Task-n

これのドラムを聞け!5秒だけでもいい Vol. 29 [バックナンバー]

Task-n(HEY-SMITH)に絶望を感じさせるドラマーは

「1を聴くだけで10の努力とセンスと技量の高さが垣間見える」

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楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。第29回は、現在全国ツアー「WELCOME TO “CAFFEINE BOMB” TOUR」を開催中のパンクバンド・HEY-SMITHのTask-nさんが登場。彼が「いつでも僕に絶望を感じさせてくれる最高の先輩です」と語るドラマーとは?

構成 / 丸澤嘉明

ドラムフレーズが好きな曲とその理由

Grand Funk「We're An American Band」(ドラム / ドン・ブリューワー)

親父が好きで集めていたCDたちに興味が湧いて、片っ端から聴き漁っていた時代があります。
その中でドラムを始めて間もない頃の僕が経験する初めての壁がこのカウベルから始まるドラムイントロでした。
若造にもどう叩いているか理解できるくらいわかりやすいイントロでしたが、キックを片足で踏むにはどう考えても速すぎると試行錯誤の日々が始まったのでした。
ミュージックビデオを映像で観られる時代になって「お前が歌ってんのかーい」と事実を知ったときのことを今でも思い出します。

Suicidal Tendencies「We Are Family」(ドラム / ブルックス・ワッカーマン)

この疾走感たるやもうたまりませんね。
グルーヴィでファンキーな弦楽器隊を力強く押していくブルックス・ワッカーマンのドラムが大好きで、この曲が収録されている「Freedumb」のほかに「Free Your Soul and Save My Mind」というアルバムも聴いていてとても気持ちがいいです。
ほかのバンドの好きなアルバムでもブルックスが叩いていることが意外と多く、1つ名前を出すならばBad Religionの「The Empire Strikes First」というアルバム。手数でフィルインを埋めていくドラムもまた違ったよさがあっていいなと思います。

Long Beach Dub Allstars「Lonely End」(ドラム / マーシャル・グッドマン)

この短さで曲の感情を匂わせるドラムイントロって真似しようと思っても僕にはなかなか難しいです。
曲に入ってからも速いテンポの跳ねてるビート、その中でも少しのっぺり跳ねるというかしっとり跳ねるビートを維持してるのがドラマーとしては刺さってくるわけです。
1曲通して叩くと腕パンパンになりそう。でもそれを感じさせない。
ラス・M・G名義でのDJやソングライターとしての才能も影響しているのでしょう。うらやましい限りです。
奇跡的に来日時のイベントでご一緒させていただきましたが、彼の渋さには僕が大事にしているモノと似ている部分を感じずにはいられませんでした。
“大人数バンドのドラマーあるある”なのかもしれませんね。

blink-182「Feeling This」(ドラム / トラヴィス・パーカー)

イントロの強烈に耳に残るビートはもちろんのこと、0:33から始まるAメロの後ろでドラムとカウベルを1人でこなしてしまうトラヴィスの器用さに衝撃を受けずにいられませんでしたね。
2人で演奏しているようなツインビートの概念は、僕のバンドHEY-SMITHの「Stop The War」というアルバムでも随所に取り入れてます。
音源のメロディックパンクのツービートでも速くてなかなか追いつけないのに、ライブになるとさらにどんどん加速していくblink-182の曲たちはもはやトラヴィスの独壇場。
常に新しいモノを取り入れて自分をアップデートしていくトラヴィスの姿勢にはいつだって敬服するばかりです。

FRONTIER BACKYARD「MUSIC IS A BASIS」(ドラム / 福田"TDC"忠章)

0:27から始まるAメロのビートは僕の中で稲妻が落ちたような衝撃でした。
疾走感と説得力と技術力の融合。
もはやビートが歌っているようにも感じるがゆえに歌のメロディはなんでもいいかもしれないとさえ思ってしまえる美しさです。
SCAFULL KINGのアルバムもたくさん勉強させていただいてます。
もはやバイブルと言っても過言ではないと思います。
1を聴くだけで10の努力とセンスと技量の高さが垣間見えるので、いつでも僕に絶望を感じさせてくれる最高の先輩です。

Stuff「Signed, Sealed, Delivered I'm Yours」(ドラム / スティーヴ・ガッド)

Stuffのテーマソングとも言われているこちらはスティーヴィー・ワンダーのカバー曲なのですが、7:15から始まるガッドのソロが秀逸ですね。手足のコンビネーションがきれいに耳に吸い込まれていきます。
最後に畳みかけるハイハットとキックの応酬もライブならでは。
あまり長尺のドラムソロに憧れがない僕ですが、ガッドのはうっとりしてしまいますね。
別音源だとSteely Danの「aja」とかも好きです。
やっぱり一発録り時代の音楽人はみんな上手ですよね。歌にしても楽器にしても。もっとがんばろう。

自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること

僕はバンドのドラムしか経験したことがないので、個人戦というよりはチーム戦の意識が常にあります。
視覚的、聴覚的問わず誰かが前に出るときにはそれを邪魔せず、むしろブーストさせてあげるような意識を忘れないようにしています。
ドラムは1人で叩くモノですけれど、僕はオーケストラの仕事を1人で担っていると考えているので、自分がもしスネアだけの担当だったらこの音量で表現するかなとか、もしシンバルだけの担当だったらこの長さでミュートするかななど、歌やほかの楽器隊がどういうふうにお客さんに聞こえるのがベストなのかを意識して演奏するように心がけています。もちろん曲が速すぎて無理なときもありますけどね。

自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマー

神保彰さん(カシオペア)
恒岡章さん(Hi-STANDARD)
七尾"DRY"茂大さん(DRY&HEAVY)
Björn Jönsson(Soul Quality Quartet)
Carter Beauford(Dave Matthews Band)
Dennis Chambers(Tower of Power)
Erik Sandin(NOFX)
Gavin Harrison(King Crimson、Porcupine Tree)
Jost Nickel(Jan Delay & Disko No.1)
Julian Goyma(Blue King Brown)
Pete Ray Biggin(Incognito)
Per Möller Jensen(The Haunted)
Dave Weckl
Justin Scott
Simone Pannozzo

Task-n

2006年に結成された、メロディックパンクにホーンセクションを加えたパンクバンド・HEY-SMITHのドラマー。毎年約100本近くのライブを行う生粋のライブバンド。2009年に1stミニアルバム「Proud and Loud」でCDデビュー。2023年10月にシングル「Say My Name」でポニーキャニオンからメジャーデビューを果たした。さらに、2010年より自主企画イベント「OSAKA HAZIKETEMAZARE FESTIVAL」を主催しており、2025年は10月25、26日に大阪・泉大津フェニックスにて行われる。スパイス感のあるものが好きで、ツアー先ではカレーを食べ歩く。

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音楽ナタリー @natalie_mu


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「1を聴くだけで10の努力とセンスと技量の高さが垣間見える」

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#HEYSMITH #ヘイスミ #FBY

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