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大林宣彦、最新作「花筐」に託した希望語る「平和という“嘘”が本物に」

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左から大林宣彦、大林恭子。

左から大林宣彦、大林恭子。

花筐/HANAGATAMI」の記者会見が本日12月1日に東京・日本外国特派員協会にて開催され、監督の大林宣彦、プロデューサーであり妻の大林恭子が出席した。

檀一雄の小説を原作とした本作では、佐賀・唐津を舞台に第2次世界大戦真っ只中の日本に生きた若者たちの姿が描かれる。窪塚俊介、俊彦が憧れる学友・鵜飼を満島真之介、病に苦しむヒロイン・美那を矢作穂香が演じ、長塚圭史、柄本時生、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子らが脇を固めた。

戦争を幻想的な表現で伝える必要性について指摘されると、大林は「映画でリアルに戦争を再現しても、実際の映像に勝つことはできないと思っています」と断言。そして隣に座るプロデューサーの恭子から、画面いっぱいを埋めるような飛行機と焼夷弾を描いても「こんなもんじゃない、5倍も10倍もいたわよ」と言われたと回想し、「どんなにCGが発達しても戦争はリアルに描けない。私は劇映画の作家ですから虚構の力を使おうと思う」と続ける。

「この空の花 長岡花火物語」「野のなななのか」と3作続けて戦争を描いてきた大林。「この世の中で、平和というものが一番の“嘘”。しかしその嘘を人が信じれば実現できるかもしれないということが、私が映画に託す希望です。せっかく映画を作るからには希望を託したい」と、制作への原動力となった思いを述べる。さらに「嘘のように美しい映像、嘘みたいな演技と、嘘のような演出によってどなたかが感動してくだされば、嘘の映画が本物になる。私は反戦映画を作っているわけではなく戦争が嫌いなだけ。嘘から誠が見えてくれれば幸せです」と観客に語りかけた。

また本作は唐津が舞台となったが、原作では「架空の街」と表現されている。大林が本作の脚本に着手していた約40年前、原作者の檀にロケ地の相談をした際、「唐津に行ってごらん」と言われたことから唐津を撮影地に選んだという。大林は「実際に唐津に行ってもこの映画にあった唐津はどこにもないです。唐津の柱、屋根、時計……。原作の精神にあったものを撮ってきました。つまり檀さんが言っていたのは唐津の風景ではなく精神だったのです」と説明。伝統的な祭り・唐津くんちを見た際に妻の恭子から「この唐津くんちを撮れば檀さんの精神が撮れる」とアドバイスをもらったことも、撮影地に決めた大きな動機であったと明かし、「花筐を観て何かずしりと胸に来たものは、唐津のどこに行っても、誰に会っても、何を食べても感じられるはずです」と伝えた。

「花筐/HANAGATAMI」は、12月16日より東京・有楽町スバル座ほか全国で順次ロードショー。

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