「夢と錯乱」は2021年に静岡で初演された
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宮城聰コメント
いまの時代の舞台芸術のミッション・役割のなかで、とても大きいと考えているのが、人間というものへの信頼を蘇らせることです。人間でなくてもいいことがどんどん増えていくなかで、やっぱり人間って捨てたもんじゃないよね、と思えるような時間を提供すること。これが、東京芸術祭で多くの人に舞台芸術を観てもらいたいというモチベーションになっています。人への信頼を蘇らせることによって、考えていることが違っても、意見が違っても、あるいは主義主張が違っても、それでも相手の存在を認めることができるという世界に、社会に、していかないといけない。いまその逆の方向に進んでいるように感じるので、舞台芸術を通してそういう世界を垣間見るような瞬間を、できることなら提供したいと思っています。
たとえば、人間離れしたことができる人を見る、というのも人間に対しての信頼が蘇るひとつのきっかけになります。その典型はスポーツ観戦かもしれません。逆に、普通の人ではできないようなことはしていないのに舞台上にいる人がふと輝いて見えたりする、そういう瞬間を提供することも大いに意味があるのではないでしょうか。「夢と錯乱」はそういう作品として、今回、東京芸術祭のなかで観ていただこうと思いました。人間離れしたことはなにひとつしていない、ひとつひとつ見れば、誰でもできそうなこと、誰でも持っているような能力を、120%のちからで提示する。これがおそらく1960年代末からはじまったアングラ・小劇場運動のスピリットなんですね。そのスピリットをいま、2022年にもういちどみなさんに観ていただければいいな、観ていただけたとしたら本望だなと思っています。
SPAC-静岡県舞台芸術センター「夢と錯乱」
2022年10月14日(金)~16日(日)
東京都 東京芸術劇場 シアターイースト
作:ゲオルク・トラークル
訳:中村朝子
演出:
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