の事態が今なお続いている。

※「ふじのくに→せかい演劇祭2020」「くものうえ↑せかい演劇祭2020」の「→」ならびに「↑」は、各方向への相互矢印が正式表記。

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