KANA-BOON、大切な“あなた”への感謝あふれた3年ぶりのワンマンツアー

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KANA-BOONが1月21日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でライブツアー「KANA-BOON Re:PLAY TOUR 2021-2022」ファイナル公演を開催した。

谷口鮪(Vo, G)(撮影:ハタサトシ)

谷口鮪(Vo, G)(撮影:ハタサトシ)

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昨年4月、KANA-BOONは体調不良で休養していた谷口鮪(Vo, G)の復帰公演「Re:PLAY」を開催。そして10月より「支えて待っていてくれたファンのみんなへの感謝の気持ちをプレイで返したい」という思いを込めて約3年ぶりのワンマンツアーを行った。

KANA-BOON「KANA-BOON Re:PLAY TOUR 2021-2022」東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演の様子。(撮影:ハタサトシ)

KANA-BOON「KANA-BOON Re:PLAY TOUR 2021-2022」東京・Zepp DiverCity(TOKYO)公演の様子。(撮影:ハタサトシ)[拡大]

大きな拍手に迎えられてステージに登場したメンバーとサポートの遠藤昌巳(B)は客席に向かって深く一礼。それぞれの定位置につき、谷口が「ただいまー! ツアーファイナル、本気でいくぞー! かかってこれるか!」と観客に言葉を投げかけると「ないものねだり」で勢いよくライブの幕を切った。曲中には谷口が「KANA-BOONのドラムをみんなに委ねようと思います」と告げ、小泉貴裕(Dr)のドラムがストップ。谷口はオーディエンスがクラップで生み出すリズムに乗せて歌い、「最高のリズムをありがとう!」と満面の笑顔を浮かべた。

向かい合ってギターを鳴らす谷口鮪(Vo, G)と古賀隼斗(G)。(撮影:ハタサトシ)

向かい合ってギターを鳴らす谷口鮪(Vo, G)と古賀隼斗(G)。(撮影:ハタサトシ)[拡大]

KANA-BOONはライブ序盤からフルスロットルで、その後も代表曲「盛者必衰の理、お断り」「フルドライブ」を息をつかせる間もなく連投。谷口は「しっかり帰ってきました! ありがとう。本当にもう今日でツアーが終わっちゃうのが寂しいんですけど、悔いのないように俺たちはやろうと思います」と語り、「それぞれ『この曲で知った』とかKANA-BOONと出会ったタイミングがあって、人生の中のいろんなタイミングでKANA-BOONを聴いてきてくれたと思うけど、今日はKANA-BOONとの歴史をお互いに確かめ合うようなセットリストにしてきたので最後まで楽しみにしてください!」と観客に呼びかけた。

古賀隼斗(G)(撮影:ハタサトシ)

古賀隼斗(G)(撮影:ハタサトシ)[拡大]

谷口の言葉の通り、KANA-BOONはライブでのキラーチューン「ディストラクションビートミュージック」や2ndシングル曲「結晶星」など、ファンからこよなく愛されてきたナンバーを新旧問わず楽しげにプレイ。「街色」では胸をくすぐるようなノスタルジックなギターリフが場内に心地よく響き渡り、「ターミナル」では前のめりの疾走感あふれる4人のプレイがエモーショナルな空気を生み出した。「Wake up」を晴れやかに演奏したあと、「Torch of Liberty」では古賀隼斗(G)と遠藤が前に出て観客に音を浴びせる。そして突き抜けるようなギターリフから「シルエット」の演奏がスタート。オーディエンスは各曲のイントロが始まるごとに目を輝かせ、このツアーならではのセットリストでKANA-BOONの歴史に思いを馳せた。

小泉貴裕(Dr)(撮影:ハタサトシ)

小泉貴裕(Dr)(撮影:ハタサトシ)[拡大]

ここまで駆け抜けるようにプレイした谷口は「ツアーを回ってて、すごく楽しくて有意義で、俺にとってはこれ以上の存在はないなとすごく思いました」と話す。そして彼が「あなたにとって音楽っていうのはどうですかね。俺たちにとってと同じくらい大切なものですかね。多分そうですね。同じ音楽が好きなもの同士、分かち合えるものがあるんじゃないかな。音楽への愛とか希望とかそういうもの、そして“あなた”を歌った曲です」と優しく述べたあと、KANA-BOONが演奏し始めたのは「MUSiC」。谷口は音楽を心の拠り所にしているであろうオーディエンスの心に向かってまっすぐにこの曲を歌い、「届いてるかー!」と叫んだ。「まっさら」ではメンバーがドラムの前に集まって衝動に身を任せるようにみずみずしいバンドサウンドを鳴らす。その後、1人ぼっちで見る夕暮れの景色を想起させる「オレンジ」を経て、「ネリネ」では軽やかなビートに身を任せるようにオーディエンスが自由に体を揺らした。

谷口鮪(Vo, G)(撮影:ハタサトシ)

谷口鮪(Vo, G)(撮影:ハタサトシ)[拡大]

谷口は「俺は一時期お休みをして、すごく心配をかけたと思うし、ちょっとハラハラしてしまうような日々を過ごさせてしまったかもしれない。それはすごく申し訳なかったし……でもちゃんとね、改めてお礼が言いたいです」と話を切り出し、「すごく……絶望してしまって、俺は。人がまともに生きられない世界に。すごく純粋できれいな心を持った人が生き延びられない現実に、俺はすごく落ち込んでしまって。あんまり人に言うことではないけど、何度も消えてしまおうって思った瞬間があって。でも、その最後の一歩を踏みとどまらせてくれたのは間違いなくあなたです。あなたっていう存在が待ってる。そう思うと俺はやっぱり生きなきゃなって思ったし、いろんなものを背負ってでも、もう一度人生を生き直さないとなとすごく思って。こうやって俺がステージに帰ってきて、みんなの前でライブができてるってことは間違いなくあなたのおかげなんです。あなたっていう存在がこの世にいてくれてるから、僕は帰ってこれました。僕は改めてお礼を言いたいです。ありがとうございました」と自身を支えてくれたファンに感謝の思いを述べる。そして彼が「俺はもう一度与えてもらった命だと思ってるから、できる限りのことをやっていきたい。バンドも今すごく楽しい。一番楽しいっていうくらい楽しくて。だから、これがこのまま永遠にずっと続けばいいなって思います。永遠ってものはないけど、でも命ある限りKANA-BOONとしてまたここから先、40歳になっても50歳になっても、その時々にふさわしいやり方で音楽を渡しに行くから。これからもし俺と同じように崖っぷちに立ってしまうことがあれば、そのときは俺たちを頼りにしてください。必ずそこで音楽を鳴らすので。改めまして、今までありがとうございました。そしてこれからもどうぞKANA-BOONをよろしくお願いします」と優しく話すと、会場は温かな拍手に包まれた。ラストナンバーは昨年10月にリリースされ、ツアータイトルとも連動している「Re:Pray」。KANA-BOONは明日への祈りと希望に満ちたこの曲をファンに贈り、最後の1音までじっくりと大切に鳴らしてステージを去って行った。

去り際にピースする谷口鮪(Vo, G)。(撮影:ハタサトシ)

去り際にピースする谷口鮪(Vo, G)。(撮影:ハタサトシ)[拡大]

アンコールでは古賀も「このツアーはみんなに感謝を届けるツアーにしようって個人的に思ってたんですけど、毎公演みんなからの元気を逆にもらって。こっちが感謝しなければあかんのに。でも、うれしくて、そういう関係っていいなって思ってて。うまく言葉にできないマンなんですけど、感謝を伝えたいです。本当にありがとうございました」とまっすぐな瞳で語る。小泉は「ライブで届ける音楽とか、僕の音をこうやって感じてもらえるのがすごく幸せなことですし、バンドにとって大切なことなので、これからもぜひライブに来て、それで音源も聴いて、KANA-BOONを楽しんでもらえたらと思うのでよろしくお願いします」と話し、「バンドはすごくいい状態で、僕自身も過去最高に今バンドが楽しくて。その音を詰め込んだ最高のアルバムが発表されるので……」と谷口が言うつもりだったニューアルバム「Honey & Darling」の告知をさらおうとして「おい、俺の役割や! 俺が言いたかったんや!」とツッコまれていた。ここでバンドはアルバムから新曲「メリーゴーランド」をいち早く披露。弾むような力強いリズムと爽快なサウンドに乗せて、日々にしがみついて生きていく思いを歌い上げた。谷口が「またこれから先、明るい未来を更新していくから一緒に歩んでいきましょう」と告げると、バンドは「スターマーカー」を晴れやかに演奏。最後まで楽しげにKANA-BOONの音を届け、彼らは会場の隅々まで愛おしそうに見渡してステージをあとにした。

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KANA-BOON「KANA-BOON Re:PLAY TOUR 2021-2022」2022年1月21日 Zepp DiverCity(TOKYO)セットリスト

01. ないものねだり
02. 盛者必衰の理、お断り
03. フルドライブ
04. ディストラクションビートミュージック
05. 結晶星
06. 街色
07. ターミナル
08. Wake up
09. Torch of Liberty
10. シルエット
11. MUSiC
12. まっさら
13. オレンジ
14. ネリネ
15. Re:Pray
<アンコール>
16. メリーゴーランド
17. スターマーカー

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