androp、“絶望的な闇”提示したツアー最終公演「また、音楽で会いましょう」

andropが10月16日に東京・Zepp DiverCity TOKYOにてワンマンツアー「one-man live tour 2016 "best blueprint"」の最終公演を行った。

最新アルバム「blue」を携え全国5カ所を回ったツアーのラストを飾るこの日のライブは「Voice」でスタート。オーディエンスが早速大合唱を響かせると、内澤崇仁（Vo, G）は「もっといける？」と観客に語りかける。「ようこそ、andropです」という挨拶から披露されたのは7月にリリースされたベスト盤「best[and/drop]」に収められた楽曲の数々で、観客が「ラララ」と声を合わせた「One」や佐藤拓也（G, Key）のかき鳴らすギターの音色が印象的な「Glider」で会場の熱はどんどん上昇していった。

前田恭介（B）は「Colorful」でワイルドなスラップベースを炸裂させる。冒頭、内澤と佐藤が向き合ってギターを鳴らした「Rainbows」では7色のライトがステージを照らし、会場内は晴れやかなムードで満たされた。

MCでは佐藤の口から「来年は2年ぶりに各地を細かく回る予定！」とファンを喜ばせる知らせが届けられる場面も。内澤が「みんなに『andropいいね』と思ってもらえるライブにしたい」と口にすると、ここからバンドは「Run」などダンサブルなナンバーを連投して一層の熱狂を誘っていく。「MirrorDance」では伊藤彬彦（Dr）が演奏中にドラムスティックを放り投げて見事にキャッチしてみせた。

内澤は最新作の「blue」について「何が一番やりたいかって、聴いてくれる人に対して真摯に音楽をやっていくこと。これからはいろんな音楽をやりたいと思っていて、光を描くんじゃなく絶望的な闇を描けば、聴く人によって感じ方も違うはず。感じたものがその人にとっての強烈な光のカケラになるような気がするし、そんな光のカケラを感じてほしいと思って作ったアルバムです」と語る。そして彼は「ありきたりだったり周りに評価されなくても、その道を突き進んでほしいという思いで結成初期に作った曲です」と「Hana」で温かな歌声を響かせた。

歪んだギターの音色が不穏な空気を振りまく「Kaonashi」から、「blue」で表現された「闇」を具現化するようなクライマックスへと突入すると、会場のムードはそれまでと一変。伊藤が鬼気迫るドラミングを見せる中、内澤は狂気すら感じるテンションで「あなたを許せない」と言葉を絞り出す。青い光にステージが照らされる中、バンドは「blue」の収録曲を次々と畳みかけていく。ラストを飾った2曲は、andropで初めて内澤以外のメンバーが手掛けたナンバーである「Kienai」と「Lost」。美しいピアノの音色からスタートした前田作曲、伊藤作詞によるバラード「Lost」で「どうか許してほしい 未来へと」と印象的なフレーズをフロアに投げかけると、バンドは「どうもありがとう。また、音楽で会いましょう」と一言だけ告げてステージを降りた。