「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」アベンジャーズ新章へのカウントダウンが始まる!映画ライターが最速レビュー

マーベル・スタジオが贈る映画「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」が、7月25日に日米同時公開。本作では、宇宙ミッション中の事故で特殊能力を得た4人が、最強のヒーローチーム“ファンタスティック4”として地球滅亡の危機に立ち上がる様子が描かれる。ペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クイン、エボン・モス=バクラックらが出演。監督はドラマシリーズ「ワンダヴィジョン」で知られるマット・シャクマンが務めた。

ヒーローチームの“原点”とされるファンタスティック4が、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に参加するのはこれが初めて。映画ナタリーでは本作の公開を記念し、これまで積み上げられてきたマーベルコンテンツの魅力を紐解くとともに、日本最速試写会でひと足早く本編を鑑賞したライター・よしひろまさみちによるレビューを掲載。アベンジャーズ新章へのカウントダウンがついに始まる。

コラム、レビュー / よしひろまさみちキャラクター紹介 / 小宮駿貴

映画「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」予告編公開中

キャラクター紹介

リード・リチャーズ / ミスター・ファンタスティック
(演:ペドロ・パスカル)

ペドロ・パスカル演じるリード・リチャーズ / ミスター・ファンタスティック

体がゴムのように自在に伸縮する能力を持ち、常に冷静な判断でチームを導くリーダー。卓越した知性と発明の才能で研究に情熱を注ぐ天才科学者としても知られる。パートナーであるスー・ストームとの間に新たな命を授かる。

スー・ストーム / インビジブル・ウーマン
(演:ヴァネッサ・カービー)

ヴァネッサ・カービー演じるスー・ストーム / インビジブル・ウーマン

自身の体を透明にできる能力者。目に見えないエネルギーを操り、強力なフォース・フィールドを形成するパワーも持つチームの精神的支柱。リード・リチャーズの妻であり、ジョニー・ストームの姉でもある。

ジョニー・ストーム / ヒューマン・トーチ
(演:ジョセフ・クイン)

ジョセフ・クイン演じるジョニー・ストーム / ヒューマン・トーチ

炎を自由自在に操る能力を持つチームのムードメーカー。「発火フレーム・オン!」の掛け声とともに全身から炎を噴き出す。空を高速で飛び、炎を吸収したり高熱の火炎を放つことも。陽気な性格でプレイボーイ。ベン・グリムとは喧嘩しつつも深い友情で結ばれている。スー・ストームの弟。

ベン・グリム / ザ・シング
(演:エボン・モス=バクラック)

エボン・モス=バクラック演じるベン・グリム / ザ・シング

岩のように強固な体と怪力を持つチームの力持ち。かつての顔や体には戻れず、現在の容姿にコンプレックスを抱えている。心優しい性格で、リード・リチャーズの古くからの親友である。決めゼリフは「正義の鉄拳タイムだ!(It's clobberin' time!)」。

ハービー(H.E.R.B.I.E.)

ハービー(H.E.R.B.I.E.)

ファンタスティック4のミッションをサポートする高性能ロボット。“5人目のファンタスティック”とも呼ばれる。ベビーベッドを組み立てたりと公私ともにチームを支えている。宇宙船には専用のコックピットもある。

アベンジャーズ新章、ヒーロー新時代の幕開け!

文 / よしひろまさみち

複数の作品が同一の世界線でクロスオーバーする“(シェアード・)ユニバース”という概念を一般化させた、マーベル・スタジオによるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の作品群。最新作の予告編が発表されるたびにSNSでトレンドを席巻し、劇場公開時には瞬く間にヒットをたたき出すなど、2008年の「アイアンマン」に始まるマーベルが作り出したヒーロー映画のムーブメントは多くの社会現象を巻き起こしてきた。

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

中でも一大旋風を起こしたのが、2019年に劇場公開された映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」。アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソーといった人気ヒーローたちによる壮絶な戦いが一度終結したタイミング。かつてない絶望の淵に立たされたヒーローたちがアッセンブル(集結)した終盤の戦いは、世界中のファンが歓喜し涙した映画史に残る名シーンと言える。いまだに当時を思い出すと心が震えるファンも多いのではないだろうか。同作はリピーターも続出し、MCUの日本興行収入最高益となった61億円超を記録。マーベルファンでなくとも、お茶の間レベルでMCUが語られるほどの特大ムーブメントとなった。

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

以降も魅力あふれる作品を多数世に送り出してきたマーベル・スタジオ。とどまることなく広がっていく世界線にファンは大興奮し続けてきた。一方で、その豊富すぎるラインナップをすべて追いきれずにMCUから離れてしまった層も一定数いるのではないだろうか。しかしここで朗報。この夏、MCU初登場となるヒーローチーム“ファンタスティック4”の物語は、タイトルに“ファースト・ステップ”とある通り、最近のマーベル作品を追っていなくても大丈夫。そして、これまでマーベル作品を追ってきたファンも大満足必至の作品となっている。単体作品として存分に楽しめるだけでなく、物語はアベンジャーズ新章、2026年12月18日に日米同時公開の「アベンジャーズ/ドゥームズデイ」にも続いていくため見逃せない。マーベル作品はご無沙汰という人も、これを機に再び魅力に触れてみてはいかがだろうか。

最速レビュー
“ファンタスティック4”の「顔見世」作品として満点

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が再び劇場を賑わせて大きく動き始めた2025年。アベンジャーズ新章へのカウントダウンが始まる「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」がいよいよ公開となる。この作品によって、再びMCUの魅力にとりつかれる人が続出することは間違いない。

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

“ファンタスティック4”は、マーベル・コミックスに一番最初に登場したヒーローチーム。生まれつきパワーを持ち合わせていたわけではなく、4人の宇宙飛行士が任務での事故により特殊能力を得て、正義のためにそれを活用していく。チームのリーダーであるミスター・ファンタスティックことリード・リチャーズは、もとより持っていた天才的な科学の知識とともに、世界の脅威に立ち向かう。MCU入りがもっとも期待されていたタイトルだけに、ファンは「サンダーボルツ*」のポストクレジット映像でファンタスティック4のロケットが登場したときには歓喜しただろう。ヒーロー新時代の到来に期待せずにはいられない。

惑星を食い尽くす規格外の強大な敵、宇宙神ギャラクタス(右)

惑星を食い尽くす規格外の強大な敵、宇宙神ギャラクタス(右)

ギャラクタスの使者で、全身を銀の光沢に輝かせたシルバーサーファー

ギャラクタスの使者で、全身を銀の光沢に輝かせたシルバーサーファー

物語の舞台は1960年代、リードの貢献によって星間飛行ができるほどテクノロジーの発展を遂げた世界。ファンタスティック4は、揺るぎない家族の絆で数々のヴィランとの戦いに勝ち、世界中の人々から愛されるヒーローとなっていた。そんな彼らのもとに、惑星を喰らう“宇宙神”ギャラクタスとその使者シルバーサーファーが出現。とてつもない体の大きさと全てを見通す力を持つギャラクタスの狙いは、リードとスーが授かった新たな命だった。自らが犠牲になったとしても、世界を救うことができないファンタスティック4。愛する我が子を差し出して地球を守るのか、それとも勝ち目のない戦いに挑むのか。彼らは“家族”として、ヒーローとして最大の試練に立たされる。

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

ファンタスティック4のキャラクター解説、舞台設定などの説明が一気にされる冒頭約20分。スピード感があるにもかかわらず、予習ゼロの人でも違和感なく入り込むことができる余白があり、むしろここから楽しめるワクワク感がある。レトロな世界観の作り込みや展開の速さ、一瞬たりとも見逃せない伏線だらけの構成は、さすが「ワンダヴィジョン」のマット・シャクマン監督。どこで何が起きるかわからないワクワク感があることはもちろん、説明の過不足もなく、MCUビギナーの人にとってもマーベルをずっと追いかけてきたファンにとっても満足度の高いものとなっている。

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

そして何より、ファンタスティック4それぞれの個性とパワーがバランスよく紹介され、いわゆる「顔見世」作品として満点といっていい。特に序盤で一番重要な、ギャラクタスとの対峙からの一連のシーンは、手に汗握る迫力とハラハラを体感できる(このシーンを観るためだけでも、IMAXなどのラージフォーマットを推奨したい)。そこからチームのメンバーがギャラクタスを相手にどう立ち向かっていくのか。その“意外な方法”に驚かされるだろう。また、ギャラクタスの真の目的は、最後の最後まで観ないと理由がわからない。そもそもなぜリードとスーの子を狙うのか。そして、地球と全人類の存亡か、愛する子の命か……究極にして最難の選択を迫られた彼らの葛藤は、物語の根底に常に流れ続ける。このドラマはMCUファンはもちろんのこと、家族を持つ者、大切な存在がいる多くの人々の心に響くはずだ。

ファンタスティック4の顔見世にして、「アベンジャーズ」級の壮大なテーマを盛り込んでおり、一瞬たりとも見逃せない。ビッグスクリーンでのMCUが放つ魅力を最大限に詰め込んだ115分だ。アベンジャーズ新章となる「アベンジャーズ/ドゥームズデイ」が2026年12月18日に日米同時公開されることは先ごろ発表されたばかり。この超大作によってMCUが再び社会的ムーブメントを巻き起こすことは間違いないが、その“ファースト・ステップ”として「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」を楽しんでいただきたい。

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真

「ファンタスティック4:ファースト・ステップ」場面写真