矢野顕子×TIN PANの歴史的な一夜がライブアルバムに

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アメリカ・ニューヨークに拠点を置く矢野顕子が毎年日本に里帰りして行っている年末恒例のライブ、「矢野顕子さとがえるコンサート」の最終公演が12月14日に東京・NHKホールで行われた。

アンコールで客席を背に記念撮影するメンバー。左から鈴木茂、林立夫、矢野顕子、細野晴臣。(撮影:三浦憲治)

アンコールで客席を背に記念撮影するメンバー。左から鈴木茂、林立夫、矢野顕子、細野晴臣。(撮影:三浦憲治)

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今年の「さとがえるコンサート」は福岡、名古屋、大阪、東京の4都市で開催され、チケットは全会場ソールドアウト。すべての公演に細野晴臣、林立夫、鈴木茂の3人からなるTIN PANが参加してライブが行われた。矢野とTIN PANは、矢野が1976年に発表したデビューアルバム「JAPANESE GIRL」でセッションをする以前から多くのライブやレコーディングの現場をともにしてきた仲であるが、この4人だけでツアーをするのは今回が初。この日はあくまで矢野の「さとがえるコンサート」でありながら、TIN PAN関連の楽曲も多くセットリストに組み込まれ、4人全員が主役のようなライブとなった。

「矢野顕子さとがえるコンサート」12月14日の東京・NHKホール公演の模様。(撮影:三浦憲治)

「矢野顕子さとがえるコンサート」12月14日の東京・NHKホール公演の模様。(撮影:三浦憲治)[拡大]

東京公演の1曲目はデビューアルバム「JAPANESE GIRL」の収録曲「大いなる椎の木」。自由奔放にピアノを弾きながら歌う矢野に、そっと寄り添うようにTIN PANの3人が演奏する。その後もグレン・キャンベルのカバー「Wichita Lineman」や、矢野がデビュー前にピアニストとしてTIN PANとともに演奏に参加したアグネス・チャンの楽曲「想い出の散歩道」などを披露。ハンク・スノウによるカントリーの名曲「I’m Moving on」や細野の楽曲「冬越え」では矢野と細野がデュエットを展開し、またティン・パン・アレーの曲「ソバカスのある少女」では鈴木茂がメインボーカルを担当しつつ渋いギターを響かせた。

公演中盤には、今回のライブに向けて矢野が書いた新曲「A Song for Us」も披露された。矢野がこの曲について、歌詞やタイトルがライブ直前に決まったばかりで、これまでの3公演ではずっと即興で歌っていたと告白すると、客席からは笑い声が。ファンキーでブルージーな演奏に乗せて矢野の力強い歌声が響き渡り、会場中から喝采が沸き起こった。

矢野顕子(撮影:三浦憲治)

矢野顕子(撮影:三浦憲治)[拡大]

15分間の休憩を経て、後半は矢野のソロによるピアノ弾き語りからスタート。ここで彼女は大滝詠一の楽曲「水彩画の町」「乱れ髪」を2曲混ぜあわせてメドレーにして歌った。その後ここに細野が加わり、2人で細野のソロ曲「終わりの季節」をしっとりとデュエット。アグネス・チャンのカバー「ポケットいっぱいの秘密」では、矢野がスタンドマイクで生き生きとしたスキャットを披露したり、TIN PANの3人がソロを回したりと、ライブならではの盛り上がる演出が用意されていた。

矢野はアンコールで「TIN PANと一緒にやるのは私の長年の夢でした。そのときのノリが一致しないと、私だけが『やりましょ!』って言っても『今忙しいから』って言われちゃったらできないし」と話し、共演を実現させてくれたスタッフに感謝の気持ちを述べた。アンコールでは細野のボーカルで彼のソロ曲「絹街道」をパフォーマンスし、ラストに矢野の代表曲「ひとつだけ」を披露。何度もライブで演奏されている定番曲ながら、この4人だからこその特別な感覚で届けられた贅沢な「ひとつだけ」に、会場からはあちこちでスタンディングオベーションが沸き起こり、その拍手はしばらく鳴り止まなかった。

なお、この東京・NHKホール公演の模様はWOWOWプライムにて12月31日(水)14:00よりオンエア。そして2015年にライブアルバムとしてCDリリースされることも決定している。ライブアルバムの詳細については今後「さとがえるコンサート」のオフィシャルサイトにて随時発表される予定だ。

矢野顕子、TIN PAN「矢野顕子さとがえるコンサート」12月14日(日)東京都 NHKホール セットリスト(カッコ内はオリジナルアーティスト)

01. 大いなる椎の木(矢野顕子)
02. Wichita Lineman(グレン・キャンベル)
03. 思い出の散歩道(アグネス・チャン)
04. The End of the World(スキーター・デイヴィス)
05. I'm Moving on(ハンク・スノウ)
06. ソバカスのある少女(ティン・パン・アレー)
07. 冬越え(細野晴臣)
08. A Song for Us(矢野顕子)
<休憩>
09. へびの泣く夜(矢野顕子)
10. 水彩画の町~乱れ髪(大滝詠一)
11. 終わりの季節(細野晴臣)
12. 氷雨月のスケッチ(はっぴいえんど)
13. こんなところにいてはいけない(矢野顕子)
14. ポケットいっぱいの秘密(アグネス・チャン)
15. 変わるし(矢野顕子)
<アンコール>
16. 絹街道(細野晴臣)
17. ひとつだけ(矢野顕子)

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細野晴臣 Haruomi Hosono _information @hosonoharuomi_

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