きゃりーぱみゅぱみゅ、日本の神々の発祥の地に降り立ち平和を取り戻す

2018年秋に発表した最新アルバム「じゃぱみゅ」の収録曲「音ノ国」をコンセプトにした、きゃりーぱみゅぱみゅのスペシャルライブ「音ノ国ライブツアー2019」。その第1弾公演「まぼろしのユートピア～出雲大社の夜～」が、日本の神々の発祥の地と言われる島根・出雲大社にて3月30日に開催された。

きゃりーは以前、敬愛する美輪明宏から「あなたは出雲阿国の生まれ変わりよ」と言われたという。出雲阿国は出雲大社に仕える巫女で、歌舞伎の創始者と伝えられている人物。和装に金の鎖と水晶の十字架を胸に下げるなど、当時の常軌を逸脱したファッションは一部批判を受けながらも、自身の芸を貫き一世を風靡したと言われている。常識にとらわれないファッションと音楽でワールドワイドに活躍する姿を美輪から「まさに現代版の出雲阿国」と称されたことを受けて、きゃりーは出雲大社でのライブを実現させた。

来場者が厳かな空気に包まれた出雲大社の参道を進むと、巨大な額縁に囲まれたステージが姿を現す。額縁の中の装飾は、欧風の童話に登場する植物やうさぎ、蝶などをモチーフにしながら、ポップなボーダーや水玉模様もあしらわれ、単なる“和風”とは異なるきゃりーらしい世界観を作り出していた。

開演後、このライブのストーリーを観客に伝える、映画のオープニングのような映像が上映された。物語の舞台となるのは、音楽の神・音龍に守られ、毎日楽しく平和に暮らしていた“音ノ国”。しかし悪い亡霊によって、突如その暮らしが奪われてしまう。音龍は山の中に閉じ込められ、花や木は枯れ、人々は音楽を忘れて笑顔が消えていった。異変を感じ取った音龍は山の中で涙を流す。その涙から誕生したきゃりーは、平和だった音ノ国を取り戻すために人々に音楽を思い出させようとする。

そしてオーケストラ調の壮大な楽曲「完全形態」に乗せて、従者を連れてきゃりーがステージに登場。白地に黄金が輝くドレス紗幕越しに神々しく浮かび上がった。そして紗幕が開き、きゃりーは満開の桜を借景に「きらきらキラー」「つけまつける」を立て続けに歌唱。「今日は一夜限りのライブです！ 懐かしい曲もやろうと思ってセットリスト組んできました！」ときゃりーが叫ぶと、ここから「スキすぎてキレそう」「のりことのりお」「Unite Unite」といったひさびさに披露された楽曲から、デビュー曲「PONPONPON」といった大ヒット曲まで、さまざまな曲がテンポよく繰り出された。

ライブが進み空が暗くなると、周囲の森や桜はさまざまな色に染まり、会場は幻想的な世界に覆われていった。再び紗幕に映像が流れたのち、きゃりーは“おしゃかカワイイ”と名付けた和風な薄ピンクの衣装に着替え、パステルカラーの筋斗雲に乗ってステージに登場。アカペラで「にんじゃりばんばん」の冒頭を歌い始めた。そして「出雲大社に流れる空気があまりにもよすぎて、ライブをしながら何度か泣きそうになってしまいました」と喜びをあらわにしつつ、「演歌ナトリウム」ではオーディエンスに振付をレクチャーして一体感を楽しんでいた。その後「インベーダーインベーダー」「ファッションモンスター」といったアップテンポの楽曲でライブはクライマックスに。きゃりーの音楽の力によって解き放たれた音龍が山々の上空を飛び回る姿が紗幕に映し出されたのち、本編最後に今回のライブのテーマソングでもある「音ノ国」が披露された。きゃりーによって人々は音楽を思い出し、平和な音ノ国を取り戻して物語は大円団を迎えた。

アンコールでは、4月4日にスタートする読売テレビ・日本テレビ系ドラマ「向かいのバズる家族」の主題歌に決まった、5月配信リリース予定の新曲「きみがいいねくれたら」を初披露。ダンサーと2人きりの編成という彼女にとって初の試みで、「自分史上、一番難しかった」というダンスを乗せながらこの曲を歌いきった。

なお「音ノ国ツアー2019」の第2弾は、日本最古の歴史を持つ劇場である京都・南座で4月末から5月にかけて行われる「南座新開場記念京都ミライマツリ2019 Supported by SUNTORY」の一環として開催。平成最後の日である4月30日に、歌舞伎とコラボレートした1日限りのスペシャルライブ「きゃりーかぶきかぶき」が行われる。