左からRIKU、ナオト・インティライミ。

THE RAMPAGE RIKUの「音楽大陸」 Vol.7(後編) [バックナンバー]

ナオト・インティライミから聞く世界の音楽事情

J-POPのメロディを武器に世界へ

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THE RAMPAGE from EXILE TRIBE・RIKUさんの連載「音楽大陸」Vol.7には、ナオト・インティライミさんが登場。前編ではサッカー少年だった2人が音楽の道を目指すまでをじっくり語り合いました。

1万2000字からなるインタビューの後編は、ナオトさんの旅人としての一面にフォーカス。ナオトさんが世界を旅する中で手に入れた武器や世界中の音楽をこよなく愛するナオトさんから見たTHE RAMPAGEの音楽について、RIKUさんが迫ります。RIKUさんを思わず感動させたナオトさんのTHE RAMPAGE楽曲への評価とは。

取材 / RIKU / 清本千尋 撮影 / 後藤壮太郎

人と出会うタイミングには絶対意味がある

ナオト・インティライミさんに取材するRIKUさん(奥)。

ナオト・インティライミさんに取材するRIKUさん(奥)。

RIKU ナオトさんに旅人としてのお話も聞きたいんですけど、旅に魅了されたきっかけは何だったんですか? 僕はナオト・インティライミという音楽のスタイルを見つけるためには、世界中を旅して現地の空気を吸って、ごはんを食べて、リアルな音楽に触れることが手っ取り早かったのかなと思ったんですけど。最初に旅に出たときは誰かに勧められたんですか?

ナオト・インティライミ 19、20歳くらいで初めて外国に行ったのよ。RIKUもメンバーと行ってたニューヨーク、あとはLA、ラスベガス、ボストン。アメリカをサッカー仲間で旅したの。1人はアート系、もう1人はダンサー、そして俺の3人で2週間ぐらい滞在してすごく楽しかったんだけど、人と一緒だと自分の好奇心が向くままには行動できないじゃん。

RIKU それぞれのペースがありますもんね

ナオト そうそう。気を遣うなあと思って。それで1人旅を始めたんだよね。バックパック1つ背負って1カ月くらいいろんな国を旅して回るっていうのを毎年やるようになった。そのあとデビューしたんだけど、なかなか売れなくて。自分を一番大きく変えられるものはなんだろうと考えて28カ国を回る旅に出たってわけ。

RIKU すごい……28カ国ですか……。

ナオト しかもノープランで。

RIKU ノープラン!? なかなかできないことだと思います(笑)。

ナオト 1年半旅してたんだけど、当時はiPhoneとかもないわけ。「地球の歩き方」みたいなガイドブックを何十冊も持っていくわけにもいかないし、なんかもうRPGみたいだったね。町の人に「安い宿探してるんだけどいいところない?」って話しかけてやっとその国でのストーリーが始まるみたいな(笑)。

RIKU 「旅歌ダイアリー」(世界を旅するナオトの姿を追ったドキュメンタリー映画「旅歌ダイアリー ナオト・インティライミ冒険記」)でナオトさんが現地のスターと出会って、ステージに誘われたものの舞台監督に「出すわけにはいかない」って言われるシーンがありましたよね。

ナオト おおー、コロンビアだね。

RIKU はい。もし僕がナオトさんの立場だったら「もういいわ!」ってあきらめちゃうと思うんですけど、ナオトさんは「今なんて言った? お前が出させたくないだけでしょ? 俺は誘われてるんだよ!」って食ってかかるじゃないですか。あれが本当にすごいなと思ったんです。結局時間の関係でそのときはコラボレーションできなかったけど、「やれることやったから悔いはない」ってナオトさんがサラッと言うじゃないですか。あのシーンが本当にカッコよくて……。

ナオト・インティライミ

ナオト・インティライミ

ナオト もう。恥ずかしいからやめなさいよ。

RIKU いやいや、本当にナオトさんすごいんですよ。ハンパない行動力や強いハートを持っていて、音楽に対してものすごく真摯な方だなと思いました。それゆえに各国のシンガーやスターたちがナオトさんをスッと受け入れて心を開いてくれるんだろうなと。この取材も入ってきていきなり目の前にグッと来たときに「なるほど、これか」と思いました(笑)。

ナオト 距離近い近い!ってね(笑)。たまに距離感間違えちゃうのよ。

RIKU 僕は素敵だと思います。

ナオト 日本ってさ、オープンすぎるのはちょっとトゥーマッチみたいなところあるから。世界を旅すると、クローズしていて得することなんて1個もないんじゃないかなって思うんだけどね。だからこっちは開いていて、相手に選ばせてあげるのがきっといい。出会った瞬間から嫌いな人っていないし、なんなら苦手かもと思い始めてからもきっといいところがあるんだろうなって期待してるの。旅先で99%苦手な人と出会ったとしても、最後の1%でいい情報をくれて目的地が決まったりするのよ。だからずっと心を開きっぱなしにしてる。人と出会うタイミングには絶対意味があると思えるようになったのは旅のおかげ。

RIKU すごい感覚……。映画で使われているのは長い旅の中のごく一部で、きっと見えないところでいっぱい苦労があったと思うんです。今のお話を聞いて映画の中でナオトさんが言っていた「この感覚は旅をしていなかったらわからなかった」とおっしゃっていた理由が少しわかった気がします。僕も苦手なタイプの人ってたまにいるんですけど、30歳になるまでにナオトさんのような考えになりたいです。

ナオト 旅はね、本当は早ければ早いほうがいいと思う。やっぱり20代、30代、40代、50代、60代、70代それぞれの旅のスタイルがあるから。どれもそのときにしかできないけどやっぱりオススメは1人旅。その旅で起きたこと全部が自分のせいだし、全部が自分のおかげになるから充実感が違うんだよね。例えば旅先で何も起こらなかったり、あんまり楽しめなかったりするのも全部自分のせいなわけ。何が起きてもそれは全部自分が動いたから起きたことなのよ。旅先ではめちゃくちゃ直感が冴えるし、死んじゃいけないときの全集中の仕方みたいなものがわかってくるんだよね。あのサバイブ感を経験すると精神的にすごくタフになるんだよ。

ナオト・インティライミにとってライブとは?

RIKU いろんな国で生き抜いてきたナオトさんですが、旅先でもたくさん演奏していますよね。ナオトさんにとってライブとはどういうものなんでしょうか?

ナオト うーん! 急に芯食った質問! RIKUちゃんはどうよ?

「RIKUちゃんはどうよ?」と切り返すナオト・インティライミさん(奥)。

「RIKUちゃんはどうよ?」と切り返すナオト・インティライミさん(奥)。

RIKU 僕にとっては生きてると一番実感できる場所ですね。THE RAMPAGEのRIKUと個人としての青山陸の両方を出せる場所がライブなんです。緊張するし、発散もするし、なんかすごく生きてるなって感じるんですよ。LDHに入って8年目なんですけど、「THE RAMPAGEのRIKUはこうじゃないといけない」「THE RAMPAGEのRIKUはきっとこういうのを求められいるんだ」というイメージがある中で、ライブのときだけはファンの皆さんと一緒に大騒ぎして1人の男・青山陸に戻れる感覚があって。

ナオト いやー、いいね! 俺も近いところはあると思う。けど、もう1年半もお客さんを入れてライブをやってないと忘れちゃう部分もあるんだよね。有観客のライブってさ、無観客のオンラインとはまったくの別物だよね。

RIKU 間違いないですね。観客数を減らしてライブをやってひさしぶりに人前に立ったとき、オープニングで本当に武者震いがして、上手に歩けなかったんです。それでまた「俺は生きてるぞ……」って強く思いました。

ナオト・インティライミ

ナオト・インティライミ

ナオト 生きてるって実感ね。あるよね。俺にとってのライブは自分の持ち味が一番出せる場所かな。カメラマンや役者、デザインを作る人、家を建てる人……いろんな技能がみんなあるわけじゃん。自分がやれることってなんだろうと考えると、サッカーはもちろん好きなんだけど、作詞作曲もするし歌も歌うからライブが自分の持ち味を一番発揮できる場所だし、ライブを観てもらえれば一番理解してもらえると思ってて。きっと「ティライミってこんな曲歌うよね」っていう世間的なイメージと、ライブを観たときの印象は全然違うものになると思うんだよね。昔はちょっと力が入っていたけど、ストリート感覚でドーム公演をやれたときに「ああ、もうこれは大丈夫だ」って思えた。京セラドームの舞台に立つ10年前は大阪の三角公園で1人で弾き語りをしてたのよ。4人のお客さんを前にしていたところからお客さんが徐々に増えて40人のギャラリーができて、今度はライブハウスで400人、もっと大きいライブハウスで4000人、ドームで4万人を相手にして、口笛を吹くいいパートのときにさ、聞こえてきた歓声に対して「うるさい。ちょっと待って。今ええとこやん」って言って曲を最初からやり直したのね。そのときにストリートライブをやっていたときとまったく同じだなと思えた。なんかそれが自分の中では大きい出来事だったんだよね。たぶん俺にとってライブは一生そういうものなんだと思う。

恵まれた環境を手に入れるために勝ち抜いてるすごさがある

RIKU ナオトさんは旅でインプットをしながら音楽を続けて、今年でデビュー10周年を迎えますよね。ナオト・インティライミの10年を振り返ってみていかがですか?

ナオト・インティライミ

ナオト・インティライミ

ナオト ティライミの10年?

RIKU 映画では「I wanna be Sunshine.」とおっしゃっていましたよね。太陽になりたいと。

ナオト よく覚えてるな(笑)。この10年ね……振り返ってみるとありがたいことだらけだったなって。自分の中で3回目のデビューが30歳だったのはすごく大きくて、だからこそここまで続けさせてもらえる環境に感謝してるよね。3回目のデビューともなると、自分の曲が全国で流れるためにはいろんな人が協力してくれてるってこともよくわかるわけ。自分だけじゃなくて、ナオト・インティライミプロジェクトに携わるすべての方のおかげで曲がテレビやラジオで流れて人々の耳に届くんだって。それでこれだけのファンの方が応援してくれているという状況は本当に奇跡的なことだと改めて感じるよね。まだまだ高みを目指していくつもりだし、やりたいこともたくさんあるし、海外でも夢をもっと叶えたいから、まずはスタッフやファンの皆さんが築いてくれたナオト・インティライミの10年に言葉にできないほどの感謝の気持ちがある。THE RAMPAGEは今デビュー5年目?

RIKU そうです。

ナオト もっと長いこと活躍している気がしてた。

RIKU

RIKU

RIKU まあ修行時代が長かったので(笑)。自分たちは泥水すすってやってきたと思ってるんですけど、ナオトさんのお話を聞くとかなり恵まれた環境でやってきたんだなと思いました。

ナオト でもさ、まず恵まれた環境を手に入れるために勝ち抜いてるすごさがあるんだよ。また全然違うすごさ。その中でまた切磋琢磨して努力してるわけでしょ?

RIKU 僕には15人の仲間がいて、ときにはぶつかり合ったりしながら試行錯誤を繰り返して、今楽しく活動できる環境が整ったという感じなんです。好きなことでメシを食えるなんて本当に奇跡的なことだし、こういう環境を与えてくれるスタッフやファンの皆さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。

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