坂本龍一主催の「健康音楽」盛況、1500人でラジオ体操も

4月9、10日に東京・恵比寿ザ・ガーデンプレイスにて、commmonsレーベル設立10周年を記念したイベント「commmons10 健康音楽」が行われた。

「commmons10 健康音楽」では“体にいい音楽フェス”というテーマのもと、「音楽」「食」「運動」「笑」「教養」の5ジャンルのプログラムが展開され、さまざまなアーティストや著名人が参加した。前夜祭にあたる8日にはイベント3日間通し券を購入した300人のみが入場できる高橋幸宏と坂本龍一のトークイベントを開催。ここに細野晴臣がサプライズで登場し、YMO結成当時の写真や3人がメイクを施した写真などを公開しながら、貴重な思い出話を語り合った。

9日はU-zhaan、蓮沼執太、ヨシダダイキチの生演奏でヨガをするワークショップでスタート。センター広場に集まった参加者たちは青空の下、インストラクター・磯沙緒里の指導のもとで心地よさそうに体をほぐしていた。ザ・ガーデンホールではASA-CHANG&巡礼から始まり、Charisma.com、コトリンゴ、青葉市子 with 小山田圭吾 & U-zhaan、マレウレウ、大貫妙子といった6組のライブが行われた。青葉市子 with 小山田圭吾 & U-zhaanのライブにはスペシャルゲストとして細野晴臣が登場。細野は「悲しみのラッキースター」「Smile」の2曲で青葉とのデュエットを披露したのち、「川越ランデヴー」ではU-zhaanが持参したインドの楽器・カンジーラを即興で演奏して見せ、観客を喜ばせた。

「健康音楽」を象徴するプログラムであるラジオ体操には約1500人が参加。坂本のピアノ伴奏とASA-CHANGのハキハキとしたかけ声に合わせて、ホールいっぱいに詰めかけた参加者が一斉にラジオ体操を行った。続けてこの日最後のプログラムとなる大貫のライブがスタート。彼女は、フェビアン・レザ・パネ（Piano）、吉野弘志（B）、林立夫（Dr)のピアノトリオと共に7曲を披露し、後半には3人のメンバーと替わって坂本がピアノで加わった。坂本と6年ぶりの共演となる大貫は「これからもまだまだ一緒にやっていきたいので、がんばってね」と声をかけ、「3びきのくま」「色彩都市」を一緒にパフォーマンスして初日の幕を下ろした。

10日のザ・ガーデンホールではあふりらんぽ、空間現代、高野寛＋高田漣、伊藤ゴロー、うないぐみ、高橋幸宏がライブを開催。高野と高田のライブは演奏曲すべてが坂本の楽曲のカバーで構成されており、ビートたけしへの提供楽曲「たかをくくろうか」や、坂本の代表曲とも言える「Merry Christmas Mr.Lawrence」にデヴィッド・シルヴィアンが歌詞を付けて歌った「禁じられた色彩」などをギター2本だけで演奏した。この挑戦に高野は「正直、ギターでやるもんじゃないです……」と苦笑いを浮かべていた。

イベントのトリを飾るのは高橋幸宏。自身が担当するスネアドラムと林立夫のカホンパーカッションをメインに、高田と堀江博久を加えたアコースティック編成を組んだ高橋は、ボブ・ディランのカバーやスタンダード曲を中心にしっとりと歌い上げる。アンコールでは「よくぞ帰ってきてくれました！」と坂本を呼び込み、トッド・ラングレンのカバーを披露。さらに「最後はこの曲しかないなぁ」と2人が初めて共作した高橋の1stソロアルバムの表題曲「Saravah!」を共に演奏し、坂本の復帰を心から喜んだ。