槇原敬之×WOWOW|デビュー35周年記念3カ月連続特集 笑いに包まれた番組収録に密着 盟友・毛利泰士とのテレビ共演は「ホントにレア」

槇原敬之のデビュー35周年記念特集が11月から3カ月連続でWOWOWにて展開される。

1990年10月25日に1stシングル「NG」と1stアルバム「君が笑うとき君の胸が痛まないように」でデビューし、今年35周年を迎えた槇原。WOWOWでは特集を通じて、彼のアニバーサリーイヤーを盛り上げる。11月と12月には槇原が盟友の毛利泰士(Synthesizer Programmer)とともにファンのメッセージを読んだり、質問に答えたりするラジオ番組風のトークプログラム「槇原敬之 TREASUnbox」をオンエア。2026年1月には、10月に大阪・大阪城ホール、11月に神奈川・Kアリーナ横浜で開催されたアニバーサリーライブ「Makihara Noriyuki 35th Anniversary Concert 2025 “TREASUarenaTOUR”」よりKアリーナ横浜公演の模様が全曲ノーカットで放送・配信される。

音楽ナタリーでは「TREASUnbox」の収録に密着。笑いが絶えなかった現場の模様を、ネタバレを避けてお伝えする。

取材・文 / 高岡洋詞撮影 / 田中聖太郎

番組収録に密着

左から毛利泰士、槇原敬之。

左から毛利泰士、槇原敬之。

槇原敬之 槇原敬之と……

毛利泰士 毛利泰士の、WOWBOW(ワウバウ)レディオ・イン……

槇原毛利 「槇原敬之 TREASUnbox Vol.1」!

2025年10月某日、午後1時。東京都内のとあるスタジオに準備されたラジオ番組のスタジオ風セットの中で、2人が元気に声を上げた。

WOWOWにて11月から放送・配信される「槇原敬之 35周年記念3カ月連続特集」。その先陣を切るスペシャル番組「TREASUnbox」の収録に、僕と音楽ナタリーの編集者は密着させてもらった。プロデューサーは槇原のライブ映像を多く手がけてきたWOWOWの松井菜穂氏と629 inc.の三上健氏、ディレクターはミュージックビデオやCMを制作するかろみスタジオの今村繁氏。その3人のほか、スタッフ十数名(とWOWOWのコーポレートキャラクター・ウーとワー)が見守る中、まずはVol.1の収録がスタートした。

左から毛利泰士、槇原敬之。

左から毛利泰士、槇原敬之。

番組収録にあたってWOWOWに寄せられたメッセージ、リクエスト、質問は実に500通以上。前半は「私とマッキーの35周年」というテーマでお便りを読み上げ、その内容を受けてフリートークを展開し、曲のリクエストに応えていく。槇原と毛利のトークはオープニングから至って快調。25年の付き合いで気心の知れた仲ならではのくすぐりが自然と笑いを生んでいた。メッセージを1、2通ずつ読み、リクエスト曲をかけるまでが1コーナー。カットがかかるたびに槇原が周囲を巻き込むように笑わせて、全体の雰囲気をこなれさせていく。さすがの気遣いだ。後半は質問コーナー。問答は“語りかけ”の性質が強くなるせいか、1つ答えるごとに槇原も毛利も胸襟を開いていくのがわかるような気がした。

毛利泰士

毛利泰士

槇原敬之

槇原敬之

進行は実にスムーズで、一度カットして「もう1回いいですか?」とやり直すこともほとんどなく、40分ほどで終了。ディレクターの説明を受けながらの短い休憩を挟んで、今度はVol.2の収録だ。

メッセージテーマは「マッキー思い出のライブエピソード」。Vol.1について「いたって快調」と書いたが、Vol.2では槇原と毛利がのっけから自由闊達、絶好調という印象。そもそもフリートーク時の声のボリュームが違う。卓越したトークスキルと2人の関係があっても、Vol.1ではまだ彼らなりに緊張していたということが逆説的にわかった。会話の脱線の仕方も大胆になり、誘われるように我々の笑い声も大きくなる。この原稿を書いているときに収録台本を見返したら「おふざけ増!」と僕のメモ書きがあった。

槇原敬之

槇原敬之

最後に収録されたのは「プロが厳選した槇原敬之ベストライブ」のコーナー。ミュージシャン、コンサートプロモーター、撮影監督らが思い出に残る名演や名シーンを語り、槇原と毛利が関連するエピソードを披露する。セットリストの作り方やライブアレンジの組み方、ステージからの視界など秘話満載で、我々も大変勉強になる内容だった。観客の前で音楽を披露するコンサートは音楽家にとって最も大切な見せ場の1つだが、映像や音源を記録する場合もあるにせよ、本質的にはその場にいた人たちの記憶にしか残らないもの。ライブの話はとても貴重なのである。

以上で番組本編の収録はすべて終了。番宣の収録とPR用写真の撮影をもって2人はお役御免となり、我々は昼食のご相伴にあずかったり、槇原と毛利を見送ったりして、スタジオをあとにした。

物書きの端くれとして一番印象に残ったのが、とにかくどのお便りも槇原の音楽への思いのアツさと洞察の鋭さがとんでもなかったこと。正直、負けたというか、勝てるはずもないし、そもそも勝負ではないとはいえ、これほどマッキーを愛している人たちに読んでもらうのだから……と、音楽ライターという自分の仕事にフィードバックする体験になった。ファンもデビュー時から応援しているだろう50代もいれば、デビュー後に生まれた20代の人もいて、35年の重みもずっしり。「プロが厳選した槇原敬之ベストライブ」のコーナーでは槇原がプロたちから集めるリスペクトも実感できた。

槇原敬之

槇原敬之

槇原敬之

槇原敬之

そういえばインタビューで「テレビよりもラジオが好き」という話が出たことがあったが(参照:槇原敬之の真髄を知ってもらいたい、思い入れの強い曲やファンの好きな曲がまた光り出すベストアルバム)、テレビだけどラジオ、おまけに相方は盟友の毛利、という絶妙のセッティングのおかげで、貴重な槇原の姿が見られるはずだ。スタッフに混じって遠目に見ていてそう感じるのだから、画面を通せばなおのこと。ぜひ放送を楽しみにしていただきたい。僕も楽しみだ。

番組収録を終え、帰り支度をする槇原と毛利に突撃取材を敢行した。

槇原敬之&毛利泰士 収録後コメント

笑いの絶えない「槇原敬之 TREASUnbox」収録の様子。

笑いの絶えない「槇原敬之 TREASUnbox」収録の様子。

──今日はいかがでしたか?

槇原 毛利くんとこうして番組をやること自体がホントにレアなので、すごく楽しかったです。

毛利 はい。楽しかったです。

──お二人、めちゃくちゃ仲いいですね。

槇原 仲はいいよね。

毛利 ま、いろいろ経てますからね(笑)。

槇原 経ての仲良し(笑)。

番組プロデューサー、ディレクター コメント

松井菜穂氏(WOWOW / プロデューサー)

松井菜穂氏(WOWOW / プロデューサー)

槇原さんと毛利さんがすごく楽しそうに話されていて、それをファンの方にお届けできるのがうれしいです。企画してよかったなと思いました。番組に寄せられた皆さんのコメントもすっごくアツくて長くて、あの熱量で500通以上ですから、すごいですよね。

三上健氏(629 inc. / プロデューサー)

三上健氏(629 inc. / プロデューサー)

幼少期からよく曲を聴いてたんで、昔の槇原さんと今の槇原さんの楽曲やライブコンサートにまつわる秘話を聞けて、シンプルにすごく楽しかったというのが率直な印象です。ライブ撮影のお話が聞けたのも僕的にはすごくうれしくて、いい印象を持ってくださってるのはありがたかったですし、もっとよくなるようにがんばろうと思いました。

今村繁氏(かろみスタジオ / ディレクター)

今村繁氏(かろみスタジオ / ディレクター)

槇原さんには初めてお会いしたんですけど、想像以上にサービス精神とエンタテインメント性にあふれるお方で、お二人のやりとりはちょっと圧倒されるぐらいでした。僕がカンペを出さなくても、締めのタイミングも読んでくださっていて、いろいろスムーズでバッチリでしたね。ファンの皆さんからのメッセージは熱のこもった文章ばかりで、選ばせてもらうのは大変でしたけど、それに対するお二人の思いもすごく伝わってきて、素晴らしかったです。観てくださる方にも楽しんでいただけると思います。

丸田和賀子氏(629 inc. / 制作プロデューサー兼アシスタントプロデューサー)

丸田和賀子氏(629 inc. / 制作プロデューサー兼アシスタントプロデューサー)

メッセージを500通以上、リクエスト曲を2000曲以上いただき「いい話だなあ」「いろんな話があるなあ」と思いつつ整理して選んでいくのは大変でしたけど、今日は槇原さんも毛利さんも楽しくお話ししてくださって最高でした。槇原さんと同じ誕生日の友達が大ファンで、中学の頃、よく槇原さんの話を聞いていたので、その子がこの番組を観てくれたらいいなと思っています。

槇原敬之

番組情報

槇原敬之 35周年記念3カ月連続特集

公式サイト


WOWOWライブ / WOWOWオンデマンド「槇原敬之 TREASUnbox Vol.1」

2025年11月23日(日・祝)22:30~
※放送・配信終了後~2週間のアーカイブ配信あり


WOWOWライブ / WOWOWオンデマンド「槇原敬之 TREASUnbox Vol.2」

2025年12月21日(日)22:30~
※放送・配信終了後~2週間のアーカイブ配信あり


WOWOWライブ / WOWOWオンデマンド「槇原敬之 35th Anniversary Concert 2025“TREASUarenaTOUR”」

2026年1月放送・配信予定
※放送・配信終了後~2週間のアーカイブ配信あり

プロフィール

槇原敬之(マキハラノリユキ)

1969年大阪府生まれのシンガーソングライター。1990年にデビューし、1991年の3rdシングル「どんなときも。」がミリオンセラーを記録。その後も「冬がはじまるよ」「もう恋なんてしない」「僕が一番欲しかったもの」などヒット曲を連発し、2004年にはアルバム総売上枚数が1000万枚突破の快挙を遂げる。2010年11月には自主レーベルのBuppu Labelを設立。楽曲のリリースやライブ活動を重ね、2025年2月には自身のデビュー35周年イヤー企画の一環として、Buppu Labelの設立15周年を記念したベストアルバム「Buppu Label 15th Anniversary "Showcase!"」をリリース。WOWOWでは11月から1月にかけてデビュー35周年を記念した3カ月連続特集を展開中。また他アーティストへの楽曲提供も多数あり、代表作はSMAPの「世界に一つだけの花」など。