劇場版32作目となる「映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ」が、8月8日より全国で公開。動画配信サービス・TELASAではこれを記念して「映画クレヨンしんちゃん」シリーズ30作品と「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~」が配信中だ。
映画ナタリーでは、最新作でゲスト声優を務めた賀来賢人にインタビューを実施。歌唱シーンの収録や「胸熱だった」という大好きなしんちゃんとの共演について語ってもらった。
なおローソン・ユナイテッド シネマの一部劇場で配布中(なくなり次第終了)のフリーペーパー「TELASAマガジン Vol. 2」には、賀来のショートインタビューやアザーカットが掲載されている。ぜひ、あわせてチェックしてほしい。
取材・文 / 尾崎南撮影 / 間庭裕基ヘアメイク / 西岡達也(Leinwand)スタイリング / 小林新(UM)
「映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ」予告編公開中
「クレヨンしんちゃん」は歳を重ねると違った楽しみ方ができる
──賀来さんはもともと「クレヨンしんちゃん」がお好きだったそうですね。
子供の頃からテレビアニメを観ていました。当時は親から「あんまり観るな」って言われていましたけど、こっそり観たり(笑)。自分が親になってからは、子供と一緒に観る機会が増えています。
──大人になってから感じる「クレヨンしんちゃん」の魅力はありますか?
子供の頃はしんちゃんやカスカベ防衛隊目線で作品を観ていたのですが、大人になってからはひろしの男っぷりや、みさえの母性愛にグっとくるようになりました。「クレヨンしんちゃん」が親子で楽しめる理由はまさにこういう点なんだろうなと、大人になって初めて気が付きました。子供の頃はしんちゃんのカリスマ性だったり、しんちゃんがお尻を出したりするのがただ面白かったのですが、歳を重ねると違った楽しみ方ができるのが魅力だと思います。
──特にお気に入りのキャラクターはいますか?
マサオくんです。あの二面性というか……情緒不安定な感じが好きです(笑)。
──過去の劇場版でもご覧になった作品があれば教えてください。
子供たちも「クレヨンしんちゃん」が大好きなので、けっこう一緒に観てますよ。前作の「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」(2024年)も観ましたし、風間くんがフィーチャーされる「映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園」(2021年)もよかったです。僕が小学生のときに公開された作品ですが、「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」(2001年)も好きです。やっぱりなんだかんだ、泣けるんですよね……。一番好きでお薦めなのは「映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」(2014年)ですね。ひろしの父親としての愛が感じられます。
しんちゃんと共演できる!とワクワク
──たくさん教えていただき、ありがとうございます! ここからは新作「映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ」についてもお聞きします。舞台となるインドには、どのようなイメージをお持ちですか?
インドには行ったことがないんです。まさに本作に出てくるような、カレーやダンスのイメージが浮かびます。監督はインドにロケハンに行ったそうで。劇中にたくさんインドの景色が映っているので、一緒に旅行をしているような気持ちになれる、インド愛があふれる映画だなと思いました。
──物語としては特にボーちゃんがフィーチャーされています。
ボーちゃんにここまでフォーカスする劇場版は今回が初めてと聞きました。おっとりしたイメージだったので、いろんな表情のボーちゃんを観ることができて新鮮でした。脚本を読んだときも「ボーちゃんがこんなことを!?」と意外なことばかりでした。
──賀来さんは今回、そんなボーちゃんを相棒にしたいと願うインドの大富豪・ウルフ役で参加しています。ゲスト声優に決まったときの心境はいかがでしたか?
とにかくうれしかったですね。まさに子供たちと「クレヨンしんちゃん」を観ていたタイミングでしたし、しんちゃんと共演できる!とワクワクしました。
──お子さんたちにはゲスト声優の件を伝えましたか?
伝えましたが、詳細は言えていないので劇場で一緒に観たいです。純粋に映画を楽しんでくれると思います。
子供の頃の自分に「やったぞ!」と言ってあげたい
──ウルフはなんでもお金で解決できると考える派手な性格ですが、どのようなキャラクターだと受け取っていますか?
特徴的なキャラクターですし、この物語にとってはキーマンですよね。自分との共通点はあまりないのですが、実は寂しい思いを抱えている描写もあり、人間らしいキャラクターだなと思いました。
──ウルフを通してカスカベ防衛隊と共演した感想を教えてください。
仕上がった作品を観たときは、本当に胸熱でした。子供の頃の自分に「やったぞ!」と言ってあげたいです。
──ウルフがボーちゃんにアプローチするシーンも見どころですよね。
そうですね。基本は(ボーちゃんに)かわされるので、1人でしゃべってる感じでしたけど(笑)。
──劇中にはウルフが歌唱するシーンも登場します。収録はいかがでしたか?
事前に練習しようと思っていたのですが、デモ音源を聴いたらとても難しい曲で。歌とラップと合いの手があるので、現場で歌唱指導の方と1行ずつ確認しながら収録しました。リズムも難しいですし、キャラクターの声を保たなければいけないので、そこに苦労しましたね。でも、慣れてきてからはすごく楽しく歌うことができました。
──ウルフを演じるうえで、監督から何かオーダーはありましたか?
声のトーンや「もっとこうしてみてください」というオーダーはありましたが、基本的には自由に演じさせていただきました。自分としては声から“大富豪感”や、ウルフの高飛車な性格をどう表現しようかと考えながら収録しました。
しんちゃんとボーちゃんの友情に感動
──賀来さんはこれまでも、声優としてさまざまな作品に参加されています。俳優として作品に出演するときと、役作りの方法は変わるものでしょうか?
俳優として出演するときは経験値がある分、事前に役の作り込みがしやすいんです。撮影現場でもセットの空気感や共演者の雰囲気を瞬時に把握することができる気がします。一方で声優仕事は予想できないことも多く、自分の場合は、事前に役を作り込むというより現場で監督と相談しながら収録することが多いです。
──完成した「映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ」を観て、特に印象に残っているシーンはありますか?
物語の背景としてしんちゃんとボーちゃんの出会いも描かれますし、2人の友情を感じるシーンは特に印象的でした。やっぱりこの歳になると、感動シーンのほうが心に残るんです。また、真剣なシーンにもちょこちょこ笑ってしまう小ネタが挟まってくるじゃないですか。そこが「クレヨンしんちゃん」の見どころだなと改めて思いました。
──本作では、豹変してしまったボーちゃんが物語を動かしていきます。まだ周囲に知られていない、賀来さんの意外な一面を教えてください。
見た目のイメージなのか、「堂々としている」と思われることがあるのですが、実際にはなんにも考えていないこともあります(笑)。“考えている風”の顔をして何も考えてなかったり、話を聞いているようで全然聞いていなかったり。でもこういうのって、本人が隠しているつもりでも、だいたいバレてるんですけどね。たぶん、周りの人には気付かれていると思います。
──では、劇中のボーちゃんのように“暴君”になってやりたいことは?
週休3日制度を作りたいです! 守らないと絶対に捕まる、くらいのルールにしたいですね(笑)。
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「映画クレヨンしんちゃん」30作品&「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~」
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 1993
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2002
©︎臼井儀人/しん次元クレヨンしんちゃん製作委員会
TELASA(テラサ)
TELASAは、テレビ朝日の人気番組をはじめとした動画を配信するサービス。ドラマ、バラエティ、アニメ、特撮、スポーツ番組に加え、国内外の映画、ドキュメンタリーなど、新作やオリジナルを含む、豊富なラインナップを視聴できる。スマホやPCはもちろん、テレビの大画面でも視聴可能。なお初回登録時、30日間無料でおためし視聴できるキャンペーンをナタリー限定で現在実施中だ。
プロフィール
賀来賢人(カクケント)
1989年7月3日生まれ、東京都出身。2007年に映画「神童」でデビューを果たした。連続テレビ小説「花子とアン」、大河ドラマ「花燃ゆ」、ドラマ「今日から俺は!!」「TOKYO MER~走る緊急救命室~」、映画「銀色の雨」「新解釈・三國志」「聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~」などに出演。声優として映画「ライオン・キング」「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」「金の国 水の国」などに参加している。Netflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」では主演・原案・共同プロデューサーを担った。近作は劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション」、Netflixシリーズ「今際の国のアリス」シーズン3など。