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新作「欲望のみ」にKERA&古田新太「“何をやってもいい”の極北にある作品を」

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cube presents「欲望のみ」取材会より、左からケラリーノ・サンドロヴィッチ、古田新太。

cube presents「欲望のみ」取材会より、左からケラリーノ・サンドロヴィッチ、古田新太。

6・7月に上演される“KERA×古田新太企画”の新作「欲望のみ」の取材会が、2月下旬に東京都内で行われ、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)と古田新太が取材に応じた。

KERAが作・演出、古田が座長を務める“KERA×古田新太企画”は、2007年の「犯さん哉」、2011年の「奥様お尻をどうぞ」、2016年の「ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~」と、4・5年に1度のペースで作品を発表している人気企画。約4年ぶりの新作となる今回の「欲望のみ」には、古田のほか、小池栄子、秋山菜津子、大東駿介、近藤公園、尾上寛之、板垣雄亮、小柳心、福地桃子、大倉孝二、八十田勇一、入江雅人、犬山イヌコ、山西惇が出演する。

和やかなムードの中で始まった取材会の冒頭で、KERAはこれまでの“ナンセンス3部作”を振り返り「ナンセンスは出たとこ勝負。脚本は自由に書けるんですが、稽古では、“ナンセンスとしての努力”が必要になる。たゆまぬ血と汗の結晶で出来上がっているんです(笑)」と語る。続けてKERAが「ふるちん(古田)とは、しばらく演劇らしい演劇を作ってなかったし、今回はナンセンスではなくブラックコメディにしようと思ってます」と明かすと、古田は「ストーリーのある作品をね……今回ブリーフは穿かないんじゃない?(笑)」とKERAに視線を送る。これに対してKERAは「衣装がブリーフって楽なんだよね……」と微笑んだ。

新作「欲望のみ」について、KERAは「昨今、世の中のでたらめな状況に身をさらされていると、緻密な、よくできたコメディを作ってる場合でもないなっていう気持ちになるんです。それでタイトルを『欲望のみ』にしました」と思いを語り、「『欲望のみ』っていうタイトルなら、どんなストーリーにもできるでしょ」と笑いまじりに述べる。

記者から、KERAとのクリエーションについて問われた古田は「KERAさんの芝居は好きですし、一緒に作っていて楽しい。何より大倉孝二が現場で生き生きしてるのがうれしいよね。彼が唯一生き生きしてるカンパニーかもしれない」と笑顔を見せる。また「KERAさんにオーダーすることはありますか?」と尋ねられると、「ないですね!」と即答。これを受けたKERAは「言ってもムダだと思われているのかも」とジョークを飛ばした。

これまで何度もタッグを組んできた古田について、KERAは「ナイロン100℃の人たちとでもナンセンスはできなくはないんですが、ふるちんには彼にしかない身体性、“野蛮な空気感”があるんですよね。だから定期的に一緒にやるとホッとするところもあって」と、古田に視線を向ける。対する古田は「劇団☆新感線は“押し芸”だけど、シニカルな感じの“引き芸”の芝居も好きなんです。だから、おいらもKERAさんとやるときはホッとしますね(笑)」と返答した。

「グッドバイ」「陥没」といったKERA作品に出演し、「欲望のみ」にもキャスティングされている小池についてKERAは、「一緒にやったとき『これは大丈夫だ』って思ったんですよ」と信頼を寄せ、さらに「秋山(菜津子)とは2016年の『8月の家族たち August:Osage County』以来で、久しぶりなのでちょっと緊張しますね。彼女の良いところを生かしつつ、いつもと違った面を見せられたら」とコメント。またKERAが「山西(惇)さんは、ナンセンスをやってても怖く見えるよね(笑)」と話すと、古田は「『何か裏があるんじゃないか?』って思っちゃうよね。面白いことを言ってるはずなのに怖い(笑)」と頷きながら答えた。

さらに話題は広がり、社会情勢が厳しくなる中でナンセンスやブラックコメディを上演する思いについて。古田は「『いじわるしちゃダメ!』っていうのが風潮的にあるよね」と言及。KERAは「作りごとの世界の中でも『ダメ!』なんて言われるのはひどいよね。作るものに関しては文句を言われたくないって思います」と述べ、「演劇って本来は何をやってもいいはずなんですよ。特にふるちんと作るものは、“何をやってもいい”の極北にあるような作品ばかりだから、今回も極端なものになると思います。僕は自由にやれることが演劇の喜びの1つだと思っているので、ぜひ楽しみにしていてほしいです」と観客にメッセージを送る。

最後に古田は「演劇をやっている若い人たちに対して『君たちが思ってる演劇だけが演劇じゃないからな!』というのが、おいらからの唯一のメッセージ。今回もそう言える作品を目指します。『どうせ、パンツ一丁になるんだろう?』と思っている人にも観に来てほしいです」と語り、取材会を締めくくった。

「欲望のみ」は、6月13・14日に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにてプレビュー公演が行われ、6月18日から7月12日まで東京・本多劇場、7月16日から19日まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールで上演される。

チケットのcubit club先行販売は本日3月6日から16日12:00まで受け付けられ、愛知でのプレビュー公演は4月25日、東京公演は4月18日、兵庫公演は4月26日に一般販売がスタートする。

※初出時、本文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

cube presents「欲望のみ」

2020年6月13日(土)・14日(日)※プレビュー公演
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

2020年6月18日(木)~7月12日(日)
東京都 本多劇場

2020年7月16日(木)~19日(日)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:古田新太、小池栄子、秋山菜津子、大東駿介、近藤公園、尾上寛之、板垣雄亮、小柳心、福地桃子、大倉孝二、八十田勇一、入江雅人、犬山イヌコ、山西惇

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