歌舞伎座130年「四月大歌舞伎」が、東京・歌舞伎座にて上演中。ステージナタリーでは、初日4月2日夜の部の模様をレポートする。
「四月大歌舞伎」夜の部で披露されるのは、鶴屋南北作「絵本合法衢」の全4幕通し上演。近江国多賀家の御家騒動を背景に、本家横領を狙う大名家の侍・左枝大学之助と強欲な無頼漢・立場の太平次が悪行の限りを尽くす物語が展開し、その瓜二つの極悪人2役を
仁左衛門は1992年に初めて同役に挑戦し、演じるのは今回が5度目となる。工夫を凝らして練り上げてきたこの役を、今回の公演では“一世一代”と銘打って演じ納め、自ら監修を務める。仁左衛門は本家乗っ取りを企て、家宝である霊亀の香炉を盗み取った挙句、目の上のたんこぶだった家臣の高橋瀬左衛門(
2幕には中村時蔵演じる蛇使いの女・うんざりお松(中村時蔵)が登場。お松は盗みや殺しを働く“悪婆”の原型になったキャラクターだ。同じく仁左衛門が勤めるもう1人の主人公・太平次は、自分に惚れているお松と共謀し、瀬左衛門の弟・与兵衛の殺害を企てる。計画は失敗に終わるが、ひょんなことから大金を手に入れた太平次は、用済みになったお松を絞め殺し、死体を井戸に捨ててしまう。月明かりが消えると太平次を中心とした“だんまり”が披露され、暗闇の中のスリリングなやりとりが繰り広げられた。
劇中では善人側である高橋瀬左衛門、弥十郎、与兵衛ら3兄弟の悲運のエピソードに加え、各幕ごとに配された立廻りや殺しの場面、大詰の仇討ちに至る展開など、ラストまで目が離せない。仁左衛門は武家人の大学之助と、町人の身ながら人をあざむき罪を重ねる太平次を、階級や立場の違いを際立たせて演じ分け、ときに観客の笑いを誘うコミカルな演技も交えながら、迫力たっぷりに悪人役を熱演して、歌舞伎座に見事な“悪の華”を咲かせた。
なお昼の部では、明治150年を記念し、真山青果作の「江戸城総攻」をもとにした「西郷と勝」と、
歌舞伎座130年「四月大歌舞伎」
2018年4月2日(月)~26日(木)
東京都 歌舞伎座
昼の部
「西郷と勝」西郷隆盛:
山岡鉄太郎:
中村半次郎:
村田新八:
勝海舟:
「裏表先代萩 足利家御家騒動・大場道益殺し・小助対決」
下男小助 / 仁木弾正:
乳人政岡:中村時蔵
細川勝元:中村錦之助
下女お竹 / 沖の井:
荒獅子男之助:坂東彦三郎
倉橋弥十郎:尾上松緑
八汐:
渡辺外記左衛門:
夜の部
「通し狂言 絵本合法衢」左枝大学之助 / 立場の太平次:
田代屋与兵衛:中村錦之助
田代屋娘お亀:片岡孝太郎
孫七:坂東亀蔵
太平次女房お道:
お米:
番頭伝三:片岡松之助
関口多九郎:
田代屋後家おりよ:
高橋瀬左衛門 / 高橋弥十郎:坂東彌十郎
佐五右衛門:市川團蔵
うんざりお松 / 弥十郎妻皐月:中村時蔵
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