さくらしめじが4月4日に東京・中野サンプラザホールにてワンマンライブ「春しめじのお花し」を開催した。
さくらしめじが同会場でライブをするのは、2018年12月に行われたクリスマスライブ以来、2度目のこと。昼夜2部制で行われた公演は、弾き語りスタイルの「おふたり編」、バンド編成の「おなかま編」と、それぞれに異なる編成でのステージが披露された。今回のライブは本格的な演劇を織り交ぜながら進行。さくらしめじが初挑戦した演劇パートの脚本は、田中雅功が書き下ろした。
ライブは雅功と高田彪我による芝居から始まった。物語の舞台は大きな木のある公園。雅功がおじいちゃんから聞いたという“幸せな花を咲かせるキノコ”の存在を彪我に教えると、彪我はステージの中央で大きく手を広げて「幸せになりたーい!」と願いを叫ぶ。そんな彪我を見た雅功は「じゃあ、(キノコを)一緒に育ててみようよ」と誘い、2人はキノコに向かって「今でで一番幸せだったときのこと」を思い出しながら“念”を送るも、キノコはなんの反応も見せなかった。観客の力を借りてもキノコは花を咲かせなかったが、ここで雅功が彪我に「今までで一番幸せなこと、何を思い出した?」と問いかける。すると彪我は「僕はね、2人で一緒に歌っているときのことを思い出してたよ」と返答。この答えに「僕もまったく同じことを考えてた」と反応した雅功は「やっぱり歌ってるときが一番楽しいよな。そうだ、今から一緒に歌いませんか?」と客席に語りかけ、ライブをスタートさせた。
演劇パートが織り交ぜられたライブとあり、2人はヘッドセットマイクを着けた、いつもとは少し違った姿。1曲目の「えそらごと」で華やかに物語の幕開けを告げると、続く「Bun!Bun!BuuuN! 」ではきのこりあん(さくらしめじファンの呼称)と一緒に笑顔でタオルを振り回す。すると、会場の熱気を察知したキノコが音を鳴らして反応。彪我は「幸せだなという思いが歌に乗って伝わったのかもしれない。もっと歌えば、もっと幸せが届いて、成長して花が咲く」と確信し、雅功は「みんなでもっともっと幸せという気持ちを送りましょう」と客席に呼びかけた。
第2幕では、変化を恐れずに自分を信じて前に進もうという思いが込められた「風とあるがままに今を歩こう」や、ひらめと共作した女性目線のラブソング「ストーリーズ」、そして「だるまさんがころんだ」が披露された。雅功と彪我はキノコに向かって歌声を響かせたが、キノコの反応は芳しくなく、2人の間には次第に険悪なムードが漂いだす。
「そもそも幸せってなんだろうね。幸せの定義から考えていく必要があるんじゃない?」という雅功の問いかけから始まった第3幕では、2人が言い争いを始めてしまう。「彪我はいつも人任せだし、話を聞いてない」という雅功に対し、彪我が「雅功が勝手に突っ走ってるだけだろ」と言い返すと、雅功は「ふざけんな。顔も見たくねーよ。お前となんか歌うか!」と激昂。胸ぐらを掴み、殴り合う寸前まで衝突した彼らは、彪我が作ったロックナンバー「たけのこミサイル」をプレイする。エレキギターに怒りや苛立ちをぶつけ、演奏中もにらみ合ったまま「お前、まじふざけんなよ!」「お前となんか歌うか!」と罵り合う2人。迫真の演技でこれまでに見たことのない顔を見せる雅功と彪我にきのこりあんは圧倒され、場内が静寂に包まれる中で第3幕は終了した。
気まずく沈んだ雰囲気の中、雅功が公園で「ちょっと言いすぎたかな。でも2人のときより1人のほうが気が楽かな。1人のほうがのびのび歌えるし」とうそぶくと、キノコは不協和音を鳴らした。「どうしようかな? 謝ったほうがいいと思います?」と観客に尋ねる雅功。しかし、2人はなかなか素直に謝ることができない。やがて彪我が「歌だったら伝えられるかな」とつぶやき、彼らは「またたび」を歌唱。1人ぼっちの“僕”が野良猫に語りかけるこの歌を、雅功と彪我はステージの両端で歌った。雅功が作詞に加わった失恋ソング「別れた後に僕が思うこと」では歌詞が2人の喧嘩を想起させたが、最後の「ありがとう ごめんね」というフレーズで、2人は互いのほうを向く。そして「My Sunshine」で彼らは力強く歌声を重ね、仲直りを果たした。
2人の心が通うと、緑の葉を茂らせていた大木は“幸せの花”を満開に咲かせた。雅功と彪我は「やっぱり、2人でギターを弾いて歌ってるときが一番楽しい」と声を合わせ、物語はクライマックスへ。雅功が「会いたくても会えない日々がずっと続いていて。でもみんな、時間が止まってたわけじゃないと思うんだ。僕たちとみんなの中では、ちゃんと時間が動いていたし、会いたくても会えないという時間があったからこそ、僕たちはもっともっとつながったんだなと思う」と言うと、彪我は「それもさ、みんなで笑って会える日が来るとずっと信じていたからこそ、こうやって会えたんだよね」と続けた。雅功は「2人で今、一番歌いたい歌を思いっきり歌いたい!」と叫び、2人は「会いに行こう」を熱唱する。この曲は、さくらしめじが自粛期間中、リモートでファンと作り上げた楽曲だ。紙吹雪が舞う中で2人は全力の歌声を響かせ、歌詞にある「桜舞う頃に会いにいく」という約束も実現させる。こうしてさくらしめじのキャリア初の音楽劇は終幕した。
昼公演のアンコールでは「しめじ体操」を観客と一緒に歌い踊り、音源化されてない「天つ風」も披露した2人。夜公演では「青春の唄」、そして「みちくさこうしんきょく」を歌い上げた。最後に「未来を見て歩んでいきたい」と前を見据えて決意を語った雅功と彪我がステージをあとにすると、この日のために作られた新曲「お花し」が流れ、客席に幸福な余韻を残していた。
なお公演の中では、2人が7月18日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でワンマンライブ「さくらしめじのゼップでロッ菌! 2021 in Zepp Diver City」を開催することが発表された。
さくらしめじ「春しめじのお花し」2021年4月4日 中野サンプラザホール セットリスト
おふたり編
01. えそらごと
02. Bun!Bun!BuuuN!
03. 風とあるがままに今を歩こう
04. ストーリーズ(feat.ひらめ)
05. だるまさんがころんだ
06. たけのこミサイル
07. またたび
08. 別れた後に僕が思うこと
09. My Sunshine
10. 会いに行こう
<アンコール>
11. しめじ体操
12. 天つ風
おなかま編
01. えそらごと
02. Bun!Bun!BuuuN!
03. 風とあるがままに今を歩こう
04. ストーリーズ(feat.ひらめ)
05. だるまさんがころんだ
06. たけのこミサイル
07. またたび
08. 別れた後に僕が思うこと
09. My Sunshine
10. 会いに行こう
<アンコール>
11. 青春の唄
12. みちくさこうしんきょく
※高田彪我の高ははしごだかが正式表記。
リンク
J_ROCKNews @J_ROCKNews
さくらしめじが音楽×芝居で魅せた中野サンプラザ公演、桜舞う頃に心通わせ“幸せの花”咲かせる https://t.co/qXg34dUNWO