大林宣彦、「何がなんでも戦争は嫌だと言い続ける」と映画作りのテーマ明かす

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本日3月17日、特集「大林的戦争三部作」の舞台挨拶が東京・ポレポレ東中野で行われ、監督の大林宣彦が登壇した。

大林宣彦

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戦争3部作の最終作「花筐/HANAGATAMI」上映後に登場した大林は、「しゃべり出すと3、4日しゃべっちゃう」と笑顔を見せ、会場を和ませる。「このところ急に戦争映画を撮りだしたと巷では言われてますが、あの戦争体験があったから私は映画を作っているんです」と言う大林は、「晩年息子のようにかわいがってもらった黒澤明さんがいつも『正義なんて信じられるかい?』とおっしゃられていた。私は『いや信じられませんね』と答えていました」と述懐。そして「戦争中は軍国少年で“お国のために命を捧げるのが素晴らしい生き方”だと学んで生きていたのに、戦争が終わった途端に今までの正義は間違っていた、敵の正義が正しいと言われた」と振り返り、「生きているはずのなかった私たちは誰も殺してくれない、1人で死ぬこともできないまま、いつの間にか敗戦後を生きてしまった。そういう世代なんです」と言葉を重ねる。

大林宣彦

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続いて大林は「映画には“ハッピーエンド”というフィロソフィーがある。今、世界はますますアンハッピーの度合いが高まっていますが、未来を変えることはできるかもしれない。国民たちが平和を手繰り寄せることができると信じて努力をすれば、世界は変わるかもしれない」と訴える。さらに、「“大林チルドレン”と言ってくれる若い映画作家たちがいます。手塚眞くんは才能のある男なのになぜかしばらく映画を撮りませんでした。彼は『大林さんがうらやましい。戦争体験があって描かなければいけないテーマがあるから、映画を作れる。自分には映画に込めるフィロソフィーがないから映画を作ることができない』と話していた」と述べる。そして2018年1月に公開された手塚の新作「星くず兄弟の新たな伝説」について「素晴らしい映画で、しかも戦前の戦争映画です」と感想を伝え、「彼はこう言いました。『僕は映画を撮ります。過去の戦争ではなく、これから僕たちが体験せざるを得ない明日の戦争に対して、映画を作ることができます』と。自分の役割がようやく実を結んだなと思いました」としみじみと語った。

ファンと交流する大林宣彦。

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「映画は“風化しないジャーナリズム”。歴史を学ぶうえで一番いいのが映画」と主張する大林は、「『HOUSE ハウス』も“戦争は嫌だ”という映画。純文学ではなくホラーでやったらみんな喜んだ。あらゆるジャンルの映画を撮ってきましたが、テーマはただ1つ、何がなんでも戦争は嫌だということを言い続けようと」と述べる。さらに「『花筐/HANAGATAMI』を今出会うべき映画であったと感じてくれてるのが小学生たちなんです。70、80通の手紙が私のもとにあります」と明かし、「“大林さんの映画を観て初めて戦争を知りました、怖いからもっと知りたいです。学べば学ぶほど怖くなるけれども、そこから逃げると本当に怖いから勉強しようと思います。もっと戦争のことを教えてください”と言ってくれる、この映画を作った意味はそれで十分なんですよ」と思いを吐露した。

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大林は会場に集まった観客たちを見つめ「年配の方以外に若い人たちも真剣な眼差しを向けてくれている」と喜び、「あなたたちの時代はあなたたちが守り、作らなければならない。戦争という馬鹿なことを起こさないようにする、それが生きてる人間の責任です。そのことを映画は楽しくエンタテインメントとして味わわせてくれる。そこに映画というものの偉大なる力があると思います」と力強くメッセージを伝え、イベントの幕を引いた。

本特集は、23日まで行われ「この空の花 長岡花火物語」「野のなななのか」も上映される。

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