sleepy.abグローブ座を彩った夢見心地のツアーファイナル

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sleepy.abの全国ツアー「Mother Goose Tour」が、4月30日に東京グローブ座で千秋楽を迎えた。

今後はイベントスケジュールが目白押しのsleepy.ab。ゴールデンウィーク中も都内のイベントに出演する。

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ライブDVDは7月27日に2枚組仕様で発売。詳細は後日発表される。

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このツアーは、2月にリリースされた最新アルバム「Mother Goose」を引っさげて4月上旬からスタート。ファイナルとなった4月29日・30日の東京公演の会場には、普段はミュージカルや演劇を上演している東京グローブ座が選ばれ、客席がステージを囲む空間の中でライブが行われた。

静かに客電が落ちると、ステージの後方に設置されたドレープ状の幕に「Mother Goose」のジャケットイラストが投影。続けて子供が歌う「ハンプティ・ダンプティ」がスピーカーから流れ、スモークがステージを覆い幻想的な空間を演出する。ゆっくりと時間をかけて場の空気が作り上げられると、メンバー4人が登場。そして成山剛(Vo, G)の歌声からライブの口火が切られた。

この日のライブは、パートごとに楽曲のタイプを変えるコンセプチュアルな内容で進行。まずは、心地良いメロディと不穏な音像が融合した「マザーグース」が会場に浸透し、sleepy.abが紡ぐ音物語に観客を引き込んでいく。続く「アクアリウム」では、田中秀幸(B)と津波秀樹(Dr)のリズム隊が奏でるドープな音と、成山の凛とした歌声が絡み、より深い世界へと誘っていく。

「『Mother Goose Tour』へようこそ」という成山の挨拶に続いたのは、チャーミングなメロディと跳ねるベースが響く「ドングリ」。その空気を引き継ぐように「メロウ」が演奏され、続く「街」ではノスタルジックな映像とともに浮遊感たっぷりのサウンドが奏でられた。

2度目のMCでは田中が「こんな素晴らしい舞台でやらせていただいて感謝してます。みなさんに良い意味で現実逃避して、違う世界に旅立ってもらえたらと思います」と語る。そこからは、sleepy.abの奥深さや暗黒的な一面を露にする楽曲たちを次々と熱演。ダブテイストのリズムが重厚に響く「四季ウタカタ」、刺激的なギターノイズとエフェクトがかかったボーカルが炸裂する「インソムニア」、シリアスなサウンドスケープが広がる「現実の箍」が披露された。津波の叫ぶようなカウントから入った「Maggot Brain」では、浮遊感たっぷりのボーカルとおどろおどろしい音像が重なり合う。そこに激しく明滅する照明が加わることで楽曲の不気味さが際立ち、sleepy.abの音楽性の幅広さを証明するような時間が繰り広げられた。

その空気を打ち破るように始まったMCでは、田中が進行を担当。楽曲のタイトルに話がおよび、「去年のツアーでも『Mother Goose』からの楽曲を演らせてもらったんだけど、そのときはまだ全部タイトルが仮で。『Maggot Brain』は『ゴジラ』で、『マザーグーズ』は『マンモス』だったんだよね」と明かす。それに続いて成山が「『ドングリ』はそれ以上のタイトルが思いつかなかったりね(笑)。で、次の曲はレコーディングの最後に作った曲なんだけど、プロデューサー・山内のそのときの思いがタイトルになってます」と紹介すると、山内憲介(G)の色彩豊かなギターが冴える「シエスタ」がスタート。フレーズごとに変化する豊かな音色に、観客は聴き入った。

「君と背景」「メロディ」と成山の穏やかな歌声が味わえる楽曲を経て、再びメンバーのキャラクターが全開のMCコーナーに突入。ここでは物販のオススメ商品として「デジタルブック」が紹介され、その中でも山内が手がけたインストゥルメンタルナンバーが話題の焦点に。成山は「山内はこれでソロデビューですよ。でも、(楽曲は)どよんとしてるよね(笑)」といつもの調子で山内をいじり、それに対して山内も「1曲目の『snow festival』っていう曲がオススメなんだけど、どよんとしてるんだよね……」とボソリ。観客はそんなマイペースなやり取りを笑いながら見守っていた。

「最近曲のバリエーションが増えて、セットリストを作るのが楽しいんだよね。引き続き楽しんでください」という田中の言葉に続いたのは、水をフィーチャーした映像と突き抜けていくサウンドがマッチした「ダイバー」。さらに、爽快な空気が会場を包む「sonar」、各メンバーの力量が存分に発揮される人力エレクトロチューン「トラベラー」と、sleepy.abの躍動的な側面を押し出した楽曲が披露される。「トラベラー」では楽曲をモチーフにしたマンガが投影され、ドリーミーな世界を演出した。

「flee」「遊泳スローモーション」を畳み掛けるように演奏した後は、ライブもクライマックスに。「また新しいアルバムを作るんでこれからもよろしくお願いします」と成山が挨拶したのに続いて、ステージ上の4人はエンディングにふさわしい「かくれんぼ」を演奏し本編を締めくくった。

アンコールは田中からのうれしい報告から幕開け。この日のライブが、7月にsleepy.ab史上初の映像作品となることがアナウンスされた。さらに本編に続き物販紹介が行われ、ここでも山内の不思議キャラが全開に。成山は「妖精みたいだよね。でもカワイイって言うと怒るんだよね」とすかさずツッコミを入れる。一方で田中は「『Mother Goose』というアルバムができたことで次につながったし、ツアーを回っていろいろ経験させてもらったので、また次の作品を作って早くツアーを回りたい。どういう方向に向かっていくかわからないけど、良い意味で皆さんの期待を裏切っていけるように、常に新しいことに挑戦していきたい」とバンドとしてのさらなる飛躍を力強く誓った。

アンコールの1曲目は「夢織り唄」。かわいらしい動物のイラスト映像と、優しい歌声が会場いっぱいに広がり、ファンタジックな空気がオーディエンスを酔わせる。続く「24」は始まりこそ静かだが、クライマックスでは成山のエモーショナルなシャウトが炸裂する楽曲。観客を目覚めさせるエネルギッシュなナンバーが届けられた。

本来はこれで終了の予定だったが、観客の熱烈な拍手に応えダブルアンコールが決定。田中は「ツアーがこれで終わってしまうんだなと認めざるを得ない状態で寂しいんですが……」と名残惜しそうな表情を浮かべる。そして演奏されたのは「ねむろ」。再び観客を夢の世界へと誘う1曲で、ツアーファイナルは穏やかに終幕を迎えた。

「Mother Goose Tour」4月30日東京グローブ座公演セットリスト

01. マザーグース
02. アクアリウム
03. ドングリ
04. メロウ
05. 街
06. 四季ウタカタ
07. インソムニア
08. 現実の箍
09. Maggot Brain
10. シエスタ
11. 君と背景
12. メロディ
13. ダイバー
14. sonar
15. トラベラー
16. flee
17. 遊泳スローモーション
18. かくれんぼ
<アンコール>
19. 夢織り唄
20. 24
<ダブルアンコール>
21. ねむろ

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音楽ナタリー @natalie_mu

sleepy.abグローブ座を彩った夢見心地のツアーファイナル http://natalie.mu/music/news/48833

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