山口県下関市の中高生40人が紡いだミュージカル映画「隣人のゆくえ」最終上映へ

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柴口勲による自主制作映画「隣人のゆくえ-あの夏の歌声-」が、8月9日から15日にかけて東京の池袋シネマ・ロサで再上映される。これが自主配給・商業劇場での最終上映となる。

「隣人のゆくえ-あの夏の歌声-」チラシ表面

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「隣人のゆくえ-あの夏の歌声-」ビジュアル

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本作は山口県下関市で、サラリーマンの柴口と約40人の中高生によって作られたミュージカル映画。自主制作ながら第8回日本芸術センター映像グランプリ感動賞、第3回新人監督映画祭の長編部門準グランプリなどを受賞し、日本各地の商業劇場でも公開された。作品は「時をかける少女」などを手がけた映画監督・大林宣彦の目にも留まり、生前には直筆の手紙が寄せられたという。

「隣人のゆくえ-あの夏の歌声-」場面写真

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劇中では、空襲から復興を遂げた梅光学院を舞台に、練習に励むミュージカル部員たちと「夏休みの間、私たちのたった1人の観客になって」と頼まれたカンナの姿が描かれる。参加を希望した中高生40名が1カ月にわたるワークショップを重ね、出演・作曲・演奏・振付・撮影・録音・照明などを自分たちで担った。

「隣人のゆくえ-あの夏の歌声-」予告編より

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本作は2017年に東京・K's cinemaで封切られて以降、毎年夏に上映が行われてきた。2022年に柴口が他界してからも引き継がれたが、撮影から10年、そして戦後80年という節目を迎える今夏をもって、自主配給および劇場上映にひと区切りを付けることが決定した。

また今回の最終上映に寄せて、俳優で歌手の酒井法子、第48回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した「侍タイムスリッパー」の監督・安田淳一ら、各界の著名人から応援コメントが到着。これらは6月9日より、映画の公式SNSで順次公開される。酒井と安田のコメントは以下に全文を掲載した。

酒井法子(俳優・歌手)コメント

「あのーみちよさん、
ずっと思っていたんですけど
聞いてもいいいですか?」

「うん。。」

「はい、にこぽん。って何ですか?」

「あー。。それね。。
女の人はね、どんなに悲しくても
どんなに辛くても
はい、と返事して
にこ、と笑って
ぽん、と立ちなさい
って先生に教えてもらった挨拶なんよ。。」

「ふーん。。なんか古風な感じでいいですね。。」

私は、この映画でミュージカル部の部長であり
振付も担当している福田麗さんと
以前、舞台でご一緒させて頂いた。
彼女はその時、演出家の助手として
凄まじい忍耐力で現場を支え続けてくれていた。
私はてっきり本業が演出助手なのであろうと
思っていたのだが彼女の本業は俳優。
初めて彼女の演じる姿を見た時
まさに水を得た魚。。
自由自在に演技をし、踊り、歌い、
全身で、私はこれが好きなんだーーーーと
叫んでいる声が聞こえるようだった。
今回この映画の応援メッセージを
お願い出来ないかと彼女から連絡をもらい、
この映画を拝見して
そうか。。
ここが福田麗の原点。出発地点なのだと知った。
自主映画と言っても、
別に映画好きが集まって作った映画でもなく
青春真っ盛りの、要は右も左も分からないままの
学生達が(映画も、人生も?)
どこの誰だかも分からない
当時サラリーマンの大人に誘われ
作り上げた、まさに奇跡の映画だと思う。
最後のエンドロールを見て驚愕しました。
(それは見てのお楽しみ)
何とも、ノスタルジー。摩訶不思議。
青春映画のような、ミュージカルのような、
ホラー映画のような。。。
忘れてはならない大切なことを教えてくれる
不器用に見えて、原石の輝きがゴロゴロ転がってる
そんな映画でした。

あいうえお、この国の言葉は
そのふたことから始まるのです

あい。愛。あい。愛。

安田淳一(「侍タイムスリッパー」監督)コメント

技術や製作費の問題ではない、どうしても残さねばならない物語があるんだ。

そんな強い思いがこの映画を誕生させた。
ファンタジー・ミュージカル・ホラー・サスペンス。
縦横無尽にジャンルを行きつ戻りつ“反戦”の思いは直線的に観客の胸に突き刺さる。
苦く重いはずなのに、爽やかな余韻を残す稀有な映画。
「この作品をこの時期にかけねばならぬ」と採算度外視で毎年上映を続ける劇場。
「この作品はこの時期に観ねばならぬ」と毎夏駆けつける映画館の観客。
スクリーンを飛び越えて平和への思いが引き継がれている奇蹟。

「隣人のゆくえ-あの夏の歌声-」最終上映 予告編

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(c)2016 i SHIBAGUCHI FILM

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栗原、最後の夏

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