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「團菊祭五月大歌舞伎」菊五郎が團十郎五年祭で弁天小僧に、意識するのは“美”

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尾上菊五郎

尾上菊五郎

「團菊祭五月大歌舞伎」が5月2日から26日まで東京・歌舞伎座で上演される。これに先駆け4月10日に取材会が開かれ、「弁天娘女男白浪」ほかに出演する尾上菊五郎が出席した。

「知らざあ言って聞かせやしょう」の名ゼリフで知られる「弁天娘女男白浪」は、盗賊の白浪五人男が呉服屋から金をだまし取ろうする物語。2013年の歌舞伎座新開場のこけら落しぶりに弁天小僧を勤める菊五郎は、「古い歌舞伎座でこの演目をやったとき、私が『10年後にこの演目をやっても、(白浪五人男から)誰も抜けてないだろうな』と言ったら、『抜けてないよ』と言った夏雄ちゃん(十二代目市川團十郎)が一番先に逝っちゃって。それから坂東三津五郎くんも逝っちゃって……。非常に寂しい思いをしました。今回は團十郎五年祭も兼ねていますので、(市川)海老蔵くんの初の日本駄右衛門を大変楽しみにしています」と挨拶。

続けて「(数え年で)76歳にして16・7歳の人間を演じないといけないから、腰がメリメリ言うほど痛いんです(笑)」と正直な思いを吐露する。また美しい娘に扮装するために現在ダイエットをしていることを明かし、「まだ5キロしか痩せていない」と告白。見せ場となる屋根での立廻りについては「(尾上)菊之助に代わってもらうかもしれない」と冗談を飛ばし、記者たちを笑わせた。

一方で「22歳でこの役を初めてやらせていただいて、三十代までは勢いでやっていましたけれど、四十になると『お客様は喜んでくれているのかな』とか『自分の言葉はお客様に届いているのかな』とか、いろいろと考えるようになりました。それから、立役を演じていると女形のほうが気になってくるし、女形を一生懸命をやると立役のほうが気になるし……。弁天小僧は今流行の二刀流の究極ですから」と冗談を交えながら今なお貪欲な姿勢を見せ、「世話物は義太夫と違って相手にもよるでしょう? 必ず相手とのセリフのキャッチボールがあって、合わないときもあるわけです。考えるほど深みにハマっていって。まだまだ勉強することがたくさんあります」と楽しげな表情で結んだ。

なお本作「弁天娘女男白浪」には、娘・寺島しのぶの「おじいさまの弁天小僧にどうしても出させてほしい」という強い希望で、孫・寺嶋眞秀が丁稚長松役として登場する。「芸を受け継ぐためにやはり共演は必要か」と記者から尋ねられた菊五郎は「どうでしょう。ただ映像で演技を観るのではなく、実際のこの“感じ”を覚えておいてもらえたら」と答えた。このほか後輩たちに受け継ぎたいものを聞かれた菊五郎は「言葉の間」と「歌舞伎の江戸っ子言葉」を挙げ、後者については「あまり“江戸っ子言葉”を表に出されるのも嫌なんです。江戸っ子は、ひゃくと言わないでしゃくと言うでしょう? それを『百(しゃく)が二百(にしゃく)と賽銭の』って言われると違うだろうと思ってしまう。昔はしゃく、と言ったかもしれないけれど、歌舞伎でお客様に聞かせる場合は“ひゃ”と“しゃ”の間だろう、とね」と持論を語る。

最後に本作の魅力について記者から尋ねられると、言葉を選びながら「目から入る美しさのようなもの。『わあ、きれいだな』とお客様が観てくださったら、ある程度は成功なんじゃないかなと思いますね。“美”。“美”だな」と答え、笑顔で会見を締めくくった。

「團菊祭五月大歌舞伎」は、昭和の2大名優である九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎を讃える恒例の興行。今回は昼の部に市川海老蔵が5役を勤める「雷神不動北山櫻」と中村時蔵による「女伊達」、夜の部に「弁天娘女男白浪」のほか、尾上松緑らによる「鬼一法眼三略巻 菊畑」、尾上菊之助と時蔵による「六歌仙容彩 喜撰」が上演される。チケットは4月12日に発売。

「團菊祭五月大歌舞伎」

2018年5月2日(水)~26日(土)
東京都 歌舞伎座

昼の部

「雷神不動北山櫻」
鳴神上人 / 粂寺弾正 / 早雲王子 / 安倍清行 / 不動明王:市川海老蔵
雲の絶間姫:尾上菊之助
文屋豊秀:尾上松也
秦秀太郎:中村児太郎
小野春風 / 矜羯羅童子:大谷廣松
八剣数馬 / 制多迦童子:市川九團次
小原万兵衛実は石原瀬平 / 黒雲坊:片岡市蔵
白雲坊:市川齊入
小松原中納言:市村家橘
関白基経:中村錦之助
八剣玄蕃:市川團蔵
小野春道:大谷友右衛門
腰元巻絹:中村雀右衛門

「女伊達」
女伊達木崎のお光:中村時蔵
男伊達中之島鳴平:中村種之助
同 淀川の千蔵:中村橋之助

夜の部

「弁天娘女男白浪」
弁天小僧菊之助:尾上菊五郎
忠信利平:尾上松緑
赤星十三郎:尾上菊之助
日本駄右衛門:市川海老蔵
鳶頭清次:尾上松也
浜松屋宗之助:中村種之助
丁稚長松:寺嶋眞秀
番頭与九郎:市村橘太郎
狼の悪次郎:片岡市蔵
木下川八郎:河原崎権十郎
伊皿子七郎:坂東秀調
浜松屋幸兵衛:市川團蔵
南郷力丸:市川左團次
青砥左衛門藤綱:中村梅玉

「鬼一法眼三略巻 菊畑」
智恵内実は吉岡鬼三太:尾上松緑
吉岡鬼一法眼:市川團蔵
皆鶴姫:中村児太郎
笠原湛海:坂東亀蔵
虎蔵実は源牛若丸:中村時蔵

「六歌仙容彩 喜撰」
喜撰法師:尾上菊之助
所化:河原崎権十郎
同:中村歌昇
同:市村竹松
同:中村種之助
同:市川男寅
同:中村玉太郎
祗園のお梶:中村時蔵

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