実写映画「白雪姫」本当の優しさを丁寧に映し出したミュージカル、ブルーレイ収録のボーナス・コンテンツに注目

ディズニーが贈る実写映画「白雪姫」のブルーレイ+DVDセット、4K UHD+ブルーレイセットが7月23日に発売された。デジタル配信中(購入/レンタル)。

「白雪姫」のブルーレイとデジタル配信(購入)にはボーナス・コンテンツをたっぷり収録。映像では監督のマーク・ウェブに加え、キャストのレイチェル・ゼグラー、ガル・ガドット、アンドリュー・バーナップらが舞台裏を語っていく。さらに楽曲にフォーカスした「美しい音楽」、衣装やメイクへのこだわりをスタッフが披露する「キャラクターたちのスタイル」、貴重な「未公開シーン」にも注目してほしい。

映画ナタリーでは、本当の優しさを教えてくれる実写ミュージカル版「白雪姫」の魅力をコラムでおさらい。人間味あふれるリアリティを持って描かれたキャラクターたちの姿や、実写版でじっくり楽しみたい衣装・美術のポイントを紹介する。ボーナス・コンテンツ映像の一部も新たに公開するのでお見逃しなく。

文 / 渡邉ひかる

「白雪姫」ブルーレイ+DVD セット 予告編公開中

ディズニーの原点とも言えるプリンセスの物語

ディズニー初の長編映画であり、世界初のカラー長編アニメーションでもある「白雪姫」が実写ミュージカル映画となった。純粋な心を持つ主人公・白雪姫の物語は、これまで魅力的なプリンセスたちを世に送り出してきたディズニーの原点とも言える。物語の舞台は希望に満ちた王国で、王国のプリンセスとして幸せに暮らす白雪姫の顔にも輝きが。だが、外見の美しさと権力に執着する邪悪な女王の登場により、王国は闇に支配され、白雪姫も苦難の運命にさらされることになる。そんな「白雪姫」という名作おとぎ話を現代に放つのは、「(500)日のサマー」や「アメイジング・スパイダーマン」などのマーク・ウェブ。生身の人間の手触りも大切にされた実写版では、さまざまな愛の物語を描いてきたウェブ監督が、善良な心と思いやりを武器に悪と戦う白雪姫の純粋な心に徹底して寄り添う。白雪姫が王国のプリンセスに生まれついた理由は何か、プリンセスとはどうあるべきかを問いかけながら、愛と夢と魔法に満ちた世界へといざなう最高のファンタジーになっている。

「白雪姫」より、レイチェル・ゼグラー演じる白雪姫

「白雪姫」より、レイチェル・ゼグラー演じる白雪姫

書き下ろしのオリジナル楽曲が登場人物の心情を代弁

オリジナルのアニメーション版から、「口笛ふいて働こう」「ハイ・ホー」などの名曲が生まれたのは周知の通り。白雪姫が森で出会った7人のこびとたちとともに歌う「口笛ふいて働こう」や彼らのテーマソングとも言える「ハイ・ホー」は、「白雪姫」の世界に欠かせない楽曲としてこれまで愛されてきた。それらに加え、実写版ではオリジナルの新曲が登場人物たちの心情を代弁しているのが大きなポイント。「ラ・ラ・ランド」でリアルな愛の詞を書き上げ、「グレイテスト・ショーマン」のダイナミックな旋律で感動を巻き起こした作詞&作曲家コンビ、ベンジ・パセクとジャスティン・ポールが新曲の数々を書き下ろしている。白雪姫が自らの想いを吐露する「夢に見る ~Waiting On A Wish~」から、白雪姫と運命の人・ジョナサンが恋の予感を漂わせつつ歌う「二人ならきっと」まで、そのどれもがポップで美しく、心に沁み渡るものばかり。「ウエスト・サイド・ストーリー」でも評価された白雪姫役のレイチェル・ゼグラーをはじめ、抜群の歌唱力を誇るキャストたちが魅惑の歌声を存分に披露している。

「白雪姫」より、白雪姫(中央)と7人のこびとたち

「白雪姫」より、白雪姫(中央)と7人のこびとたち

実写版に映る“人間臭さ”とこだわりの衣装

待望の実写化で大切にされたのはやはり、登場人物たちの人間臭さ。絶対的な優しさと高潔な心を持ち続けながら、苦難の中で成長する白雪姫はもちろん、彼女を取り巻く人たちもそれぞれの時間を生きている。それは白雪姫の前に立ちはだかる邪悪な女王にも言えることで、白雪姫の美徳を嫌悪する女王の残酷さが物語の鍵に。また、ジョナサンも白雪姫の単なる恋の相手ではなく、現実を憂いて皮肉っぽい態度を見せる彼が、純粋な白雪姫との関係をどう発展させていくのか気になる。

「白雪姫」より、アンドリュー・バーナップ演じるジョナサン

「白雪姫」より、アンドリュー・バーナップ演じるジョナサン

そんな彼らが身につける衣服も考え抜かれたもので、3度のアカデミー賞®に輝いたサンディ・パウエルが衣装を担当。ブルーのパフスリーブにボリュームたっぷりの黄色いスカートがアイコニックな白雪姫のドレスから、無数のスパンコールが全身をタイトに覆う女王のドレスまで、ファンタジーの住人たちに絶妙なリアリティがもたらされている。また、王国の城や森の家など、美術にもこだわりがたっぷり。女王のおどろおどろしい根城は、ドイツやスイスに実在する城からインスピレーションを得てデザインされたものだそう。一方、ほっこりさせられる7人のこびとたちの家の内装には、オリジナル版への敬意と目配せが随所に。幻想的な空間でありながらも、思わず足を踏み入れてみたくなる質感で楽しませてくれる。

「白雪姫」より、ガル・ガドット演じる女王

「白雪姫」より、ガル・ガドット演じる女王

老婆はこうして作られた…舞台裏に迫るボーナス・コンテンツの数々は必見

このたび発売されたブルーレイ+DVDセット、4K UHD+ブルーレイセット、デジタル配信(購入)では、豊富なボーナス・コンテンツが楽しめる。劇場公開時の興奮を呼び起こすのはもちろん、本編への理解をより深めるコンテンツが並ぶ。なかでも見どころは作品の裏側に迫るメイキング映像の数々で、そのうちの1つ、「キャラクターたちのスタイル」では“老婆と化した女王が白雪姫に毒リンゴを与える”という最重要シーンのプロセスが明らかに。劇中の女王は自らの魔法で美しい姿から老婆へと変貌を遂げるが、撮影では特殊メイクの力を使用。「ハリー・ポッター」シリーズなどのマーク・クーリエらが特殊メイクを担当し、女王役のガル・ガドットを変身させていく。その際、目指したのは“恐ろしい老婆ではなく、(白雪姫が心を許すような)かわいらしいお婆さんにすること”。アカデミー賞®を3度受賞した達人の華麗な手技と、老婆姿を楽しむガル・ガドットの様子に注目だ。また、ベンジ・パセク&ジャスティン・ポールがレイチェル・ゼグラーと劇中曲について語り合う「美しい音楽」など、そのほかのメイキング映像もチェックしておきたいところ。ここでは、高難度の楽曲を歌いこなすキャストたちの奮闘ぶりも知ることができる。さらには、本編からは泣く泣くカットされたであろう未公開シーン(物語冒頭の鍵となる女王のシーンも!)や、ミュージカルシーンにフォーカスした「ソング・セレクション」のコーナーなども。映画作りの裏側を垣間見られる映像の数々を本編と併せて楽しみ、「白雪姫」の世界にどっぷりと浸ってほしい。

「白雪姫」ボーナス・コンテンツ「キャラクターたちのスタイル」より