hide実弟、HEATHを追悼
hideはX JAPANのギタリスト、ソロアーティストとして活躍。しかし1998年、この先の活動にも期待が高まる中、33歳という若さでこの世を去る。永眠後も絶大な人気を誇っており、この日の公演にはhide亡きあとに彼を知ったという10代を含む、幅広い世代のファンが来場した。また開演時にはhide実弟の松本裕士氏(ヘッドワックスオーガナイゼーション代表取締役)が登壇。X JAPANのメンバーで10月29日に55歳でこの世を去ったHEATHを偲び、1分間の黙祷を捧げた。黙祷の前に松本氏は「今日は暖かいですね。この会場の中で皆さん厚着して倒れないようにしてくださいね」と来場者に優しく声をかけつつ、「真面目な話になっちゃいますが、ファミリーが1人、hideさんのもとに向かいました。悲しいですが、やっぱり僕らのファミリーの1人ですから、今日はご親族の方にも来ていただいております。なのでHEATHにこの場をお借りして、みんなで黙祷をさせていただきたいと思いました」とコメント。黙祷後には「僕らはがんばって生き抜いて、生き抜いたそのあとに報告できるようにしましょう。それまではがんばって生きるんだ! 楽しみましょう、人生を! 今日はちょっと早いけどhideのバースデーパーティ、思いっきり楽しんでください! よろしくお願いします!」と挨拶した。
「hide Birthday Party 2023」出演者
この日のアクトはオープニングを飾ったDJ桃知みなみをはじめ、
1組目:OBLIVION DUST
イベントのトップバッターを務めたのは、hide with Spread Beaver、VAMPSでの活動でも知られるK.A.Z(G, Programming)が在籍するOBLIVION DUST。彼らはhideが組んでいた多国籍バンド・zilchの「ELECTRIC CUCUMBER」を重厚かつソリッドなインダストリアルロックアレンジでカバー。ダークな雰囲気のKEN LLOYD(Vo)が歌う横で、hideから“ギターヒーロー”と称されていたK.A.Z.は、寡黙な表情を浮かべてお立ち台に上がり、ギターをクールにかき鳴らした。
また本公演では、出演者それぞれが思い入れのあるhideの写真がスクリーンに映し出された。OBLIVION DUSTのライブ中、ステージ後方のスクリーンにはzilch時代のhideの写真が投影された。そんな写真をバックに彼らは、RIKIJI(B)の極悪ベースサウンドが炸裂するキラーチューン「You」などを披露。ダウナーからアッパーに昇華するバンドサウンドを一身に浴びる観客の一部が、フロアでモッシュを巻き起こした。なおKENは「OBLIVION DUSTはhideさんに日本で一番面倒を見てもらって、優しくしてもらいました。こうしてステージでちょっとでも恩返しができるのはうれしい。見守られている感じがして、音程を外すと怒られそうな気もしますが(笑)。感無量です。hide、ハッピーバースデー」と語った。
2組目:DIE
続いてhide with Spread Beaver、Ra:INのキーボーディストであるDIEがステージに上がった。DIEは90年代にGLAYのサポートを務めたほか、スプレビのライブで暴れ回るなど、ロックキーボディストのイメージが強いが、近年はアンビエント系、エクスペリメンタル系の作品を発表している。DIEはステージに設置されたグランドピアノ、お立ち台に置かれた砂箱でステップを踏んで音を出したり、ボコーダーを使って話したり、実験的なアプローチのソロパフォーマンスを展開。そしてひとたびピアノに指を走らせると、美しい旋律を奏でた。
DIEは「DIEごときが大きな舞台でやらせていただいて、感謝でございます。ハッピーバースデーhideちゃん! hideちゃんも59歳ですよね、いい歳になってきましたよ、メンバーも。60の壁に届く歳になってきました。Spread BeaverもX JAPANも含めて俺が一番年上なんですよ! 年齢不詳の人もいますけど(笑)。来年の2月でDIEは60歳になります。そこからみんな次々と60歳になって。
3組目:SPEED OF LIGHTS
続いてはhideが見出したバンド・SHAMEのボーカリストとしても知られるCUTT(Vo, G, Sequencer)がフロントマンを務めるバンド・SPEED OF LIGHTSがステージに上がる。彼らはzilch「SPACE MONKEY PUNKS FROM JAPAN」をスペーシーなアレンジでパフォーマンスし、続けて会場でCDが販売された新曲「Our New World」を初披露。「Cosmic Rolling」ではスクリーンにリズムゲームを模した映像が投影され、SPEED OF LIGHTSは観客のハンドクラップに合わせて楽曲を演奏した。
ライブ後半にはhideが作詞作曲を手がけたXの楽曲「Joker」を“Alien Chorus ver.”でカバー。シンセサウンドとエイリアンボイスのコーラスを重ね、SPEED OF LIGHTSらしいポップなアンサンブルで観客を踊らせた。hide愛とX JAPAN愛を込めつつ、持ち前のアレンジセンスを爆発させた彼らは、さらにアッパーチューン「Speed Of Lights」などをプレイし、オーディエンスを熱く盛り上げる。CUTTが「皆さんの前で今年もSPEED OF LIGHTS、うれしいです。今年は特に皆さんの顔を見て安心したというか」と話した際には、SHOKO(Synth)とJUNYA(Dr)も来場者に挨拶。さらにCUTTは「今日はまだまだ始まったばっかりですから。想像を絶する楽しみが待っています。来年SPEED OF LIGHTSはより楽しい音楽を伝えられるようにがんばっていきますので、応援よろしくお願いします。最後はhideさんとすべての方にハッピーバースデーという気持ちを込めて、この曲を」と述べ、「Birth Everywhere」でライブを締めくくった。
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【ライブレポート】hide生誕祭にスプレビ、PATAら集結!hide実弟の松本氏がX JAPAN・HEATHを追悼(写真25枚) https://t.co/5UI1s1zt6Z https://t.co/tlQhTsqUyj