特集上映「角川映画祭」が開催中の東京・角川シネマ新宿にて、本日8月13日、「時をかける少女」の上映に合わせて監督の
「時をかけるおじいちゃんです」とにこやかに登場し、「角川映画は僕にとっての青春です」と語り始めた大林。プロデューサーとして名を馳せていた
「時をかける少女」の企画のきっかけについて話が及ぶと、大林は同作を「女の子がピンと背筋を伸ばして『こんにちは』『ありがとう』と言っているだけの映画」と言ってのける。実は大林に監督を依頼したプロデューサーの角川は、その当時駆け出しの女優だった
そのため大林と角川は「時をかける少女」を、原田の“引退作”として制作。角川の「いつか知世がおばあちゃんになって、田舎の家の一室で1人、『ああ、昔、私のために映画を作ってくれた人がいたな』と思い出してこの映画のフィルムをかけてくれたらいいなあ」という思いに応えるために作った映画だと、大林は続ける。
完成した作品を観て、原田は「私あんなんでいいんですか? 私だけポキポキして木彫りの人形みたいで、変ですねえ」と述べていたというが、大林は「時代からズレにズレた大ズレの映画。でも僕には、いつの時代でも少年の中には清純な心があると思っていた。徹底的に古典的に作れば、ひょっとしたら今の時代の子も振り向いてくれるのでは」という期待があったと述懐。そしてアイドル女優として売れっ子だった薬師丸主演の「探偵物語」と2本立て上映だったため、「ひろ子で呼んで、知世で帰す」というキャッチコピーを自身で付けていたことを明かし、観客を笑わせた。
1976年に公開された角川映画第1作「犬神家の一族」から、2016年で40周年。大林は「角川映画がなかったら今の日本映画界はない。そう言えるくらい、今の日本映画界の中心となっている監督たちを育ててきた」とその功績をたたえ、角川映画を手がけた日々を「表現者の自由が、未来を信じる熱気があった」と振り返った。
「角川映画祭」は9月2日まで開催中。
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桃田百合若 @yuriwaka
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