“NEOかわいい”を掲げて世界へ
双子のマナ(Vo, Key)とカナ(Vo, G)にユウキ(B, Cho)、ユナ(Dr, Cho)を加えた4人によって結成され、“NEOかわいい”をコンセプトに掲げて活動してきたCHAI。2017年以降は海外でもライブを行い、アメリカのインディレーベル・SUB POPへの所属、GorillazやSuperorganismら数多くのアーティストとのコラボなど、世界中で支持を集めてきた。彼女たちは昨年9月に最新アルバム「CHAI」をリリースし、北米やヨーロッパなどを股にかけた海外ツアーを実施したが、今年1月に「“NEOかわいい”をフォーエバー」すると発表。これはツアー「CHAI JAPAN TOUR 2024『We The CHAI Tour!』」をもって活動を終了することを意味していた。CHAIは1月から3月にかけ、全国で17公演を実施。東京はEX THEATER ROPPONGIだけでなく、追加で恵比寿ザ・ガーデンホール公演も行われ、どちらもソールドアウトとなった。ファイナル公演の入場口には、これまでメンバーが着用してきた衣装を一挙展示。多くのオーディエンスが足を止め、カラフルなコスチュームを見ながらCHAIの歴史を振り返っていた。
ストイックな演奏でラストライブ開幕、物販紹介ではあの曲を替え歌に
Duran Duran、SuperorganismなどCHAIとゆかりのあるバンドの楽曲が流れる中、会場が暗転すると全身ピンクのスーツ風衣装を身に纏ったメンバーがステージに登場。彼女たちは観客たちの喝采を浴びつつ、抹茶への愛を表現した「MATCHA」でラストライブのスタートを切った。近年のCHAIはメンバーの担当楽器を大胆に変更したり、ダンスを積極的に取り入れたパフォーマンスにも取り組んでいたが、前半は演奏をメインに据えたストイックなステージングを展開。冒頭では「IN PINK(feat. Mndsgn)」「ラブじゃん」など近作からの楽曲を中心に届けていった。恒例の物販紹介コーナーでは、松谷祐子「ラムのラブソング」の替え歌でさまざまなアイテムを紹介。途中では大量の桜吹雪がステージ上を舞う演出が施されたほか、「CHAIが誰より一番」という歌詞のあとには“一番”コール&レスポンスが促されたりと、これまで以上にコミカルな場面となった。そんな物販紹介を終えると、彼女たちは「Sound & Stomach」「ボーイズ・セコ・メン」といった初期曲を次々とプレイ。長年の活動を経て、よりグルーヴィになったサウンドでフロアを温めていった。
いろんな国からファン集結!「“NEOかわいい”をフォーエバー」宣言
重厚な四つ打ちをベースにしたミドルチューン「We The Female!」披露後、マナとユウキは上段ステージに設置された卓へと移動。ユナのドラミングに合わせてサンプラーを駆使した即興演奏でオーディエンスを沸かせた。さらに「ACTION」では4人全員が楽器を置き、息ぴったりのダンスを繰り広げた。このパートでは活動中期から後期にかけて披露されてきたパフォーマンスがふんだんに盛り込まれ、序盤とは異なるスタイルが示された。「PARA PARA」の演奏を終えると、マナは「今日はCHAIとNEOかわいいベイビーズの門出!」「このまま“NEOかわいい”をフォーエバーするので、すごく明るい未来!」とラストライブながら悲しむ様子を見せず、ポジティブな言葉を投げかける。彼女はフロアの様子を見渡しながら「みんなどこから来た?」と質問すると、日本国内のみならずアメリカ、イギリス、スイス、台湾など世界各国からファンが集まっていたことが判明し、驚きながら感謝の言葉をかけた。
後半戦に入り、4人はジャケットを脱いでスポーティな格好になると、「みんなちょっと変だよね?」「普通なんてないんだよね?」と観客に問いかける。そんな自分らしく生きる精神を表した「NEO KAWAII, K?」からはさらに演奏の勢いが増していき、カナが激しいギターソロを炸裂させた「クールクールビジョン」、原曲からテンポアップし、リズム隊の掛け合いがさらにテクニカルに変貌した「ハイハイあかちゃん」を矢継ぎ早にプレイ。これまで数多くの会場を盛り上げてきた「N.E.O.」に入る頃には観客たちのテンションも最高潮に達し、フロアは尋常ではない熱気に包まれていた。高まり切ったテンションをクールダウンするように、CHAIは夢を叶えることを題材にした「フューチャー」で穏やかなムードを作り上げ、本編を締めくくった。
メンバー4人が最後に残したメッセージ
その後CHAIは、大勢のオーディエンスから「愛してる!」という歓声を受けながらアンコールへと突入。初ワンマンのレパートリーにも含まれていたという「ほれちゃった」を優しく奏でたのち、各メンバーが感想を述べていった。カナは「集中していて、気付いたらこの時間になっていました。夢の中にいるみたい」とこの日を振り返り、「CHAIの音楽はどんな場面でも聴けるように作ったつもりです。これからもぜひ聴いてください」「私たちはずっとそばにいるよ。これからもよろしくね!」とにこやかにコメント。ユナは「あっという間だったけどかけがえのない時間で、一生忘れることのない貴重な経験になりました」「みんなから愛と勇気と元気をもらったからステージに立てていました。『ありがとう』という5文字だけでは足りないです」と言葉では伝えきれない感謝の思いを示し、「また絶対どっかで会える! 同じ地球に住んどるからね!」と再会を誓った。「ベースを弾き始めたことも、バンドを組んだこともCHAIがきっかけ」だったというユウキは、「世界を舞台にして活動するだなんて、私の人生で起こるとは考えられなかった。4人でひとつの夢を目指すことができたのは人生の誇りです」「この活動を通して、自分を愛することは『なんて楽しいんだろう!』と思えました。これからも自分100%で生きていきましょう!」と改めて“ありのままで生きる”というメッセージを告げる。マナは「ここまで活動を続けられたのはNEOかわいいベイビーズやメンバーのみんな、スタッフの皆さんがCHAIと生きてきてくれたからです」「こんなに目が小さいことを大声で叫んで、それが『カワイイんだ』と通じたことが何よりうれしい」「CHAIの音楽と“NEOかわいい”はこれからも生き続ける。だもんで、一緒に生きていこう!」と自身のコンプレックスを生かし、“NEOかわいい”という考え方に共感してくれたことを感謝した。
各々が思いを告げたあと、マナは「一緒に歌おう!」と催促して「sayonara complex」を歌唱。いよいよ解散への実感が高まる中、人々のコンプレックスに寄り添ってきたCHAIの姿勢を再び示し、これまで応援してきたオーディエンスたちにエールを送った。
まさかの「ぶー」コール復活! そして本当のラストソングに選ばれたのは
アンコールが終わったあとも、まだまだフロアの拍手が鳴り止まない状況が続く。しばらくするとユナがおもむろにステージに戻り、ドラムを叩きながら「ぶー」コールをスタート。するとサングラスをかけたユウキが「おいおい! うちのユナががんばってんだから言え!」「こっちは今日解散すんだぞ! 腹から声出せー!」と活動初期の恒例だったアジテートを挟み、ひさしぶりに「ぎゃらんぶー」を披露するというサプライズを行った。そしてCHAIは本当のラストソングとして、“NEOかわいい”をテーマにした「N.E.O.」を再び演奏。先ほどまでの感傷的なムードを打ち壊し、強烈なバンドアンサンブルで活動にピリオドを打った。最後のライブを終え、メンバーが最前列の観客たちとハイタッチをしていると、ステージ後方にピンク色の幕が吊り下ろされる。この幕には「NEOかわいいの五訓」が書かれており、“NEOかわいい”でありつづけるための心意気が伝授された。
この公演の映像は、7月3日にBlu-ray「We The CHAI Tour! FINAL ~NEO KAWAII IS FOREVER♡~」としてリリース。本作には舞台裏を追ったメイキング映像も収められる。
NEOかわいいの五訓
一、人と違う自分こそ愛せよ二、いつだって自分に正直に生きよ
三、ネガティブな自分も愛してよし
四、なりたい自分を生きてよし
五、自分のNEOかわいさを疑うべからず
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セットリスト
CHAI「CHAI JAPAN TOUR 2024『We The CHAI Tour!』」2024年3月12日 EX THEATER ROPPONGI
01. MATCHA
02. IN PINK(feat. Mndsgn)
03. ラブじゃん
04. アイム・ミー
05. 物販紹介ソング
06. Sound & Stomach
07. ボーイズ・セコ・メン
08. We The Female!
09. PING PONG!(feat. YMCK)
10. ACTION
11. PARA PARA
12. まるごと
13. NEO KAWAII, K?
14. クールクールビジョン
15. ハイハイあかちゃん
16. END
17. N.E.O.
18. Donuts Mind If I Do
19. フューチャー
<アンコール>
20. ほれちゃった
21. sayonara complex
<ダブルアンコール>
22. ぎゃらんぶー
23. N.E.O.
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【ライブレポート】“NEOかわいい”は永遠! CHAI笑顔でお別れのラストライブ「私たちはずっとそばにいるよ」 https://t.co/OJ7McmSuiI