キセル、雨上がりの野音に響かせた20周年公演「泣いてたの?」「泣いてない」

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キセルが9月16日に東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「野音でキセル 2019」を行った。

「野音でキセル 2019」ライブ本編を終え観客に挨拶をするキセルとサポートメンバー。(撮影:三浦知也)

「野音でキセル 2019」ライブ本編を終え観客に挨拶をするキセルとサポートメンバー。(撮影:三浦知也)

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「野音でキセル 2019」の様子。(撮影:三浦知也)

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キセル(撮影:三浦知也)

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「野音でキセル 2019」の様子。(撮影:三浦知也)

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辻村友晴(撮影:三浦知也)

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サポートメンバー。手前から野村卓史、北村ゆう子、加藤雄一郎。(撮影:三浦知也)

サポートメンバー。手前から野村卓史、北村ゆう子、加藤雄一郎。(撮影:三浦知也)[拡大]

エマーソン北村(中央)を迎えパフォーマンスを行うキセル。(撮影:三浦知也)

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ドラムを演奏しながら歌唱する辻村豪文。(撮影:三浦知也)

ドラムを演奏しながら歌唱する辻村豪文。(撮影:三浦知也)[拡大]

「野音でキセル 2019」の様子。(撮影:三浦知也)

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ダブルアンコールを終え拍手と歓声に包まれるキセル。(撮影:三浦知也)

ダブルアンコールを終え拍手と歓声に包まれるキセル。(撮影:三浦知也)[拡大]

キセルにとって2013年、2015年に続く3度目の野音公演となる今回は、結成20周年を記念して開催された。当日朝から降り続いていた雨は開場前には上がり、曇り空の野音に多くの観客たちが足を運んだ。

定刻を少し過ぎた頃、辻村豪文(Vo, G)と辻村友晴(Vo, B, Musical saw)が登場。温かな拍手に迎えられながらギターとベースを鳴らし始めた2人は、まず友晴のボーカルで「庭の木」を披露した。その後サポートメンバーの北村ゆう子(Dr)、野村卓史(Key / グッドラックヘイワ)、加藤雄一郎(Sax, Flute)を迎え、楽器の周りに植物とライトが添えられたステージで「夕凪」「今日のすべて」をパフォーマンスしていった。

「どうもこんにちは。キセルです」と穏やかな口調で挨拶をしたあと、豪文は「キセル結成20周年ということで、本当に皆さんのおかげとしか言いようがないです」と観客に感謝の言葉を贈った。祝福の拍手が会場を包み込む中、彼らはバンド編成でのパフォーマンスを続行。軽快なギターソロや口笛が印象的な「サマタイム」、朗らかな歌声とフルートの音色から一変、間奏でタイファンク調のサイケデリックなサウンドが鳴り響いた「山をくだる」など、緩急ある楽曲を次々に展開し、曲中で優しく、時には強く輝くオレンジ色の照明の演出と共に観客を引きつけた。

陽が落ちてきた頃にサポートメンバーが舞台袖に捌け、2人きりになった辻村兄弟はステージ中央の椅子に腰かけた。ステージのデコレーションが友晴のデザインによるものであることを紹介したあと、2人は言葉少なに20周年を迎えたことについて語り合う。「そういえばキセルって、結成する前にもうできていたような気がしますね」と発言する友晴に、「そうですね……20周年じゃなかったりしてね」と豪文が答え、2人はおもむろに「鴉」の演奏を始めた。雨上がりの澄んだ空気に彼らの伸びやかな歌声が響き渡ったあと、ステージにゲストとしてエマーソン北村(Key)が登場。長きに渡り音楽活動を共にしてきた3人は、これまでの歩みを振り返った後「くちなしの丘」を披露した。さらに豪文がドラムを担当する編成で、友晴のボーカル曲「緑の日」やタイトなドラムのサウンドとベースソロが光った「枯れ木に花」、オルガンの音色と軽やかなリズムが印象的な「うぶごえ」の3曲をパフォーマンスした。ライブでドラムを演奏するのはこの日が初めてという豪文は、「“四十にして惑わず”と言いますけども、新しいことにチャレンジしたほうが長生きできるのかなって」とはにかみながら、長野の自宅でドラムの練習に励んだことを明かした。

ライブ後半、野音を取り囲む木々からの鈴虫の声をバックに、3人はギター、ミュージカルソウ、キーボードの編成で細野晴臣の「四面道歌」と、「君の犬」を響かせた。その後キセルは再びサポートメンバーを交え「時をはなれて」「草葉の陰まで」などを続けて披露していった。そして会場に「ビューティフルデイ」のイントロが流れ始めると、大きな歓声と共に観客が腕を上げ体を揺らし始める。続く定番曲「ギンヤンマ」で会場全体が一体感に包まれた後、キセルは「来てけつけるべき新世界」でライブ本編の最後を締めくくった。

アンコールではキセルは「春の背中」「ベガ」「ひとつだけ変えた」をバンド編成でパフォーマンス。豪文が感謝の言葉と共に「21年目もよろしくお願いします。皆さんが頼りなんで」と観客に語りかけた。その言葉に応えるように、演奏を終えた彼らが舞台袖に去ったあとも拍手は鳴り止まず、辻村兄弟が再びステージに登場。この日の公演を振り返り、友晴が「思い入れのある曲は(演奏していて)うるっとするもんですね」とつぶやくと、「なに? 泣いてたの?」「泣いてない」というやりとりが交わされ、会場は和やかな雰囲気に。そして豪文の「締まるかわからないけど」という控えめな言葉と共に、2人はこの日のために作ったという新曲「終わりに添えて(仮)」を歌唱。「君の影をたどって 思いがけずここまで」という歌い出しから始まるこの曲では、辻村兄弟の朗々とした歌声とアコースティックギター、ミュージカルソウの音色が静かな会場に響き渡った。そして曲が終わると同時に湧き起こった大きな拍手と歓声を浴びながら、豪文の「ありがとうございました。キセルでした!」という言葉で2人は公演の幕を下ろした。

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キセル「野音でキセル 2019」2019年9月16日 日比谷野外大音楽堂 セットリスト

01. 庭の木
02. 夕凪
03. 今日のすべて
04. ピクニック
05. 絵の中で
06. サマタイム
07. 山をくだる
08. 富士と夕闇
09. エノラゲイ
10. ナツヤスミ
11. 鴉
12. くちなしの丘
13. 緑の日
14. 枯れ木に花
15. うぶごえ
16. 四面道歌
17. 君の犬
18. 時をはなれて
19. 草葉の陰まで
20. 一回お休み
21. 夜の名前
22. ビューティフルデイ
23. ギンヤンマ
24. 来てけつけるべき新世界
<アンコール>
25. 春の背中
26. ベガ
27. ひとつだけ変えた
<ダブルアンコール>
28. 終わりに添えて(仮)

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カクバリズム @kakubarhythm

【キセル】ナタリーにて先日の『野音でキセル 2019』のライブレポートがアップされました。当日の模様と写真もたくさん掲載されているので是非ご覧ください!
https://t.co/g2qciCO35Y

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