2019年末、虹コンはそれまで目標としていた東京・Zepp Tokyoのステージ上で、次は日本武道館を目指すことを宣言。コロナ禍になっても減速することなく大きな熱量を持って歩みを進め、結成7周年を迎えた2021年には新メンバーを加えて総勢14人体制に。2人で1色を担当するメンバーカラーが虹と同じ7色となった彼女たちは、昨年末、ついに夢の舞台である日本武道館公演の開催が決定したことを発表した。リーダーの的場華鈴と、でんぱ組.incと兼任して活動してきた根本凪がこのライブを最後に卒業するということもあり、より大きな意味を持つことになった虹コン初の日本武道館公演。会場にはグループにとっての大事な瞬間を目に焼き付けようと、大勢の虹コンだいすきマン(虹のコンキスタドールファンの呼称)が集まった。この記事では2日間の公演のうち、4月17日公演の模様をレポートする。
独特な高揚感と期待感が渦巻く中、場内が暗転すると同時に会場のスクリーンにオープニングムービーが映し出され、映像内でメンバーが1人ずつフィーチャーされるたびに大きな拍手が巻き起こる。そしてお馴染みの「overture」が鳴り響くと、虹色にまばゆく光るスクリーンの前にメンバーのシルエットが。昨年秋から休養中の根本を除く13人でステージに現れた虹コンは「武道館2日目、いくぞー!」という掛け声とともに「やるっきゃない!2018」で勢いよくライブの幕を開け、間髪いれずに「限りなく冒険に近いサマー」「キミは無邪気な夏の女王~This Summer Girl Is an Innocent Mistress~」とひと足早いサマーチューンを連発。彩度の高い虹色の衣装に身を包んで躍動感あふれるパフォーマンスを繰り広げ、シンプルなセットのステージをみるみるうちに華やかな空気で染め上げていった。
序盤の3曲が終わると、メンバーは1人ずつ元気よく自己紹介。的場はいつも通りの太陽のような笑顔で「今日はたくさん笑っていきましょう! もちろん泣いてもOKです! これまでのすべてをここにぶつけていきたいと思いますので、皆さんついてきてください!」と虹コンだいすきマンに呼びかけた。「学生の人ー!」「社会人の人ー!」「虹コンだいすきマンの人ー!」と叫んで観客とのコミュニケーションを楽しんだり、「武道館2日目も盛り上がっていけんのかー!」と力強く煽ったりと、生き生きとした声を日本武道館に響かせた虹コンは続いて「響け!ファンファーレ」「終末でーと部!」「in(door)the Summer」などの多種多様なナンバーを披露。曲中、花道を通ってアリーナ席中央に設置されたセンターステージに飛び出し、より客席に近い位置からエネルギッシュな歌やダンス、表情を届けた。
虹コン誕生のきっかけとなった2014年の「つくドル!」発掘オーディションの告知映像が上映されたあとは、7年以上の歩みを楽曲を通して振り返る怒涛のメドレーがスタートする。まずは初期の懐かしのレッスン風景やライブ映像をバックに、2014年7月の結成時からのオリジナルメンバーである的場と中村朱里が2人だけで初期の楽曲「女の子むてき宣言!」を歌唱。続いて2014年10月に“予科生”から正規メンバーになった鶴見萌を加えて「電撃タクティクス」を、2期生の大塚望由と大和明桜を加えて「↓エイリアンガール・イン・ニューヨーク↑」をパフォーマンスし、現在のメンバー編成ができあがるまでの歴史を再現する演出で観る者の胸を打った。5期生の岡田彩夢、隈本茉莉奈、清水理子、蛭田愛梨、山崎夏菜も交えたメジャーデビュー曲「✝ノーライフベイビー・オブ・ジ・エンド✝」はフルサイズで披露され、間奏では鶴見が迫力のあるセリフとシャウトで観客の視線を釘付けに。また、数々の大事な局面で歌われてきた「心臓にメロディー」や、赤組のユニット曲「天文学的ノンフィクション」、青組のユニット曲「真夜中のテレフォン」もメドレーに組み込まれ、会場内のテンションはますます上昇。最後はポジティブさにあふれた歌詞が印象的な「ブランニューハッピーデイズ」でこのブロックが締めくくられた。
ライブ中盤にはメンバーが描いたイラストと併せ、「なんたってアイドルなんですっ!!」というライブタイトルにちなんでメンバーがアイドル活動に対する思いを語るインタビュー音声が流れる。直前のメドレーも相まって会場に独特な緊張感とエモーショナルな空気が漂う中、メタリックな色味の大人びた衣装にチェンジした虹コンはアグレッシブなバレンタインソング「戦場の聖バレンタイン」「Luv♡ Unbalance」をクールかつパワフルに歌唱。さらにディスコナンバー「パラダイスな片思い」、その続編として制作された「ジャスナウ!」と続け、日本武道館という大舞台に負けない勇ましく堂々としたステージングを展開した。
その後、13人はステージに1列に並び、凛とした表情で客席を見据える。中村は「虹のコンキスタドールというグループが皆さんの太陽になれるように、いつでもキラキラと照らして虹を架けられるように活動していきたいと思います。これからもあなたのそばで輝かせてください」と虹コンだいすきマンに語りかけ、岡田も「虹コンはいろんな凸凹道を歩んできて、たくさんの出会いや別れがあったと思うんですよ。でも、それって全部に意味がちゃんとあったと思っていて、卒業していったメンバーやいろんな道に進んでいったメンバーもいますけど、誰1人として欠けていたら今ここに虹コンは立っていないと思います」とそれに続ける。的場は「この武道館公演を発表したとき、私は『虹コンの通過点にしたい』と言いました」と昨年12月24日のクリスマスライブでのMCを振り返り、「自分でもけっこう大きなことを言ったなと思ったし、今この状況の私がそれを言うのってメンバーにとってすごくプレッシャーになってるのではないかとか、いろいろ今日まで自分の言ったことを振り返って考えたりもしたんですけど、今日ライブをしていて思いました。虹コンの通過点にできますね!」とさわやかな笑顔で宣言した。
ライブはここからついにラストスパートへと突入。メンバーが自らタイトルを考案した思い入れの強い1曲「夢の輪郭」や、旅立ちや卒業をテーマにした「さくら色シャワー」が今まで以上に強い意味を帯びて響き渡る。序盤のブロックに続く形で夏曲の「愛をこころにサマーと数えよ」「サマーとはキミと私なりっ!!」「ずっとサマーで恋してる」も披露され、ライブで毎回大きな爆発力を見せる鉄板曲「ずっとサマーで恋してる」のサビでは虹コンだいすきマンが手でハートを作って跳躍する“ハートジャンプ”によって会場に心地よい一体感が広がった。次に虹コンはライブ本編を締めくくる楽曲として「BE MYSELF」をパフォーマンス。アイドルを卒業した10年後の虹コンメンバーが昔を懐かしんで歌っているという内容の歌詞を、ディスコ調のサウンドに乗せて明るく響かせてみせた。
鳴り止まない拍手に応え、各担当カラーのTシャツ姿で再度ステージに姿を現した虹コンは、ここで新曲「さよならタイガー」を初披露。めまぐるしい展開、にぎやかなサウンドとセリフパートなど、電波ソングを思わせる曲調だが、どこか切なさを含んだメロディ、メンバーのさまざまな思いを汲み取れる歌詞が観客を惹きつけた。曲が終わると、メンバーは1人ひとり順番にライブの感想や胸の内を言葉にして挨拶。的場は「私はこのキラキラした景色を見たいなと夢を見て、虹コンに入りました。でも、活動していくうちに景色だけじゃなくて、皆さんの気持ちもキラキラにしたいなと思うようになりました。私は今日まで応援してくれていた皆さんのこと、幸せにできた自信があります! 私も皆さんからたくさん幸せにしてもらいました!」と一点の曇りもない顔で胸を張り、岡田は「私は一度卒業を考えていて、もしかしたら今日ここが私にとって最後の場所だった可能性、そういう未来もあったんですね。辞めるのをやめるという選択を取ったのは、私が声がうまくでなかったときとかも、緑色に光ってる皆さんが『そのままで大丈夫だよ』『そういうだぁちゃんも好きだよ』と言ってくださって。ダメな私のそばにいてくれて、メンバーも私を必要としてくれて……だから辞めなくてよかったなって今思ってます。ここに立たせてくれてありがとうございました」と普段見せることのない涙を目に浮かべながら感謝の気持ちを伝えた。
山崎も感極まって瞳を潤ませつつ、「この1週間ホントに不安で……その間は犬にも会えなくて。(不安だったのは)そのせいなのもけっこうあるんですけど、これからもくじけそうになったときは今日の日のことを思い出します。まだまだ進化していきたい、まだまだがんばりたいという思いでいっぱいです!」と決意を表明。昨年4月に加入した桐乃みゆは「虹コンに入って本当によかったなって心から思います。虹コンに入ってから毎日がずっと楽しくて……だからこれからもずっとメンバーとファンの皆さんとともに歩んでいきたいなと思います」と涙ながらにあふれ出す感情を声にして紡いだ。それぞれの思いを語り終えた13人は、ここで1期生として虹コンに多大な貢献を残してきた根本をステージに呼び込む。根本が虹コン最後の自己紹介として「茨城県出身! カワウソに似ててもいいよね!?」と問いかけると、虹コンだいすきマンは「いいよー!」というメンバーの声に合わせて緑のペンライトを一斉に振って盛大に歓迎。その温かいムードに根本は「みんながこんなにがんばってきて武道館に立っているに、いいのかなこんな一般人が、という感じでモニターを見てたの。でもよかったんだね、みんながこうやって迎えてくれたから。安心しました」と満面の笑みを浮かべた。
ステージに14人全員そろい、日本武道館のステージで虹色のメンバーカラーを完成させた虹コンは、根本の「今日は精一杯ラストステージがんばりますので、よろしくお願いします!!」という言葉を経て、「トライアングル・ドリーマー」を投下。新型コロナウイルスの感染拡大対策として声が出せない環境ながらも、虹コンだいすきマンは初期からグループを支え、数々の対バンやフェスを沸かせてきたキラーチューンのパフォーマンスを心ゆくまで楽しんだ。そして2日間の日本武道館公演を締めくくる楽曲として選ばれたのは、昨年の結成7周年のタイミングで発表されたサマーチューン「世界の中心で虹を叫んだサマー」。青春を虹コンに捧げてきた彼女たちが「なんたってアイドルなんですっ♪ マイク持っちゃえば笑顔で なんたってアイドルなんですっ♪ ぜんぶ最高にしちゃうのだーっ!」と歌うことで歌詞に強い説得力が生まれ、曲中には歌いながら思わず涙で声を詰まらせるメンバーも。終盤、的場と根本は2人でセンターステージに立って歌唱したあと、その場で抱き合って観客の感動を誘った。
曲が終わり、的場と根本がセンターステージから戻ろうとすると、メンバーの手には彼女たちの卒業を祝福する黄色と緑の大きな花束が。予想していなかったステージ上でのサプライズに2人は「何これー!」「知らないんだがー!」と驚きと喜びが混ざった声を上げ、センターステージにいるときからすでに涙ぐんでいた的場はアイドルとして歩んできたこれまでの日々を噛み締めるように感極まった表情も見せていた。ライブの終演を惜しむようにステージの端から端まで移動し、客席に手を振った虹コンは、手をつないでマイクを使わずに「ありがとうございました!」と挨拶。ステージに的場と根本だけを残して退場した。
観客は2人の和気あいあいとした会話に耳を傾け、根本が「まさか夢が叶うとは思わなくて。いろんなことがあったけどね、今まで」と話し、その言葉を受けて的場が「私はねもちゃんを2グループで武道館に立った女にしたかったの。叶ったね」と返すと、大きな拍手で祝福した。また根本は「こんなきれいな景色を最後に目に焼き付けることができてすごくうれしい! ありがとう!」と改めて感謝の思いを述べ、的場の「ここまで長かったのかな?」という問いに「長かったよー!」としみじみと返答。そして「これで我々成仏できるね」「またいつかどこかで一緒になれたらいいよね」と晴れやかな顔で再会を誓い合った2人はステージ上で指切りをしたあと、これからそれぞれの道を歩んでいくことを表すように、ステージの上手と下手に分かれてはけていく。エンドロールの最後には「See You Again in HERE!!!」という文字が表示され、この公演が“通過点”になったことを、これからも虹コンとして前進し続ける12人と虹コンだいすきマンに示していた。
日本武道館に大きな余韻が残る中、スクリーンに映し出された映像によって6月より全国ツアーが開催されること、YouTube番組「全農 presents “届け!ファンファーム” シーズン3」の配信が4月21日(木)18:00にスタートすることが明らかに。ツアーの初日公演は6月4日に中野・なかのZEROホールで行われ、最新の夏曲の初披露や重大発表ありのライブになる予定。チケット情報やそのほかのツアー日程は追ってアナウンスされる。また根本は4月30日に東京・東京キネマ倶楽部でソロ公演「月と、真っ赤な目をした兎の夢」を行う。
虹のコンキスタドール「Over the RAINBOW~なんたってアイドルなんですっ!!~ in 日本武道館」2022年4月16、17日 日本武道館 セットリスト
4月16日公演
01. 世界の中心で虹を叫んだサマー
02. THE☆有頂天サマー!!
03. キミは無邪気な夏の女王~This Summer Girl Is an Innocent Mistress~
04. ジャポニジフェス
05. パラドキシカル・コンプレックス
06. パウダースノーランデブー
07. in(door)the Summer
08. メドレー(女の子むてき宣言!~電撃タクティクス~↓エイリアンガール・イン・ニューヨーク↑~✝ノーライフベイビー・オブ・ジ・エンド✝~心臓にメロディー~ココロPRISM~天文学的ノンフィクション~真夜中のテレフォン~美味いものファンクラブ~ブランニューハッピーデイズ)
09. 戦場の聖バレンタイン
10. Luv♡Unbalance
11. chaos and creation
12. ジャスナウ!
13. 夢の輪郭
14. 夕暮れグラデーション
15. 愛をこころにサマーと数えよ
16. サマーとはキミと私なりっ!!
17. ずっとサマーで恋してる
18. BE MYSELF
<アンコール>
19. さよならタイガー
20. 響け!ファンファーレ
21. トライアングル・ドリーマー
4月17日公演
01. やるっきゃない!2018
02. 限りなく冒険に近いサマー
03. キミは無邪気な夏の女王~This Summer Girl Is an Innocent Mistress~
04. 響け!ファンファーレ
05. レトルト~華麗なる愛~
06. 終末でーと部!
07. in(door)the Summer
08. メドレー(女の子むてき宣言!~電撃タクティクス~↓エイリアンガール・イン・ニューヨーク↑~✝ノーライフベイビー・オブ・ジ・エンド✝~心臓にメロディー~ココロPRISM~天文学的ノンフィクション~真夜中のテレフォン~美味いものファンクラブ~ブランニューハッピーデイズ)
09. 戦場の聖バレンタイン
10. Luv♡Unbalance
11. パラダイスな片思い
12. ジャスナウ!
13. 夢の輪郭
14. さくら色シャワー
15. 愛をこころにサマーと数えよ
16. サマーとはキミと私なりっ!!
17. ずっとサマーで恋してる
18. BE MYSELF
<アンコール>
19. さよならタイガー
20. トライアングル・ドリーマー
21. 世界の中心で虹を叫んだサマー
根本凪ソロ公演「月と、真っ赤な目をした兎の夢」
2022年4月30日(土)東京都 東京キネマ倶楽部
<出演者>
根本凪 / and more
虹のコンキスタドール 全国ツアー初日公演
2022年6月4日(土)東京都 なかのZEROホール
根本凪☕️💫 @nemoto_nagi
相撲、すな。
ナタリーさん、暖かい文章をありがとうございます! https://t.co/0MJVPp2sXs