LAMA×KIMONOS対バンで対称的な魅力全開に

4月27日にライブイベント「LAMA / KIMONOS」が東京・WWWで開催。LAMAとKIMONOSによる緩急あるプレイで、集まった満員の観客を魅了した。

この日のライブには、イベントタイトルの2組のほか、オープニングアクトとして新進気鋭の2アーティストが出演。トップバッターのwhite white sistersは、yuya matsumura（G, Programming, Vo）による轟音ギターとkazumasa ishii（Dr）が叩くタイトなリズム、kouta tajima（VJ, artwork）による演奏と同期した映像でソリッドなパフォーマンスを展開し、フロアをひきつける。また沼田壮平による1人ユニット・OLDE WORLDEはサポートメンバー4人を従えたバンドセットを披露。ヒップホップやファンクの影響を感じさせる黒いグルーヴの楽曲や、繊細なメロディが印象的なミディアムバラードなど、幅広い音楽性を提示した。

転換が終了し、KIMONOSの2人がステージ上に設置された椅子に座ると、観客は固唾をのんでライブのスタートを待つ。すると向井秀徳がおもむろにギターでブルージーなフレーズをつまびき、LEO今井のキーボードが重なって、1曲目の「The Girl In The Kimono Dress」が始まった。

この日のKIMONOSのライブは2人の演奏だけで展開。ファニーなシンセサウンドが耳に残る「Mogra」、重いドラムとベースの音が迫る「No Modern Animal」が立て続けに披露されると、圧倒された観客からは大きな拍手と指笛が起こった。

その後もライブはほとんどMCを挟まずストイックに進行。LEO今井が「Miss!」とだけ口にして「Miss」を演奏した次には、細野晴臣の「Sports Men」をカバー。原曲の陽気な雰囲気はそのままに、ヘビーな音像でKIMONOS流のアレンジを施していた。

そしてセンチメンタルな歌詞に引き込まれる「Yureru」、浮遊感ある「Haiya」を披露すると、向井の「1, 2, 3, 4!!」というカウントから「Tokyo Lights」を演奏。向井とLEO今井が競うように力強く歌い上げる姿に、フロアからは喝采が贈られた。しかしこれがラストナンバーだとわかると、観客の1人が「もう終わり!?」と思わず叫ぶ。誰もがもっと演奏してほしい、と望む空気を置き去りに、KIMONOSの2人は颯爽とステージを下りていった。

最後のライブは、これがデビュー戦となるLAMA。ステージ上には下手から中村弘二（Vo, G）、フルカワミキ（Vo, B）、田渕ひさ子（G, Cho）が並び、現在ドイツ・ベルリンに滞在している牛尾憲輔（agraph / Programming）の姿はインターネット回線に接続されたモニタ越しに映し出されるという編成だ。

音源もまだリリースされていないため、バンドがどんな楽曲を鳴らすのか、フロアからは期待感があふれる。そんな空気をやわらげるように、ミキが「えー、こんばんは、結成間もないLAMAです」とはにかみながら喋り出す。そして「牛尾さーん」といきなりモニタの中の牛尾に話しかけると、ナカコーも「ドイツにいるんだよね」と続ける。牛尾は「お2人とも打ち合わせと全然違うことするのやめてもらえる!? まさかのMC始まりとは……」と驚いた様子だ。

牛尾がひとしきりいじられたあと、まず鳴らされたのはフロアにノイズを浴びせかけるようなセッション。ナカコーとひさ子のツインギターから悲鳴のような音が響き渡り、牛尾が繰り出す電子的なリズムがそれを支える。しかし1曲目として演奏されたのは一転、ミキのチャーミングなボーカルが引き立つポップな楽曲。その落差にフロアは度肝を抜かれた。さらに2曲目も、キラキラした雰囲気をまとったギターロック。ミキの声とあいまって、この4人ならではのポップネスが強く感じられるナンバーに仕上がっていた。

そしてMCコーナーでの牛尾いじりを挟み、3曲目へ。さらに4曲目に入る前には、ナカコーとひさ子によるギターバトルが展開された。フィードバック音を駆使しながら競うようにノイジーで物悲しいサウンドを奏でる2人を、会場中が見入る。そのままナカコーがボーカルをとる4曲目が演奏されると、アウトロではため息まじりの拍手がフロアから自然と沸き起こった。

「もう最後の曲になりました」とミキが告げると、名残惜しむような声があちこちから上がる。結成間もないバンドらしく、最後に披露されたのはカバー曲。SHEENA & THE ROCKETSの「YOU MAY DREAM」をLAMA流の音像で演奏し、3人は軽やかに舞台をあとにした。なお、ステージを下りる前にナカコーが、牛尾が映されているモニタの電源をOFFに。これには思わず観客から笑いが起きていた。

自然と起こったアンコールの声に導かれてLAMAのメンバーがステージに再登場。そしてミキが「まさかの、さっきも言ったとおり曲がないので（笑）、オープニングの曲をもう1回、やります」と宣言。微笑ましい展開に観客は笑顔を隠せない。ところが演奏を始めようとしても、機材トラブルで牛尾からの音が出ない展開に。ナカコーの「牛尾くんつないでよ」という無茶ぶりに「えーっ、だってこれ、裏では機材再起動とかしてんでしょ!? えー、まいったなー」と言いながらも、持ち前のトークスキルで場をつなぐ牛尾。滞在中のドイツでの生活の様子などを話しているうちに、無事演奏可能な状態となった。

そして最後に披露されたのは、ミキが話したとおり1曲目に演奏したポップチューン。会場が再びやわらかな空気に満たされて、この日の異色競演ライブは幕を閉じた。

なおLAMAはこのあと牛尾が帰国次第レコーディングに突入。音源リリースに向けて活動する。