「ディア・ストレンジャー」西島秀俊とグイ・ルンメイが“廃墟”で会見、互いの信頼明かす

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映画「Dear Stranger/ディア・ストレンジャー」の完成報告会見が本日8月5日に行われ、キャストの西島秀俊グイ・ルンメイ、監督の真利子哲也が出席。劇中のキーワードである“廃墟”にちなみ、会見は7月27日に閉館した東京・丸の内TOEIで実施された。

「Dear Stranger/ディア・ストレンジャー」完成報告会見の様子。左から真利子哲也、西島秀俊、グイ・ルンメイ

「Dear Stranger/ディア・ストレンジャー」完成報告会見の様子。左から真利子哲也、西島秀俊、グイ・ルンメイ

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本作はニューヨークで暮らし、仕事や育児、介護に追われて余裕のない日々を過ごすアジア人夫婦の関係が、息子・カイの誘拐事件を発端に破綻していく物語だ。夫・賢治役で西島、台湾系アメリカ人の妻ジェーン役でグイ・ルンメイが出演している。

“廃墟”を模したステージに佇む人形

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西島秀俊

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会見冒頭には劇中に登場する人形が上手から姿を現し、報道陣をざわつかせた。真利子のファンだという西島は「ずっとご一緒したかったです」と彼を見やり、「脚本を読んだときに、文化の衝突や家族の関係など、今まさにみんなが直面している問題が含まれているなと感じた。ぜひ参加したいと思いました」とオファー時を振り返る。グイ・ルンメイも「廃墟やパペットを用いて内面の世界を表現しているところに惹かれたんです。国籍や言語が異なる夫婦ですが、愛があったからこそ結ばれた。2人にどんな隔たりがあり、どう乗り越えていくかに興味を持ちました」と語った。

真利子哲也

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真利子は西島の起用理由を聞かれると、「ボロボロになる役が似合う人だなあという印象があって。きっと言語に頼らずに役を生き抜いてくれるのではないかと思った」と説明。初対面では過去に観た映画の話で盛り上がったそうで、「映画に対する愛がとても強い方。同士のような、信頼できる相手です」とほほえむ。グイ・ルンメイに関しては「一映画ファンとして、とても繊細な演技ができる方だと思っていました」と言いつつ、「現場では何事にも感謝する姿があって、献身的に、全力で芝居に臨んでくださった。何もかも空っぽにして挑んでくれることにすごみを感じました」と振り返った。

グイ・ルンメイ

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キャスト同士の印象に話が及ぶと、西島は「とにかくすべてを作品に投げ出す人」とグイ・ルンメイに視線を送り、「1カ月半の撮影の中、休みの日も役に集中されていて、とにかく準備を丁寧に丁寧にやっていく。本番で向き合ったときに『こんなにナチュラルに芝居する人がいるんだ』と感動しました。改めて、どういう演技が理想なのか見つめ直す機会を与えてくださった」と目を輝かせる。彼の発言を照れながら聞いていたグイ・ルンメイは、日本語で「ありがとうー!」とまず一言。そして「私は西島さんのファンの1人で、これまでたくさんの作品で拝見しました。見た目は落ち着いているんですが、心には無尽のエネルギーを持っている。例えば同じシーンを撮影しても、毎回リアクションが微妙に違っているんですよね。西島さんは例えるならば“大きな木”で、だからこそ私はその下で思う存分遊ぶことができる。現場では『自由自在に演じればいいのだ』と幸せを感じていました」と撮影を回想した。

左から真利子哲也、西島秀俊

左から真利子哲也、西島秀俊[拡大]

劇中のセリフは9割が英語となっている。真利子はその狙いを「夫婦が互いに思い合っているからこそ、すれ違ってしまうという関係性を描きたかった。言いたいことを言っているのに関係が崩れていくという表現をするにあたり、2人にとって“3カ国語”である英語を用いることは有効だったんです」と打ち明ける。西島は真利子の映画制作について「もともと人間の根源的な本能を突き詰めていらっしゃるので、哲学的に感じる瞬間がありました」と述懐し、「今までは物理的・肉体的な衝突を描かれていましたが、ファンとして『また次の場所に向かった』というふうにも感じていて。言語や文化などを用いた“運命的な暴力”にも向かっているのだなと。それを現場で体感して『真利子監督が先に先に進んでいく』という思いがありました」と伝えた。

左から西島秀俊、グイ・ルンメイ

左から西島秀俊、グイ・ルンメイ[拡大]

全編をニューヨークで撮影した本作。西島はロケを思い返し「廃墟や古いチャイナタウンなど、人が生きていたがきっと忘れ去られていくような場所で撮影できたことが感慨深い」と吐露。グイ・ルンメイは「ニューヨークはなんでも受け入れる街ですが、そこに生きる1人ひとりは孤独で、劇中の夫婦もそう。心のコミュニケーションが取れなくても決してあきらめないという物語の舞台にぴったりでした」と笑顔を見せた。

人形の手を取りほほえむグイ・ルンメイ(左)

人形の手を取りほほえむグイ・ルンメイ(左)[拡大]

手前左から西島秀俊、グイ・ルンメイ

手前左から西島秀俊、グイ・ルンメイ[拡大]

会見の終盤、改めて映画の感想を問われた西島は、「ラストにはなぜか不思議な爽快感があり、観る方にとってはきっと希望や解決の糸口に感じられると思う」とコメント。グイ・ルンメイは「賢治はずっと過去を生きていて、ジェーンは現在や未来に向かっている。まったく生き方が違う2人ですが、愛があるからこそ互いに助け合う。1人が前に向かうと1人が後ろに行って、互いに別な方向に回っている。賢治とジェーンはワルツを踊っているようでした」と表現した。

「Dear Stranger/ディア・ストレンジャー」は、9月12日より全国で公開される。

映画作品情報

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©Roji Films, TOEI COMPANY, LTD.

映画「Dear Stranger/ディア・ストレンジャー」予告編

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『すべて、至るところにある』リムカーワイ @cinemadrifter

真利子哲也監督の「ディア・ストレンジャー」まだ見ていないが、スクリーンの中で西島秀俊とグイ・ルンメイがどんな芝居を見せてくれるか超楽しみ!
https://t.co/zTKDQh6v8K

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