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これは第30回東京国際映画祭の特集企画「Japan Now部門」にて行われたイベント。檀一雄の小説を原作とした本作では、佐賀・唐津を舞台に第2次世界大戦真っ只中の日本に生きた若者たちの姿が描かれる。
本作の脚本を40年も温めていたという大林。なぜ今、映画化したのかを問われ「40年前だとね。こういう映画を撮っても、誰も感じてくれませんでした。日本中がモノと金が豊かになればそれでいいと思っていましたからね。戦争なんてみんな忘れていました」と語る。さらに「戦争中は軍国少年でしたが、敗戦後に日本の大人がまったく信じられなくなったわけですね。でも戦後の平和や、新しさを初めて享受した世代でもあります」と続け、自身がそれまでの撮影所システムで映画を制作してきた“映画監督”の世代と異なり、生涯アマチュアである“映画作家”ということを説明する。そして「自分の個人史、日記みたいな映画を作ろうと思いました」ときっかけを明かした。
大林は「プロでありながら、プロのアマチュアごっこをやろうという精神で集まってくれた方々です」とキャスト陣を紹介。「野のなななのか」に続き大林組に参加した常盤は「檀一雄さんの原作は短めの純文学なんです。それが監督のフィルターを通すと、ここまで行間が広がるのかって。さらに完成した映画を観ると、もうなんてヤンチャな監督なんだと(笑)。こんなに自由な監督って世界にいるのかな」と本作に映画の可能性を感じたことを述べる。そして叔母のもとに身を寄せた17歳の少年・俊彦に扮した窪塚も「やんちゃという点で監督のことを言うと、僕なんて35歳ですからね。キャスティングに関しても自由度が高い(笑)」と乗っかり、俊彦の同級生・吉良を演じた長塚も「僕なんて40過ぎてますからね」と続け、客席から笑いを誘った。
また大林は「戦争を知らない若い人たちのために作った映画です。僕が正直に感じたこと、実感として僕の中にあることだけを描きました。皆さんがそれぞれの実感さえ持ってくれれば私としてはうれしい」と語った。そのほか満島真之介、柄本時生、門脇麦らがキャストに名を連ねた「花筐/HANAGATAMI」は、12月16日より東京・有楽町スバル座ほか全国でロードショー。
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- 「花筐/HANAGATAMI」公式サイト
- 第30回東京国際映画祭 公式サイト
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大林宣彦が「自分の個人史、日記みたいな映画」、最新作「花筐」TIFFで上映(写真15枚) - 映画ナタリー https://t.co/sdoPJSDjy9