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「国を超えて“かなし”が届くことを願って」、木ノ下歌舞伎「勧進帳」パリへ

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木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。

木ノ下歌舞伎「勧進帳」稽古の様子。

木ノ下歌舞伎「勧進帳」が、11月1日から3日まで、フランス・パリのポンピドゥ・センターにて上演される。

本作は、7月から来年2019年2月までフランスで開催中の「ジャポニスム2018:響きあう魂」の公式企画として、パリのポンピドゥ・センターで上演されるもの。木ノ下歌舞伎「勧進帳」は、歌舞伎の人気演目の1つである「勧進帳」をもとに、木ノ下裕一が監修・補綴、杉原邦生が演出・美術を手がけた作品で、10年に杉原の演出で上演され、16年にリクリエーション版として再上演、今年18年にも上演された。主宰の木ノ下は、その成果に対して16年度の文化庁芸術祭で新人賞を受賞するなど、高い評価を得ている。

パリ公演に向けて杉原は、「僕たちの中で知らず知らずに生まれ、絡まり合ってしまっている無数のボーダーラインが、そっとほどけていくような、そんな作品になることを願いながら、国境を越えパリで上演される『勧進帳』に挑みたいと思います!」とコメント。木ノ下は「木ノ下歌舞伎の『勧進帳』は、はからずもその“日本人的情緒”を掘り下げた作品になりました。演出面においても、ドラマツルギーおいても、日本の古典を解体するところから出発したにもかかわらず、です。フランスのお客さまの眼にはどう映るのでしようか。国を超えて“かなし”が届くことを願っています」と述べている。

杉原邦生コメント

木ノ下歌舞伎「勧進帳」はやはり、僕が演出してきた木ノ下歌舞伎作品の中でも特別なものだな、と稽古をしながら改めて、そう思っています。この作品には、僕の思う演劇の魅力、可能性、演劇への願いが詰まっている気がするからです。
僕たちの中で知らず知らずに生まれ、絡まり合ってしまっている無数のボーダーラインが、そっとほどけていくような、そんな作品になることを願いながら、国境を越えパリで上演される「勧進帳」に挑みたいと思います!

木ノ下裕一コメント

木ノ下歌舞伎「勧進帳」の稽古をしていて、改めて「かなしい作品だなぁ」と思いました。
対立する二つのグループ。立場、利害、信念……さまざまな違いを互いに認識しつつも、新たに平和的な関係を築き上げようとする登場人物たち。そこに生じる衝突、軋轢、葛藤。そして、だからこそ浮かび上がってくる孤独……。その様が、切なく、愛おしく感じられてきました。
古典の世界において「かなし」は、日頃の私たちが使っている「悲しい」という意味に止まらず、「心惹かれる」「身にしみる」「愛しい」という豊かな情緒を含んだことばですが、木ノ下歌舞伎の「勧進帳」は、はからずもその“日本人的情緒”を掘り下げた作品になりました。演出面においても、ドラマツルギーおいても、日本の古典を解体するところから出発したにもかかわらず、です。
フランスのお客さまの眼にはどう映るのでしようか。国を超えて「かなし」が届くことを願っています。

木ノ下歌舞伎「勧進帳」ジャポニスム2018-現代演劇シリーズ-

2018年11月1日(木)~3日(土・祝)
フランス ポンピドゥ・センター

監修・補綴:木ノ下裕一
演出・美術:杉原邦生
音楽:Taichi Master
振付:木皮成
出演:リー5世坂口涼太郎、高山のえみ、岡野康弘亀島一徳重岡漠大柿友哉

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